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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第二章 新たなる戦い?少女野獣編
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2、雲取麗華の仕返しはハンパなかった!(ヒーロー登場編)

真・生徒会を仕切る雲取麗華に呼び出された美園。

雲取麗華は、美園に懲罰宣言をする。

そしてそこに一緒にいた渋水理穂が、懲罰について任せられた。

だが渋水は想定外な事に、学外の人間を使って、美園にリンチを加えようとした。


そこに現れた、謎のイケメン・ヒーローとは?

「おい、ここで何をやっている!」


その声により、男達の動きが止まった。


あたしも思わず、その声の主の方を見る。


そこにいたのは「田植え戦士・タウエイダー」でも「稲刈り戦隊・イネカリオン」でもなく、

正真正銘・まさしくイケメン・ヒーローだった!


明るめの紺の詰襟。

そして肩に担いだ竹刀のケース。

モデルとしても通用するスラっとした高身長、しかも股下が長い!

クールな目元に知性的な容貌。


剣道部主将・紫光院涼様(理系科目学年トップ)だった。



紫光院様は、極悪面(悪のレベルが一段上がった)を憶する事なく、堂々とこちらに歩いて来た。


「なんだぁ、テメェはぁ?ゴラァ!」


極悪面数人が、人語かケダモノ語か判別不能な言葉を発した。


だが紫光院様は彼らを一瞥することもなく、彼らの前まで進んで来ると


「ここは俺の鍛錬場だ。オマエラごときがいる場ではない。目障りだ。失せろ!」


と言い放った。


極悪面達は一瞬呆気に取られたが、すぐに倍の獣気を吐いて紫光院様に詰め寄ろうとする。


「フザけんな、ゴラァ!」

「ナメてんのか?コイツはよぉ!」

「気取ってると、マジで殺すぞ、オラ!」

「テメーがどっか行けや!」


しかし紫光院様は、まったく動ずることも、彼らと目線すらを合わせることなく、

その声音には脅しも含むことなく、当然のように言ったのだ。


「最後の警告だ。人の言葉がわかるなら、ここからすぐに立ち去れ」


「ナメんな!テメー!」


極悪面の中でも一番体格のいい男が、紫光院様の胸倉をつかむと、そのまま殴りかかって来たのだ。


バキッツ、ドスッツ!


鈍い打撃音が二つ、響いた。


なんと、殴りかかった極悪面がアゴを押さえてうずくまり、殴られそうになった紫光院様が何事も無く立っていたのだ!

紫光院様の先ほどまでとの違いは、肩に担いでいた竹刀ケースを、左手に持ち替えているだけだった。


「失せろ」


紫光院様はもう一度静かにそう言った。


呆然とうずくまる仲間を見ていた極悪面どもは、それを聞いてさらなる狂気を露わにした。

手に手に、それぞれの獲物、チェーン、メリケン・サック、伸縮性特殊警棒、信じられないことにナイフまで持ち出す。

(念のため言っておくが、あたしは凶器に詳しい訳じゃない。小学校の頃から兵太の家で少年マンガを読んでいたため、たまたま知っているだけなのだ。あたしの名誉のため、一言)


「もう勘弁ならねぇ」

「半殺しにしてやる」

「無事生きて帰れると思うなよ、てめぇ」

「この人数相手に、大馬鹿だよ、コイツ」


・・・まるっきりヤクザ映画のセリフだ。


だが紫光院様は、全く変わらない。

そして竹刀ケースから、静かに竹刀を取り出そうとした。


「させねーよ!」


一人の男が、卑怯にも紫光院様が竹刀を取り出す前に、特殊警棒で殴り掛かった。


だが紫光院様は、まだ半分ケースに入ったままの竹刀で、素早く相手の肩に剣道の『突き』を繰り出す。

男は後ろに吹っ飛ぶと同時に、特殊警棒を落としていた。


それを見た極悪面達は蛮声を上げて同時に、紫光院様一人にかかっていった。


それからは一方的だった。

もちろん紫光院様が、だ。

凶器を振りかざしてかかって来る極悪面ども相手に、

紫光院様は息一つ乱すことなく、

相手の手首を、肩を、腰を打ち、凶器を弾き飛ばす。

凶器を持つ十人を同時に相手にしても、紫光院様は相手に掠らせもしない。


そしてその攻撃は、素人のあたしの目にも、十分に手加減している事がわかった。


その中の一人が、物置小屋に立てかけてあった整地用トンボを手に取り、

背後から紫光院様に打ちかかって来た。


そのトンボは柄の部分は木製だが、先端部分は金属だ。

まともに当れば、大怪我ではすまないかもしれない。


「あぶない!」


思わずあたしはそう叫んだ。


だが紫光院様は背後の男に素早く向き直ると、その竹刀を横殴りに一閃させた。

するとトンボの先端部分が『切れた』!


いや、実際には竹刀で先端部分をへし折ったのだろうが、あたしには切れたように見えたのだ。

それぐらい、鮮やかに先端が落ちた。


極悪面どもが、全員呆気に取られる。


「俺のこの竹刀は素振り用だ。中にワイヤーを入れて、真剣と同じ重さにしてある。本気で打ち込めば、骨は砕け、肉はひしゃげる」

紫光院様は、淡々とそう言った。


「う、うわあぁぁぁ!」


極悪面どもは、マンガみたいな悲鳴を上げて、全員が逃げ出した。


そしてあたしも、地面に座り込んだまま呆然と、

助けてくれたイケメン・ヒーローを見上げていた。


イケメン・ヒーローの涼し気な目が、あたしを見つめる。

あたしの心臓が「ドキン」と音を立てた。

・・・もしかして・・・これ・・・


「おまえも失せろ。練習の邪魔だ」


あたしはガクっと来た。


こ、ここは少女マンガ的には

「大丈夫だったか?」とか言って、優しく手を取って抱き起してくれるシーンじゃないのか?


あたしは慌てて立ち上がると

「危ないところを、ありがとうございました」

と言って、丁寧に頭を下げた。


だがチラっと上目遣いに紫光院様を見上げた時、

彼はあたしに目もくれずに、素振りの練習をしていた。


・・・なんだよ、まったく、もう!・・・


あたしは憮然として、その場を急いで立ち去った。


せっかく心から感謝しようと思ったのにさ!

あ~んな態度じゃ、助けてもらった恩も半減するってもんだ!


・・・そう言えば、渋水のヤツはどこ行った?・・・


林を出る時、あたしはヤツのことを思い出して、周囲を見渡してみた。

渋水理穂の姿は、どこにもない。

おそらく紫光院様が現れた時点で、姿を消したのだろう。


チッ、逃げ足の早い女だ。

この続きは、4/9(火)に投稿予定です。

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