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『雨の日に臨む晴れ間から』⑶
『雨の日に臨む晴れ間から』⑶
㈠
天才と狂人は紙一重、という言葉を昔聞いたことがあって、最近は余り聞かれないなと思う。
何かが見えなくなった時でも、自分の心だけが頼りだとすれば、天才でも狂人でも構わない。
生き延びるために、何を取捨選択するか、ということが、問題になってくる。
㈡
雨の日などは、そうだ。どこへ行くにも、雨を避けなければならない。
別段、雨に濡れたった構わないし、誰も傷つかないので、雨に濡れたまま歩く。
すると、まるで狂人の様に思われ、扱われ、それが自分には不思議で仕方がないのだ。
㈢
一体この国は、いつから人間から自由という晴れ間を奪ったのであろうか。
寧ろ、晴れている日に、傘を差して歩いたって、それが日傘なら、問題ないとされることも問題だ。
つまりは、雨の日にも、意を決して、天才も狂人も、歩いて行くのである。