1、あたしは福女になる!(その2)
ガードメンバーに追い付いた!
ここは廊下の端の方から追い抜こう!
今日は行ける!
そう思った時、予想もしない障害達が各クラスからぞろぞろと現れた。
それは昼食時に学食や売店に食料を求めに這い出てくる、一般男子生徒達だ!
彼らがゴキブリのごとく、わらわらと教室から這い出して来る!
くそっ!邪魔だ!
このフツメン、ザコメンども!
あたしの走行ラインを遮るな!
そんなあたしの心の声も空しく、彼らはごく普通に、あたしの走行ラインに入ってくる。
無意識の妨害ほど、迷惑なものはない。
そんな先に光り輝く存在が現れた。
この学園全女生徒の憧れの的、「ファイブ・プリンス」のリーダー、赤御門凛音様だ。
だが既にその手前にはセブン・シスターズの3人と渋水+α1名の”5人”が揃っていた。
この「弁当お届けレース」は上位5人までしか、意中の男子生徒に弁当を渡せない事になっている。
男子生徒はその中身を見て、1つの弁当を選ぶのだ。
選ばれた女子は、その男子生徒と一緒に弁当を食べる権利が与えられる。
そして10回連続すれば、もっとトンデモない特典が・・・・・・!
だが、あたしはこの日のレースに破れた。
あと3人抜けば、あの5人の一人はあたしだったのに・・・・・・
同じくレースに破れた女子生徒達は、ぞろぞろと肩を落として自分達の教室に戻っていく。
敗者感満載でだ。
あたしもガックリして、力なくその場を後にした。
だがみんなとは違って、あたしは屋上に向かう。
屋上のドアを開けると、そこには一人の男子生徒がいた。
ちなみに赤御門様のようなオーラ全くない、フツメン男子の一人だ。
「また今日もレースに負けたのか?」
フツメン男子が笑いながら、あたしの方に近寄ってきた。
あたしは憮然として、右掌を差し出した。
フツメン男子も右手を伸ばして来た。
その手から300円が渡される。
あたしはその300円を受け取り、”本当は赤御門様のための”手作り弁当を差し出す。
フツメン男子・中上兵太はドッカと腰を下ろすと、あたしの手作り弁当を広げ始めた。
「おっ?今日もまたうまそうな弁当だな」
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