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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第三章 仁義無き戦い!少女戦国編
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9、花も恥じらう学園祭!(作戦)

高校生活の一大イベント、学園祭。

その後夜祭ステージで、美園のE組ではガールズバンドを演奏する予定だった。

ところがダブルブッキングにより、ライバル渋水理穂のG組のダンス・パフォーマンスと同じ枠でぶつかってしまった。

互いに意見は衝突し、話はまとまらない。

そこにセブン・シスターズのリーダー雲取麗華が現れ

「それぞれのクラスで行う模擬店で、売上の多い方が後夜祭ステージに出演する」

という勝負をする事に決定した。


絶対に負けたくない美園たち。

はたして策はあるのか?

「G組はやっぱり『メイド喫茶』らしいよ」


「コンセプトは、いま流行りの『アニマル系』で行くみたい」


「メニューまでは中々わからない。ガードが硬くって。どうやらG組の方でも緘口令が敷かれたみたい」


「あたしが部活で一緒のH組の子から聞いた話だと、作りやすいクレープとからしい。原価も安いし」


「客引きもかなり盛大にやるみたいよ。コスチュームも用意するんだって」


様々な情報が『メニュー担当』であるあたしの元に飛び込んで来た。


「どうする?ただの模擬店じゃ客は呼べない。こっちも何かコンセプトを考えないと」


『宣伝・広告』担当の七海があたしに聞く。


「七海は確か、過去の慈牡丹祭の入場者数のデータを持っていたよね?」


「うん、新聞部には十年以上前からのデータがあるし、直近の2~3年ならすぐにでも判る」


「その中で男女の来客数が判らないかな?」


「判ると思うけど、それは何に使うの?」


あたしはニヤリと笑って見せた。


「渋水のコンセプトに対抗するためだよ。G組のコンセプトが『メイド喫茶』『アニマル系』なら、おそらく対象客は男子が中心だよ。だけど男子は出て来る料理が『クレープ』みたいなスイーツ系では満足できないと思う。渋水の性格から考えて、おそらく値段も安くはしないだろうしね。だから過去の男女来客数を見て、こっちはG組の男子客を奪いつつ、女子にアピールする戦略を立てるんだよ」


七海が調べた所によると、

『過去5年間の平均で、三日間の来客数は約1万2千人(慈円多学園の生徒は含まず)。そして男女比は7対3で男子が多い』

との事(ちょうどウチの学校の男女比と逆だ)

つまりメイン客として『男子を狙う』というG組の戦略は悪くないようだ。


「だが!」


あたしはクラスの中心メンバーを集めて言った。


「メニューには明らかに穴と言うか驕りがある!今まで掴んだ情報だとG組のメニューは『クレープ』と『コーンフレークで嵩増ししたパフェ』だ。他メニューも似たような物だろう。おそらくこのメニューでは、高校生男子の胃袋は満足しない!」


「じゃあ美園の戦略は?」


七海が身を乗り出して聞いてくる。

他の連中も真剣だ。


「コッチは唐揚げとコロッケに、おにぎりを付けるようにしよう。店で食べるだけじゃなく、テイクアウト可能な形にする。コンビニで売っているみたいにね」


「女子に対するメニューは?甘いモノは必要じゃない?」


大場薫が指摘する。


「女子向けには、タピオカドリンクと小倉餡トーストでどうかな?プラスアルファでバニラアイスのトッピングとか?」


「いいと思うけど、調理が大変じゃない?」


そう言ったのは関本美香だ。


「大丈夫、唐揚げとコロッケを二種類に減らして、その分の労力をオニギリ作成に回せばいい。オニギリなら女子全員が家で作って来れるでしょ?トーストはトースターやホットプレートがあればすぐ出来るから。ホットプレートは焼きそばとお好み焼きと別に用意しないとならないけどね」


七海が首を傾げながら言った。


「メニューとしては文句ないけど、これだけメニューを増やすとなると、原価が上がるんじゃないの?」


「その点も大丈夫。今回増えたのは、食パンと小倉餡とマーゲリンだけだから。それに今回の勝負は『売上で決める』って雲取麗華が言っていたじゃない。利益勝負じゃないから、利幅は大きくしなくてもいいよ」


「ま、それもそうだね」


七海は納得した。


「それから食材のムダを失くすために、時間が経ったコロッケは食パンに挟んでコロッケサンドにする。同じく唐揚げはオニギリとセットにする。焼きそばとお好み焼きも余りそうだったら、挟んで『お手軽広島焼』にする。これらは店内じゃなく、校内を回って男子に販売してもらう。どう?」


「いいんじゃない?演劇部とか吹奏楽部とか、あまり外に出られない人たちにも売れそうだよ」


「あと運動部の試合を見に来た人にも、お弁当の売り子作戦はいいかもね」


あたし達は出しあった意見で盛り上がった。

みんなすごい前向きに考えて発言してくれる。

よっぽどG組のやり方が腹に据えかねたのだろう。


あたしは最後に七海の方に目を向けた。


「七海、あんたの方は大丈夫?あとは広告方法と宣伝用のチラシの作成。これは七海にかかっているんだから」


七海はOKサインを出した。


「オッケー、バッチシだよ。あたしにいいアイディアがあるから。その準備ももう進めている。メニューが決まればチラシも作れるしね」


「コンセプトは?」


「G組がアニマル系で来るなら、コッチは異世界でしょ。楽しみにしていて!」


あたしはうなずいた。

みんなで力を合わせれば、G組に、そして渋水理穂なんかに、絶対に負けない!

あの女、今度こそ、ギャフンと言わせてやる!

この続きは、7月28日(金)7時過ぎに投稿予定です。

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