援軍合流!集結!
登場人物
ライル:精霊使い。黒髪の華奢な男性。称号『暴発乱舞』
ユイナ:豹族の獣人。真紅の髪と瞳を持つ女性。称号『紅』
真紅の髪をなびかせ同色の瞳を持つ女性
フラウ:アルマジロ系獣人。金髪に緑の瞳の女性。体の一部に鱗。称号『月ノ環』
以上3人のパーティ名:『紅月の舞』
カイル:ライルの父、精霊使い
ミチル:ライルの母、精霊使い
ユイト:ユイナの兄。次期族長
ターミャ:虎族の獣人。イエラガ男爵の第3夫人の娘。
ヒルド:ユイナの同族の戦士長
精霊達
ミリ,ミル,ミレ:水神竜ミラカナチの娘。上半身が少女で下半身が龍。水の精霊
キラ:黒髪を後ろに束ね腰から下が鐘のような姿の凛々しい女性。光の精霊
エンヤ,エンカ:火竜の尻尾と股下に鱗のある足を持つ火の精霊。兄妹
プーカ:黒山羊の可愛い姿。闇の精霊
ライトニングストームのまばゆい光が収まり、ライトニングストームに何とか抵抗したライルが周りを見渡すと、操られていた状態の豹族の人達や、正気を失っていたようなイタチ族の戦士達が数多く痺れて倒れていた。
「よし、今だ!抑えろ!」
「「「おぉぉーー!!!」」」
ユイトの号令がかかって、豹族が一気に盛り返し、戦局が大きく豹族優位に傾いた。
その中に、上空から得意気な感じでエメラルドグリーンに輝く翼を広げたハーピーの女王のヒーハ(翡翠羽)と、ハーピーに乗ったミチルとカイルが降りてきた。
「何とか間に合ったみたいだね」
「うん、本当に助かったよ!父さん、母さん!」
ライルが近寄ると、ミチルとカイルからそれぞれ光の精霊のキラと火の精霊のエンカが姿を現した。
二人の姿を見るとライルはさらに笑顔になった。
「キラ!ライトニング、さすがだね!でも激しさに磨きがかかってない?めっちゃしびれたんだけど(笑)!エンカも!やっぱり頼りになるね、二人ともありがとう!」
とお礼を言った。キラは
「ライトニングに耐えられなかったらカツを入れようと思ったけど、大丈夫そうね。うん、今まで良く頑張ったね。また力になるよ。」
と頷いたあと、ライル(プーカ)が操られていた状態を治し終わった人達に、ミチルがやっている風を装いながら子供優先で『ヒール』を唱えていった。そして
「激しい人と認識されるのはミチルだしね……。」
とキラがボソッと言うと、その事実に気付いたミチルが「あぁぁー!」と頭を抱えたのだった。
エンカは、
「私が来たからにはもう勝ったも同然よ!ほらほら、もっと褒めてもいいのよ」
と言ってフフンとない胸を張っていた。これにライルの傍にいた兄のエンヤは
「また直ぐに調子に乗る……まぁでも今回は助かった」
と言って妹のエンカとハイタッチしていた。
そうしていると、ヒーハが前に出てきて
「ドウ!?ヒーローノ登場ダヨ!矢ヲ留メタリ声ヲ届ケル風ノ魔法ニ機動力、私役ニ立ツデショッ!」
と、フンスッと鼻息荒く、先程のエンカと同じようなポーズを取っていた。こちらは立派なものが存在したため、ライルは若干顔を赤くして、視線を引き剥がしながら
「うん、助かったよ、ヒーハ!」
とお礼をした。(なお、エンカはキィーと掴みかかりそうになってエンヤに止められ、ブルルンと揺れるのを凝視していたカイルはミチルに鉄拳をくらっていた)
「そういえばヒーハ、北の山からだよね。もの凄い遠いけど、どれ位で来たの?」
「エ〜ット、出発シタノハ昨日ダネ!最短距離デ来タカラ途中ノ山デ1泊シタヨ!」
「うわっ、さすがに速い……!あれ?でも僕たちがデントナの街を出発したのが3日前だよね。いつ知ったの?あっ、出発してプーカに会った日の晩にエンヤが助けを呼んでくれたの?」
ライルが魔術師団や王城にいるシン宮廷魔導士等に伝える間もなく出発したのに(伝えても軍が動くのは難しかっただろうが)、こんなに早く助けに来てくれたことに驚きながら尋ねると、
「いや、私はヴァルレオス様に報告しただけだが……。場合によっては、私とエンカが戻れなくなる可能性も考えてな……。さすがに遠いから北の山から精霊達が来るのは無理だと思ったし。」
とエンヤも驚いていた。
すると、ヤバい印象のダメージから立ち直った(諦めて開き直った)ミチルが
「それはね、エンヤの報告を聞いたヴァルレオスさんが、火の精霊を通じてその日の晩の内に連絡をくれたの。移動手段としてヒーハにも連絡を取ってくれたので、私とカイルがキラを連れて応援に行くことに決めて、次の日に準備が整ったら、戻ってきたエンカも召喚できるように依代を渡してくれてね。」
と説明してくれた。
「助けに行くことになったらフェントール王子が僕も行くと言って騒いだけど、さすがに危ないしね。キラに今は足手まといだから来ないでって言われて落ち込んでたけど。」
とカイルが補足すると、ヒールに動き回ってるキラが
「まだ1人前にもなってないので当然です」
と頷いていた。
ライルがフェントール王子を若干不憫に思い、少し苦笑いしながら納得していると、ユイナとフラウが捕まっていたドリアードを担いで現れた。
「あっキラ!ライトニングストームの連打からまさかと思ってたけど、やっぱりそういうことだったのにゃ!あっヒーハも!納得にゃ~。カイルさん、ミチルさん、助けに来てくれてありがとにゃ。」
「皆さん助けに来てくれて、ありがとうござます。キラ、ドリアードにも回復をしてあげて欲しい……うん、ありがとう。それでドリアードはこのように救出できたのですが、操られているのを解放すると魔法が発動するようになっていたようで、こちらに黒い靄と合わさった魔法が飛んでしまいました。すみません。」
「そうにゃ。皆に大変な思いをさせてしまったにゃ。申し訳ないにゃ。」
そう言ってユイナとフラウが頭を下げたが、それを遮るようにライルが
「いや、ドリアードを救出できたのだから凄いことだよ!」
と言い、周りへの指示が一段落したユイトが近づいてきて
「ユイナとフラウさん、ドリアードの救出良くやってくれた!ライルさんと駆けつけてくれた仲間の皆様も素晴らしい働き、ありがとうございました!脅威が一つ減り、戦況も優勢になった!あとは、あっちの族長だけだ!」
と労いながら周りにも聞こえるように声を上げると、
「「「うおぉぉ~~!!」」」
と戦士達から声が上がり士気が高まっていた。
そうして盛り上がっていると、ユイナとフラウ、ターミャに戦士長のヒルド、それにカイルとミチル、精霊達、ヒーハといった面々が異変を察知し上空を見上げ身構えた。すると上からドン!!と激しい音と土煙を上げて何かが落ちてきた。
土煙が収まるとそこには、禍々しい漆黒の捻じれた槍のような武器を構えたイタチ族の族長が居たのだった!
大変遅くなり、すいません。
お読み頂きありがとうございます。