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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第三章 仁義無き戦い!少女戦国編
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6、女子陸上部と海に行く(その1)

6、女子陸上部と海に行く


・・・つまんね~・・・


あたしは、その日も家でゴロゴロしていた。

と言って、外は暑くてわざわざ出かける気になんてならない。

今日はお盆。

父親が家にいるから、何となくリビングにも居ずらい。

母親はパート、お姉ちゃんは旅行だ。

今のあたしの楽しみと言ったら、録画しておいたドラマとアニメを見る事、

とりあえずラノベとマンガを読むことくらいだ。


 ネットも今はあまりやる気が無かった。

スマホを立ち上げると、参加しているSNSのメッセージがたくさん届いている事がわかるが、

大抵が知り合いの『プチ自慢の近況報告』だ。


 慈円多学園の生徒は、基本金持ちだ。

あたしみたいな『普通のサラリーマン家庭の娘』の方が少数派だ。

よってSNSには


『フロリダも東京と同じくらい暑いよぉ~(どこと比べてんだ!クソッ!)』だの

『今、ハワイで買い物中でぇ~っす!ヴィトンとグッチで迷い中(サメに食われろ!)』だの

『スイスに避暑に来たけど、何にもないからハイキングばかり。足がパンパン(遭難しちまえ!)』だの

『軽井沢の別荘に来てるけど、久しぶりだから掃除が大変!(先祖代々、お金持ちデスカァ~?)』だの


という投稿が溢れている。

見る気にならないのも道理だろう。

誰か一人くらい


『行く所もカネもないので、毎日ブックオフで立ち読みしてます(キリッ!)』


みたいな投稿がないもんかねー!


 そんな時だった。メールの着信音が鳴った。

メールという事は、あたし宛だ。

開かない訳にも行くまい。

見てみると、メールの差出人は意外な相手だった。


----------------------------------------

差出人:咲藤ミラン

タイトル:明日、白子海岸に行かないか?

本文:

オッス!元気か?どうしてる?

突然だけど、明日・千葉県の白子海岸に行かないか?

そこに女子陸上部が合宿に行っていて、最終日なんだ。

最終日は、みんな海で遊ぶ事になっている。

あたしは今年は三年でフルには参加できないが、

明日だけ日帰りで行くつもりだ。

足はウチの車を出すから、良かったら一緒に行かないか?

女子陸上部のみんなも、天辺が来てくれる事を期待している。

OKだったら、今日の夜6時までに連絡くれ。

いい返事、待ってるよ!

----------------------------------------


おお!遊びのお誘いだ!

あたしは一瞬、テンションが上がった。

基本、あたしは出不精だ。

わざわざ自分から刺激を探して出歩く事はない。

「引きこもり」「陰キャ」と言う程ではないが、初対面で誰とでも楽しく話せるほど、コミュニケーション能力は高くない。

そんなあたしだから、特定の友達が誘ってくれないと、どこにも出かけず家に引きこもる事になる。

だからこういうヒマが続く時のお誘いは、とってもうれしい。


が、ここで大きな問題が一つ、いや二つあった。


一つ目が「海」!

あたしは海が嫌いだ。

別に泳げない訳じゃない。むしろ泳げる方だと思う。

そう『体型が如実に周囲に晒される』水着がイヤなのだ!

プラス、あたしに唯一『美人の要素』があるとしたら、色白な点だけだ。

日焼けは極力避けたい。


二つ目が「咲藤ミランと一緒」という点だ。

もちろん、彼女が嫌いな訳じゃない。

むしろ『あたしが唯一、話せる先輩』と言ってもいいだろう。

彼女は他のセブン・シスターズほど気取ってもいないし、サバサバしている。

マイル・リレーの一件で、彼女とも女子陸上部のみんなとも仲良くなった。

だがあの『外人モデルと競っても遜色ない完璧ボディ』の隣に水着で並ぶなど、考えただけでウツになってしまう。


 あたしはもう一度、メールに目を通した。

う~ん「To go, or Not to go. That is the Question」って感じだ。


だがそこである単語が浮かび上がった。


『千葉県の白子海岸』?


ハテ、最近、どこかでこの単語を目にしたような・・・

思い出した!兵太がバスケ部で合宿に行っている場所じゃないか!


 この四日間、あたしはずっと悶々としていた。


・兵太がバスケ部の合宿に行く。

→バスケ部マネージャーである川上純子ちゃんも、一緒に合宿に行く。

→川上純子ちゃんは、まだ兵太の事を諦めていない。

→かって川上さんは兵太に『肉弾特攻、強制お泊り作戦!』を敢行しようとした前科がある。

→合宿中、あたしがいない中で、川上さんは・・・


 いやぁーーーーッツ、ダメ!絶対にダメ!

今まで考えないようにしていた想像が、一気に膨れ上がった。

考えてみれば、バスケ部の合宿も明日が最後だ。

合宿最後の夜ほど危険な夜はない!


 あたしはさっそくスマホに飛びついた。

『行く!行きます!全力で行きます!ぜひ連れてって下さい!お願いします!』

あたしは我を忘れて「送信」ボタンを押していた。

この続きは、明日6月16日(日)10時頃、投稿予定です。

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