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特攻帰還!?

「ぎょわ~~~!!!」

ユイナとライルは空をかっ飛んでいた。

「もう勘弁してくれにゃーーー!!」

なぜこうなったかというと…


---------------------------------------------------------

 洞窟を出た直後、索敵魔法を唱えるライル。

『サーチ!』

 集中して索敵魔法を確認したライルは、森に精霊がたくさんいることに気付いた。

(僕が索敵魔法が得意だったのは、この召喚力の素質とかも関係してたのかな~?)


「とりあえず300mくらいはこっちの方向に行けば問題ないよ。」


ライルが指し示し駆け出そうとすると、

「ちょっと待つにゃ、ライル。

 シズクさん、森を抜けるのに早い方法は何かないかにゃ?」

とユイナがシズクに問いかけた。


 シズクは少し思案したあと、

「我とキラだけなら索敵完了後、空を飛んでいけば良いのだが…

 ふむ。汝らは精霊を呼び出して、空を運んで貰えばよいのではないか?」

と提案してきた。

「それは早そうにゃ!それで行こう!ライル、精霊にお願いしてみてにゃ!」

ユイナは颯爽と空を飛んで移動する姿を想像してテンションが上がり、尻尾を勢い良く振りながら目をキラキラさせてライルに頼んでいた。


 ライルはユイナの勢いに押されながら

「うん、やってみる。」

と答え、(空…この近くにいる風の精霊で良いかな?)と考えて

「僕はライル、風の精霊さん力を貸して。」

と呼びかけた。


すると、ライルの呼びかけに応え、風をまとうイタチのような精霊が現れ

「おぅ!呼ばれたの久しぶりだなぁ。何か用か?」

と話しかけてきた。


「うん。あの辺りまで僕達2人を、空を飛んで運んでほしいんだけど。」

ライルがお願いすると、

「細切れにしても良いなら運んでやるぜ。それ以外は無理だな。じゃあな。」

とあっさり断れて目が点になるライルを置いて、興味なさそうにさっさと帰って行こうとした。


そんな風の精霊を引き留めるように、

「オイッ、ちょっと待ちな。」

と言ったのは、…キラだった。

「ん?げっ、キラの姉さん!?」

「私からもお願いしたい。」

「しかし姉さん、オレは2人も持って運ぶのは無理ですぜ。

 飛んでる物の方向を変えるとか不時着させるとかならいけるけど。」

そう言って及び腰になりながら風の精霊が答えると、


「よし、じゃあ土の精霊に飛ばしてもらうから、着陸を任せるな!」

とキラが代替案(脳筋強攻策?)を提案し、それならO.K.と風をまとうイタチのような精霊は

「了解っす。姉さん。」

とキリッと答えたのだった。


「ちょっと待つにゃ!不時着とか聞こえたにゃ!」

不穏な言葉と成り行きにユイナが待ったをかけようとしたが、

「ん?少しでも早く抜けた方が良いんだよね?

 大丈夫、怪我したら私が治してあ・げ・る・か・ら」

とキラにニッコリ笑いながら言われ、

(ひぃ~怖い!)とライルとユイナは戦慄して固まっていた。


「ぷくく。汝ら覚悟を決めよ。」

シズクが笑いながら作戦を後押しし、

「さあライル様、土の精霊を呼び出してくださいませ。」

とキラは良い笑顔で促してきた。

「…ハイ。」

そうしてライルはしぶしぶ召喚を始めるのだった。


・・・

 ライルが土の精霊を呼び出すと、モグラが2足歩行しているような精霊が現れたので、気は進まないが説明して撃ち出しのお願いをした。


「ふむ。とりあえず投げれば良いんじゃな?」

そう言うと、土の精霊は魔法を駆使して巨大な土の腕を造りだした。

(ハハハッ…あれで投げる気か…)ライルとユイナはそれを見て、死んだ目になったが、

キラがテキパキと、

「ええ。こちらの方向に300mぐらいで射出を!」

と伝えていた。

 すると、やり取りを聞いていた風の精霊が横から、

「まぁ、多少投げるのが酷くても、俺がマルっとフォローしてやっから問題ないぜ。」

と言い放った。

それを聞いた土の精霊はカチンときて、

「ほぅ…。風の精霊の小童こわっぱ。わしの腕をなめとるな。ならば受けてみよ!」

そう言うと、ライルとユイナを魔法で造りだした腕でガシッと捕まえると、

「くらえ!剛速球!!!」

と思い切り投げ飛ばした!


ブンッ!! ビュォオオオーーーー!!


「ぎゃあ~~~~!!!死ぬ~~!!!」

「おっと、ここら辺だな」

フオ~ン……ベキッ、ガシッ、ガサッ、ズザザザァーーー!


盛大に木に突っ込み、不時着するユイナとライル。

「…」

「『ヒール』、よし、次行けるわね。」

「…」

「やるではないか。小童。」

「…あ、あの…、次はもう少し、お手柔らかに…」

「ならば次は変化球だ!!」

「ぎょぇ~~~!!、きりもみにゃ~~!!!」

「なんの!逆風!!」

「あぁぁぁ~~~~!!!」


「ならば次は魔球…!!」

「ぐぇぇぇ~~~~!!!」

「っ~~~!!!」

……

---------------------------------------------------------


その後、10回近く繰り返し、森を抜けたのだった。


真っ白になったユイナとライルを背景に、

「風の精霊よ、お主やるではないか。」

「へへっ、あんたこそ。いい勝負だった。」

風の精霊と土の精霊がガッシリと握手を交わしていた。


「あんた達も、楽しかったよ。また何かあったら呼んでくれ。オレの名前は風の精霊『カマチ』だ。」

「ふむ。確かにこんなのなら歓迎じゃな。ワシの名前は土の精霊『ドモグ』だ。またな。」


「……」

白くなったまま未だ戻ってこないライルの側で、ようやくピクッと動いたユイナは

「…精霊に運んで貰うのは2度とゴメンだにゃ…」

と呟いたのだった。


 しかしこのトラウマになりそうな無謀なフライトにより、ライル達は2日の工程を1日短縮し、次の日の朝、街に辿り着いたのだった。


お読み頂きありがとうございます。

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