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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第一章 学園一のイケメン御曹司をGETせよ!乙女の疾走編
24/116

10、セカンド・チャンス到来!神様は見放さなかった!(後編)

あとは100メートルの直線勝負だけだ。

ゴールはもう目前……


だがその時、あたしの目に入らなくていいものが、入って来た。

それは前を走る、咲藤ミランの揺れる巨乳だ!

後ろにいるあたしが分かるくらい、

彼女の豊満なバストが揺れ動いている。


あたしの中で、何かが切れた。

無意識の内に両脚に力が入る。

身体が勝手に前に出た。

咲藤ミランの横に並ぶ。


ちくしょう、乳のデカイ女には負けたくない!


それまで独走していた咲藤が、驚いたようにあたしを見る。

だがすぐに彼女も、より一層スピードを上げる。


さらに彼女の『胸の揺れ』が強調された!


この女、なに食えばそんな胸になるんだ!

あたしなんて毎日1リットルの牛乳を飲んでるけど、

その4分の1もないのに!

この学校のモットーは

『女子たるもの、野獣であれ!』だ。

『乳牛であれ!』じゃねーんだよ!


あたしは心の雄叫びを上げ、乳牛女との一騎打ちとなった。


赤御門様が教室から廊下に出て来る。

その赤御門様さえ、いつもよりも決死の勢いで走って来る女子二人に、驚きの表情を見せた。


あたしと咲藤ミランは、ほぼ同時にゴールに到着した。

……陸上競技だったら、胸の差で咲藤の勝ちだったろうな……

そう思いながら、あたしは息を整えて、お弁当を差し出す。


「赤御門さん、私の作ったお弁当、一緒に食べて下さい!」


その頃になって、やっと後続女子が追いついて来た。

雲取麗佳、天女梨々花、その他一名。

渋水理穂は入ってない。ザマーミロ!


赤御門様の目は、既にあたしの弁当のみに注がれていた。

あたしの創意工夫の賜物・蕎麦寿司を指さして


「これって、なに?」


と聞いてい来る。


あたしは自信満々に答えた。


「お蕎麦の巻き寿司です。麺つゆは別にあるので、それに漬けて食べてください」


「蕎麦」というキーワードを聞いて、赤御門様の目の色が変わるのを感じた。


「本当?僕もちょうど蕎麦が食べたいと思っていたんだ。蕎麦の寿司なんて変わってるね。今日は君の弁当を頂こうかな」


やったぁ!

計算通りだ!

あたしの知恵と努力の勝利だ。

あ、情報くれた兵太にも、ちょっと感謝。


その時、あたしの肩をポンと叩くヤツがいた。

咲藤ミランだ。


「中々やるな、オマエ。だけど次はこう行かないぜ」

そう笑顔で言うと、背を向けて去って行った。


もしかして、もしかして、今、あたしを激励してくれた?


そう思って彼女の長身を見つめる。

そのスラっとした背中も美しい。

咲藤ミラン、イイ奴じゃん!


慈円多学園 第一上級学生食堂 VIPラウンジ。

ここに2度座ることが出来た。


憧れの赤御門凛音様が、あたしの力作・蕎麦寿司を食べている。


「うん、本当においしいよ。蕎麦の巻き寿司なんて初めてだけど、かなりイケるね」


あたしは満足して、笑顔でうなずいた。

もちろん、可愛い女の子の笑顔でだ。

(普段の地で見せる笑い顔は封印だ)


赤御門様の前には、2つの麺つゆ用の容器が置いてある。

冷たい麺つゆ用と、温かい麺つゆ用だ。


「君、この前も美味しい弁当を持ってきてくれた子だよね。料理が上手なんだね。これからも時々頼むよ。君の弁当を食べると元気が出る」


ぃエイッツ!ヤッター!

これって最高の誉め言葉じゃない?

ついに言わせた「これからも時々頼む」!

”毎日”じゃないのが、あたしの計画と違って少し残念だが、まあそこは妥協しよう。

これから、これから!


赤御門様は、本当に美味しそうに、あたしの創作寿司を食べてくれた。

愛する人の食べる姿を見てるって、幸せ!


あ、そうだ。

あたしばっかり、幸せに浸っている訳には行かない。

腹を減らして屋上で待っているヤツがいるんだった。


あたしはスマホのSNSで、兵太にメッセージを送った。


>弁当お届け成功!

>あたしの弁当、すごく美味しいって食べてくれてる。これからも頼むって!

>もう兵太の口に入ることは無いかもね!


送信、っと。


これを見れば、兵太も学食にパンを買いに行くでしょう。

安心、安心。


しばらくして、兵太から返事があった。


>わかった


なんだ、素っ気ないヤツだな。

幼馴染が大戦果を挙げたんだから、もうちょっと祝福してくれてもいいだろ。


顔を上げると、赤御門様があたしにニッコリと微笑んでくれた。

あたしのハートは成層圏を突き抜けて、大気圏外まで舞い上がった。

これであたしの人生計画は、また一歩進んだのだ。


今日は一杯1万円のジャコウネコの糞コーヒーも、美味しく飲めそうだ。

この続きは3/15(金)7時に投稿予定です。

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