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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第一章 学園一のイケメン御曹司をGETせよ!乙女の疾走編
23/116

10、セカンド・チャンス到来!神様は見放さなかった!(前編)

「よし!」

あたしは満足して、作り終わったばかりのお弁当を見下ろした。


今日のお弁当のおかずは、

ウィンナー、卵焼き、牡蠣のベーコン巻き、

キャベツとダイコンとニンジンとコーンのコールスローサラダ、茹でたブロッコリーだ。


あたしが作る弁当にしては質素だって?


ヘヘン、そこはちゃんと工夫がしてある。

ご飯が全て創作寿司なのだ!


実は、あたしにはもう軍資金が無い。

さすがに1週間置きに、母親にお金を無心する訳にもいかない。


昨日のお昼のことだ。

あたしはため息交じりに、こう言った。


「もう、お金が無いんだよなぁ」


本当はホンのちょっぴり、

兵太がお弁当の買い上げ価格を上げてくれる事を期待しての発言だったが、

奴は別の提案をしてきやがった。


「おまえ、料理の腕は確かなんだから、高い素材じゃなく自分のできるもので勝負しろよ」


あたしは横目で兵太を睨む。


んな事は、わかってんだよ!

だけど相手は『金持ち・土地持ち・会社持ち』のセブン・シスターズなんだぞ。

弁当だっておそらく、専属の料理人かなんかに作らせているに違いない。

そんな相手に、料理の腕だけで勝てると思ってるのか?


とは言え、兵太の言う事はもっともだ。

金が無いなら、腕と工夫で何とかするしかない。


だが創意工夫だけでウマイ物が作れるなら、

この世に潰れる飲食店はないはずだ。


「そういや、赤御門先輩ってソバも好きらしいぜ。この前『たまには学食でもいいからソバが食いたい』って言ってた」


ソバ?

馬鹿か、こいつ。

弁当にソバなんか出せる訳ないだろ!

カップそばでも出せって言うのか?


しかしその後、なぜか「蕎麦」というキーワードが、

頭にこびり付いて離れない。


蕎麦自体を弁当にする事は、まず無理だ。

水気があればふやけてしまうし、逆なら乾いて固まってしまう。


麺つゆの方は水筒にでも入れておけば、温かろうが冷たかろうが、問題ない。


そこで閃いた。

蕎麦を巻き寿司にしたら、どうだろう?

どっかでそんなのがあったような気がする。


家に帰ってさっそく、蕎麦を茹でてみた。

水洗いした後、海苔に包んで一口サイズに切ってみる。

そのまま3時間ほど放置して、麺つゆに付けて食べてみる。


うん、意外といける!

蕎麦が一口サイズに切られているので、麺つゆで適度にほぐれるし、汁気が無いのでふやけてもいない。

よし、これで行こう!

蕎麦は巻き寿司用に一束分を糸で縛って茹でれば、水洗いしてすぐに海苔巻きに出来る!


こうして作った、あたしの創作寿司は以下だ。


蕎麦寿司…酢飯の代わりに蕎麦を使った海苔巻き。中の具は、軽く塩をしたサーモンと、漬けマグロ、しめ鯖。


茶巾寿司…中身のちらし寿司には、海老と味を付けたアサリが入っている。上にはイクラ。


生ハム寿司…酢飯を生ハムで撒いたもの。


スパム寿司…ガーリックバターで炒めたご飯の上に、焼いたスパムを乗せる。間にはからしマヨネーズを付ける。グアムで食べた事がある。


ジャンボ焼売寿司…ジャンボ焼売の皮で包む。下にはチャーハン、上にはオイスターソースと醤油と砂糖とチキン・スープの素で味付けした挽肉を乗せてある。


酢付けキャベル巻き寿司…甘酢でつけたキャベツで包んだちらし寿司。中にはそれぞれナス、カブ、キュウリの糠漬けを上に乗せている。


普通の海苔巻き…具はキムチ納豆。(あたしが大好き)


試験的に家族の夕飯に出したら、大変好評だった!

これだ、これしかない!


問題はレース中の振動によって、寿司が崩れてしまう事だ。

おかずは別容器に入れるとして、寿司は同じ種類のもの同士をラップで包むくらいしか、対策はない。


後は明日のクジ運と、あたしの脚力次第だ。


・・・

そして翌日、図書館前。


出走位置は2列目4番。いい位置だ。

そして最も都合がいいのは、私の真ん前、1列目4番が咲藤ミランと言う事だ。

その絶好の位置なら、咲藤ミランは絶対に好スタートを切るだろう。

そのまま独走態勢になるに違いない。


あたしは一位を狙わず、咲藤の後ろをピッタリとキープすればいいのだ。

お弁当を出せば、選んでもらえる自信があった。

5位までに入りさえすればいい。


怖いのは前回と同じような渋水の妨害工作だが、

咲藤ミランの後ろに付いていれば、それも防げるだろう。

渋水だってセブン・シスターズにまで、あんな妨害工作はできまい。

ザコメン共なら尚更だ。


神様が『今日はあたしに勝て』と言っている気がする。


4時間目終了のチャイムが鳴った。

スタート・ゲートが開く。


予想通り、真っ先に飛び出したのは、咲藤ミランだった。

あたしも彼女に神経がシンクロしたがごとく、同時に飛び出す。

妨害役に囲まれたら終わりだ。


一列目の好位置にいた雲取麗佳、天女梨々花よりも前に出られる。

渋水理穂なんて、さらに後ろだ。


やった!今日は行ける。

予想通り、咲藤ミランのスリップストリームに入っているあたしに、妨害役は手を出せない。

計画通りだ!


そのまま階段も一気に駆け上がる。


前回、転倒した水道場には、やはり”黒い三ザコメン”がいた。

しかし咲藤ミランのすぐ背後にいるあたしには、手も足も出ない。

一気にその横を走り抜ける!

ふふん、舌の一つでも出してやりたい気分だ。


あとは100メートルの直線勝負だけだ。ゴールはもう目前……

この続きは明日3/13(水)7時に投稿予定です。

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