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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第二章 新たなる戦い?少女野獣編
65/116

17、ミッション・インポッシブル ―ファーストキスは女同士?!―

その次は、ちょっと離れた場所にある四次元コースター「ええじゃないか」。

単にアップダウンするだけではなく、座席そのものがグリングリン回転するという代物だ。


う~む、ここも想像通りの混み具合だ。

昼食時にも関わらず、やはり一時間半以上は待つらしい。


列に並ぶ前に、例のごとく「兵太&川上チェック」!

大丈夫だ。

敵エージェントは近くにいないらしい。


・・・


二時間近く待って、やっとあたし達の乗る番となった。

左右二人ずつ、レールから棒のように突き出したコースターの座る。

足元は何もない。ブランコのような状態だ。


この状態で急降下や回転なんて冗談じゃ・・・


・・・


「ええじゃないか」が乗降ホームに戻って来た時、

あたしは半分、幽体離脱状態だった。

ホームに降りた時、マジで足に力が入らなかった。

スタッフが手を貸してくれなきゃ、へたり込んでいたかもしれない。


地上に降りても、あたしの幽体はまだ身体に戻ってなかった。


「お願い。ちょっと、ちょっとでいいから、休ませて」


あたしは通路にベンチを見つけ、そこに身体を投げ出した。

さすがに七海が心配そうに、あたしの顔を覗き込む。


「美園、大丈夫?だいぶ顔色が悪いみたいだけど。水でも買ってこようか?」


あたしは無言でうなずいた。

グリングリン回転したせいで、少し酔ったみたいだ。


「はい、水」


すぐ近くの自販機で、七海はペットボトルのミネラルウォーターを買ってきてくれた。


「ありがと」


あたしは力なくお礼を言うと、水を一口だけ飲む。

昼飯をガッツリ食べなくて良かった。

腹一杯だったら、ループ中に『TVで言うキラキラ』を噴出していたかもしれない。


はぁ~


完全に生気を失ったあたしは、無防備にベンチに身体を投げ出していた。

隣では七海が、同じくペットボトルの水を飲んでいる。


と、何を思ったのか?


突然、七海はあたしに覆いかぶさると、

あたしの頭をガッチリと押さえつけ、

強引にキスして来たのだ!


あたしはビックリ仰天して、目を白黒させた。


・・・ま、まさか七海。二股失恋のショックで、あたし相手に発情した?・・・


・・・そう言えばさっき、あたしが「男として見てイケてる」的な事を言っていたし・・・


我に帰ったあたしは、慌てて七海の身体をどかそうとした。


あたしはまだ、女に手を出すほど飢えていない。


「動かないで!」


七海が小さいが鋭い声で言った。

あたしの手が一瞬止まる。


「すぐそこに中上君達がいる!」


それを聞いて、あたしは目線だけ動かして通路をサーチした。


七海の言う通りだ。

いま、まさに兵太と川上純子ちゃんが、

あたし達の正面のベンチに座ろうとしていたのだ!


「あたしに手を回して。抱きしめるように!」


七海がそう言った。


あたしは言われるがまま手を回して、七海の身体を抱きしめるようにした。

誰がどう見たって「熱烈に愛し合う二人」にしか、見えなかっただろう。


当然、あたし達の正面のベンチに座ろうとしていた兵太と川上さんにも、

あたし達の「熱愛カップル」の姿は目に入る。


人目も憚らず、固く抱き合ってキスしている二人が目の前に居ては、

向こうも落ち着かなかったのだろう。


「アッチの方に行こう」


そう言う兵太の声が聞こえ、二人は一度は座ろうとしていたベンチから、

磁石が反発するように離れて行った。


あたしは七海の髪の毛越しに、その二人の様子を横目で追った。


「プハッ!」


兵太と川上さんが十分に離れたのを確認して、あたしは七海の口づけから顔を放した。


「ちょっと、七海。もういいよ。兵太達はアッチに行ったよ」


『まだあたしに覆いかぶさって口づけした体勢』の七海の身体を、

あたしはレスリングのタップのように叩いた。


七海はゆっくりと身体を起こす。


「ふぅ~、危ないところだったね」


七海はあたしの肩を押さえたまま、上からそう言った。

彼女のセミロングの髪が、ハラハラと流れるように落ちる。


な、なんか、逆光の七海が、ヤケに妖艶に見えるんですけど・・・


「でも、いきなりなんでビックリしたよ。七海がおかしくなったのかと思った」


「中上君達が急に表れて、美園に言う時間が無かったんだよ。それに・・・」


七海が怪しく笑った。

ちょっとゾクっとする。


「美園の唇、良かったよ。柔らかかった・・・」


ちょ、マジで、ちょっと待て。

七海、まさか、あんた、その気がある子じゃないだろうな?


七海はくるりと体勢を変え、あたしの隣に座り直した。


「でもあの感じなら、中上君達は気づいていないでしょ。良かった、良かった!」


まあ、確かに。

七海はあたしに覆いかぶさってキスしていたから、あの二人からは

あたし達の顔は絶対に見えない。


その点については問題ないが・・・。


でも、これ、アタシにとって

「ファースト・キス」なんだよね・・・


いや正確には、幼稚園の頃に、

あたしは兵太と『Chuu』した事があるらしい。

兵太のおばさんが、そう言っていた。

だがその事は、あたしも兵太も覚えていない。

よってそれはノーカウント、無効試合だ。


つまりあたしにとって「記憶のあるファースト・キス」は

「クラスメートの女同士」、

という事になる。


あったま痛いなぁ~。

あたしの恋愛体験、この先、ど~なるんだ?

この続きは、明日の朝、投稿・・・できるかな?

あと2回で、完結する予定です。

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