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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第三章 仁義無き戦い!少女戦国編
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9、花も恥じらう学園祭!(際どい格好で引き回しの刑?)

高校生活の大きなイベントの一つ、文化祭。

美園のいるE組は、ライバル渋水のいるG組と、

後夜祭のステージ枠を賭けて勝負することとなった。

勝ち負けを決めるのは、互いの模擬店の売上。


だが宣伝用に美園に用意された衣装は『露出の多い際どい格好のナース服』

恥ずかしさを堪えて、ビラ配りに出た美園だが。

 スマホに七海から指示が来た。

ラグビー部の模擬試合があるから、第三運動場の方に回ってチラシを配れ、との事だ。

来客が多い玄関前から解放されて、少しホッとする。


 だけど第三運動場って、一番下のグラウンドだよな。

そこまで長めの坂道を下って行かなければならない。

その傾斜の部分が芝生になっていて、観客席でもあるんだけど、

そこを歩いたら下から丸見えだよな・・・


「二階、一年E組、模擬店『アルフヘイム』!お好み焼き・焼きそば・唐揚げ・コロッケ・オニギリが美味しいですよ。小倉餡トーストもありま~す!ぜひ来て下さ~い」


そう言いながらチラシを配る。


 地面に座っている人に渡すから、かがむ時にさらに大きく胸元が開く。

その時にハッと気づいた。

このスカート丈で、前かがみになると、後ろからお尻が丸見えになってしまう。


 パシャ


 そう思った時には、既に遅かった。

どこかでシャッター音がする。

慌てて後ろを振り返る。

ニヤニヤ笑っている男子三人組が見えた。

くっそ~、変な所を撮りやがって。この変態どもが!

だが改めて見渡して見ると、あたしの方にスマホを向けようとしている男は、意外に多い。

嫌がる女の子の写真を撮って、そんなに楽しいか?


 その後は仕方ないので、一人一人にしゃがんでチラシを手渡す。

まるでスクワットだ。


 だいたい回った所で、あたしは急いで第三運動場を離れようとした。

すると前からバッタリ、紫光院様が歩いてくるではないか!

周囲を見回す・・・が隠れる所などある訳がない。

紫光院様の方も、あたしに気づいた。


「天辺・・・か」


紫光院様の目に驚きが浮かぶ。

うう、あたしの清純なイメージが・・・


「あ、あの、違うんです、これは友達の、宣伝担当の衣装で・・・あたしは無理矢理、仕方なく・・・」


激しく動揺して言い訳をする。

だが紫光院様は優しい目で苦笑いしながら言った。


「まぁ文化祭だからな。みんな色んな格好してるし・・・剣道部だって『バカ殿様』の格好で模擬試合してるしな。にしても、中々の格好だな、ソレ」


あたしはマジで顔から火が出そうだった。

ライターのガスがあったら、本当に着火したかもしれない。

『穴があったら入りたい』どころじゃない。

ゴキブリになってでもいいから、隙間があったら走って潜り込みたいくらいだ。


「あ、あの~、紫光院先輩、誤解しないで下さい。あたし、好きでこんな格好している訳じゃ・・・」


そんなあたしの肩を、紫光院様は優しくポンと一回叩いた。


「大丈夫だよ。宣伝、頑張れよ」


そう言ってくれた。

あたしは半分涙目になりながら、急いでその場を離れた。


 その後、校門近くで猛ダッシュで残りのチラシを配った。

ともかく早く、この仕事を終えて、普段の自分に戻らねば。


 だがここには幸いにも『強力なライバル』がいた。

渋水理穂だ。

アヤツは恐るべき事に

『猫耳を着けた、白いモフモフのビキニ姿』

だったのだ。

 下はパンツタイプではなく、ヒラヒラしたスカート付きのものだったが、かなりのローウェストだ。

腰骨の位置で履いているから、ヘソのかなり下まで丸出しだ。

いまカミナリが来たら、真っ先にヘソを取られる事は間違いない。


 だが今回だけは、渋水のそのハデハデな人目を引く露出の高い衣装がありがたかった。

おかげであたしへの注目度が小さくなる。

まぁそれはそれで、ちょっと悔しいんだが。

渋水とあたしじゃ、スタイルもアピールポイントも違うから、仕方ないだろう。

渋水はその格好で、実に堂々としていた。

敵ながら天晴れな位だ、


 チラシをほぼ配り終えたあたしは、教室に戻ることにした。

一部のチラシは、階段を昇る時のお尻を隠すために残す事にする。

 校門前で同じクラスの子が


「玄関前で川上純子がウサギの格好をして、チラシを配っている」


と教えてくれた。


 川上純子ちゃんは、あたしとは兵太を取り合った間柄だ。

正直な所、あまり顔を合わせたくないが、最短距離で教室に戻るには玄関を通るしかないし、


『小学6年生にも見える、可愛い川上純子ちゃんのウサギ姿』


にも、ちょっと興味を引かれた。


 通りすがりで、川上さんの姿を探してみた。

『ウサギ姿の川上純子ちゃん』はすぐに見つかった。

 だがしか~し!

その姿はあたしの予想とは大きく外れていた。

あたしは『ウサギの着グルミを着た、可愛い川上純子ちゃん』を想像していたのだが、

ウサギはウサギでも『バニーガール姿のセクシー川上さん』だったのだ!

しかもあたしでも躊躇うような、ハイレッグに網タイツ!

川上さん、あんた、キャラが変わってないか?


 その日の売上も大好調だった。

コロッケも唐揚げも全て完売!

(赤御門様も紫光院様も、今日も部員を連れて食べにきてくれたそうだ)

その上『あたしの恥ずかしいHナース姿』も好評だったらしく、かなりの客が来てくれたのだ。


「あたしの狙いは大当たりだったね!美園、明日もこのコスプレで宣伝たのむよ!」


なぜか七海は得意満面だった。

マジか、マジなのか?

あたしは絶句していた。

あのHナースの衣装と、信楽焼のタヌキの着ぐるみのどちらか選べと言われたら、

あたしは間違いなく信楽焼のタヌキを選ぶ。

それくらいの精神的ダメージなのに。


「クラスのため、渋水理穂に勝つためだよ!」


そう言われると、あたしとしては返す言葉がない。

あたしはただ恨めしそうに、七海の顔を睨んだ。


 そして売上額は今日が47万8600円。G組は52万5300円。

マズイ、一割近く差がついてしまったようだ。

 今日は外部の男性客も多かったから、

『猫耳モフモフ・ビキニ姿の渋水理穂』

に釣られた野郎が多かったのか?

この続きは、明日6月30日の朝9時過ぎに投稿予定です。

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