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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第一章 学園一のイケメン御曹司をGETせよ!乙女の疾走編
2/116

1、あたしは福女になる!(その1)

 4時間目、12時ジャスト!

授業が終わる10分前。

クラスの女子は大半が一斉に立ち上がった。

当然ながら、あたしも立ち上がる。

手には力作弁当を持ってだ!


女子達は手に手に弁当を持ち、真面目に授業を受けている男子生徒を尻目に、続々と教室を出ていった。

先生は何も言わない。


当然だ。

それがこの学校の”ルール”なのだから!


女子達は、それぞれ思い思いに5つの方向に分かれていく。

あたしの行き先は図書館前。

学園でもトップの人気を誇る”赤御門(せきみかど) 凛音(りおん)”様のグループだ。


 既に図書館前には50人以上の女生徒達が集まっていた。

みんなライバルだ。

既にスタートゲートも設置されている。

その前では”監視役兼ゲートを開く係”の生徒6人が、ゲートを持って塀のように立ち並んでいる。

あたしはゲート前の”くじ引き箱”から、一枚のくじを引いた。

3列目6番か・・・・・・

最前列でないのは不利だが、あたしの俊足をもってすれば、スタート時の混乱から抜け出せれば、トップ争いは不可能ではない位置だ。ハッキリ言って、足には自信がある。


最前列には、いつもの学園7大美人「セブン・シスターズ」の雲取麗香(くもとりれいか)天女梨々花(あまめりりか)咲藤(さくふじ)ミランの3人がいた。そのすぐ隣にも次期セブン・シスターズの座を狙っていると言われる渋水理穂(しぶみずりほ)が控えていた。


彼女達がいつも最前列のいい場所を確保できるのには、訳がある。

その地位と財力を使って、配下の女生徒連中にくじを引かせているせいだ。

一番よい場所を取った女生徒は、お駄賃と引き換えにその場所を譲る。

また彼女達は、あたしのような一般生徒の成り上がりを阻止するための”妨害役”の役割も受け持っている。


・・・・・・負けてたまるか!

改めてあたしの闘志が燃え上がる。

金や家柄で勝とうとするヤツラなんかに、負けたくない!

・・・・・・と言っても、彼女達は同性のあたしも認めざるを得ない美人ではあるが・・・・・・


「スタート1分前です!」


生徒会役員の声が響く。

全ての女生徒が指定の位置に着き、出走体制を取る。

あたしもだ。弁当を持っているのでクラウチングスタートの体勢は取れないが、可能な限りの前傾姿勢を取る。

ええい、前後のヤツが邪魔だ!


「スタート15秒前!」


再び生徒会役員の声が響く。

あたしはスタート体勢のまま、大きく深呼吸する。

今のうちに少しでも酸素を身体に送っておかねば!


 4時間目終了を告げるチャイムが鳴った!

それと同時に、スタートゲートが左右に開かれた。

開かれた所から、一斉に女子生徒達が走り出す!当然、トップは雲取と天女と咲藤の3人だ。

ゲート係は可能な限り早く開こうとしているが、どうしても両端が出遅れてしまうのはやむを得ない。


あたしは3列目6番。

位置としては悪くないが、2列目には例の”妨害役”が固めている。

そのせいで一般生徒は中々前に出られない。


ゴールは赤御門様の教室前までの約200メートル!

2階角を曲がり、階段を4階まで昇り、もう一度角を曲がって、渡り廊下を渡って100m先だ。


あたしはまずはペースをセーブする。

あたしが勝負を賭けるのは、妨害役が疲れて連携が乱れる”階段を昇りきった後”だ!


第一コーナーを左に曲がる。

よし、予想通り妨害役の連携が乱れた。

だがここで前に出るのは、まだ早い。

前はこのタイミングで前に出て、階段でスカートを引っ張られ、転びそうになった経験がある。


階段を一気に4階まで上る。

ここで妨害役の多くが息が切れ、大きくフォーメーションが崩れる。

踊り場の中3階から4階への最後の階段。

ここだ!

あたしは太股に力を込め、前に立ちふさがる妨害役3人を一気に抜き去った。


成功!この時点であたしは12番手くらいだ。

既にトップ4人とは5メートル近く離されているが、あたしならまだ挽回できる!

次の障害はトップ4人のガード連中だ。

こいつらは手強い。運動部の俊足メンバーを揃えている。

だが彼女達にも隙がある。


 実はあたしは帰宅部だ。だからあたしの足の速さは、みんなに知られてない。

中学時代も帰宅部だったが、短距離走でも、クラス対抗リレーでも陸上部の連中に引けは取らなかった。

陸上部の顧問にも、何度も勧誘されて困ったくらいだ。

あたしが陸上部に入らない理由は、短距離だと身体がゴツくなりそうだし、長距離だと胸が小さくなりそうだからだ。

次回の更新は2/14 7時頃の予定です

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