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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第二章 新たなる戦い?少女野獣編
48/116

10、紫光院涼へのお弁当お届け対決、開戦

翌日、登校中の電車の中。


あたしは慈円多学園の非公式学校新聞

「慈円多ジャーナル」のサイトを見ていた。


----------------------------------------

ファイブ・プリンスNo3、紫光院涼へのお弁当対決、始まる


昨日、真・生徒会により、

ファイブ・プリンスNo3である紫光院涼への

『お弁当お届け対決』が開催される事が決定した。

しかし今回は、他のファイブ・プリンスと同じレース形式ではない!

『紫光院涼の思い出の手料理を再現する対決』なのだ!


正式な詳細は慈円多新聞から発表されると思うが、

「慈円隊ジャーナル」では、

その情報をいち早くキャッチしたので、

読者の皆さんにお伝えしたい。


紫光院涼の思い出の手料理とは

『肉みたいな、魚みたいな食材』だそうだ。

紫光院涼の母親が時折お弁当に入れてくれたものらしく、

彼にとっては『試合に必勝の験担ぎ料理』らしい。

味付け自体は、塩コショウで味付けしたか、または甘辛い味の

二種類というシンプルなものらしい。


これまでの『お弁当お届けレース』は、脚力・体力を競う勝負だった。

だが今回は「知識と創造力を働かせる頭脳勝負」だ!


今までお弁当お届けレースを、

指をくわえて見ていた頭脳派文化系女子も、

今回ばかりは見逃す手はない!


なお期日は「再来週の日曜に、剣道大会の予選の正午」まで!

それまでに紫光院様へ、思い出料理をお弁当として届けた人が勝者だ!


さあ、あなたも『紫光院涼の思い出料理対決』に参戦して、

大病院御曹司で理系トップのイケメン剣士のハートをGETするのだ!

----------------------------------------


あたしはため息を着いた。


・・・どえらい事になってしまった・・・


あの『査問委員会』で出した雲取麗華の結論が、これだったのだ。


紫光院様が、あたしに頼んだ

「母親の思い出の味の再現」


しっかし不思議なのは、

なぜあの話を雲取麗華が知っていたのか?

という点だ。

どこで誰が、あの話を聞いていたのだろう?

あの会話は、あたしと紫光院様しか知らないはずなのだが。

状況から推理すると、渋水が盗み聞きしていたと思えるが、それも確かじゃない。


まぁそんな事はどうでもいいか。

この勝負はもはや始まってしまったのだから。


あの場で、あたしが知っている事は

「勝負の公平性のため」という事で、全て吐かされた。

と言っても

「肉みたいな魚みたいな食材」

「味付けは、塩コショウか、甘辛い味の二種類」

「小学生の時、紫光院様の大事な試合の時に、お弁当に入っていた」

程度しか知らなかったが。


紫光院様自身も、それ以上の詳しい事は言えなかった。


またもう一つ、新たな情報があった。

この勝負にセブン・シスターズの一人、

菖蒲浦あやめが参戦すると言うのだ。


菖蒲浦あやめは、華道部の部長だ。

長い艶やかな黒髪に、透き通るように白い肌、そして大きな二重のパッチリ目で、人形のような整った顔立ちをしている。

そして華道部だけあって和服が良く似合う美人だが、意外な事にスタイルもいい。

和服は胸が大きいと似合いにくいが、

菖蒲浦あやめはその適度な形の良さそうなバストと相まって、

制服の時も清楚なスタイルの良さを披露している。

完璧女子の一人だ。


そして菖蒲浦あやめは、実は紫光院様の婚約者だと言うではないか!


だが紫光院様は

「親同士が勝手に決めた事だ。俺はそんな話は承諾していないし、あやめも同じはずだ」

と言い切った。


紫光院様の家は、いくつもの系列を持つ大病院。

菖蒲浦あやめの家は、日本でも有数の製薬会社。

両方の家が結び付くメリットは大きいのだろう。


だが反骨の剣士、紫光院様としては、そんな家の都合の言う通りに、生きるつもりは無いんだろうな。


でもそれを紫光院様が言った時、一瞬だが菖蒲浦あやめは悲しそうな顔をしたように見えた。


そんな事をつれづれと考えながら、再びため息をつきながら駅の改札を出た時。


「みっそのっ!」


と言って後ろから飛びついて来た奴がいる。


振り返るまでもなく、如月七海だ。


「おはよ」


あたしは疲れたように言った。

だが彼女は朝からテンションが高い。


「何なに?元気ないじゃん。どーしたどーした?それより、ねぇ、あたしの記事、読んでくれた?」


やっぱりこいつが書いたのか。

あたしは三回目のため息と共に答える。


「読んだよ。ずいぶん、煽ってくれてるじゃん」


「そこはもう、PV命ですから」


そう言って彼女は自分のスマホを取り出し、該当サイトのアクセス数を表示する画面を見せた。


「見て見て、ほら、朝からもうこんなにアクセスが!いっやー、これは今までの記録を更新するかもしれない」


あたしはチラッと横目で、そのアクセス数を見た。

その数が凄いのかどうかはわからないが、棒グラフは今日の所だけグ~ンと伸びている。


まぁ昨日は、危険な状況に率先して付き合って貰ったという恩義があるから、文句も言えないけど。

でも七海はこれが目的っぽかったから、昨日の事はこれでチャラだな。


・・・


あたしは七海と一緒に教室に入った。

その途端、周囲を何人もの女子に取り囲まれた。


「ねぇねぇ、慈円多ジャーナルに書いてあった事って本当?」

「紫光院様のお弁当お届け勝負が開催されるんでしょ?」

「今回はレース形式じゃなく、お弁当再現レースになるんだよね?」

「他には何か情報はないの?知ってる事があったら、こっそり教えてよ!」

「そもそも、どうやって紫光院様と親しくなったの?教えて、教えて!」


うわ、鳥の大群に囲まれているかのような、騒々しさだ。


「無い、無いよ、もう知ってる事なんて!あれで全部だから」


あたしは周囲の女子を押し分けるように、自分の席に向かった。

だがあたしを取り囲んだ女子達は、一緒に付いてくる。


七海がそれを押しとどめた。


「ハイハイ、そこまで、そこまで!美園からの情報は、みんな公平に慈円多ジャーナルに掲載するから!みんな落ち着いて、サイトの情報を見逃さないようにしていて!」


サンキュー、七海。

だけど何気に宣伝も入れてる、ウマイ野郎だ。


席に座り、何気なく後ろを振り返った時、

兵太がこっちを見ているのに気付いた。

だがあたしは素知らぬフリをして、視線を前に戻した。

この続きは、4/24(水)7時頃、投稿予定です。

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