10.5、紫光院涼へのお弁当お届け対決、心の中
あたしは何故、あんなに腹が立ったんだろう。
思わず兵太を引っ叩いてしまった。
<<<おまえがこんなチョロイ女だとは、思わなかったよ>>>
兵太のあの言葉を思い出すたびに、心がズキッと痛む。
兵太の言う事は、間違ってはいないのに・・・
そうだ、あたしはチョロイ女だよ、移り気な女だよ。
入学式に出会った、いかにも王子様の赤御門凛音。
川上さんのモノになりそうになった途端、惜しくなって取り戻そうとした兵太。
危ない所を助けてくれた、イケメン剣士の紫光院涼。
入学してわずか3か月足らずで、これだけ気が移っている。
気が多い女だと思われても仕方がない。
でも15~6の女子高生なんて、そんなもんだろ?
文句あっか?
それにあたしは、少なくとも他人を嘘で傷つけてはいないはずだ。
兵太みたいに、
約束をドタキャンして、他の女子と会って、
しかもそれを嘘をついて誤魔化そうとして・・・
そんな事は絶対にしていない!
あたしは今まで、正直に自分の気持ちを表してきたはずだ。
結果として川上純子ちゃんにはウソをついた形になるけど、
決して最初から、彼女を騙そうと考えていた訳じゃない。
それにあたしだって我慢したんだ。
兵太がちゃんと正直に話してくれる事を信じて、
あの瞬間まで我慢して笑顔で話していたんだ。
あたしはやれる事をやったはずだ。
それなのに・・・なんで・・・
なんでこんなに、気持ちが乱れるんだろう。
心が落ち着かないんだろう。
もう嫌だ。
こんな事を考えるのも、こんな風に考える自分も。
全てを忘れてしまいたい。
無かった事にしてしまいたい。
この続きは4/26(金)7時頃に投稿予定です。




