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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第一章 学園一のイケメン御曹司をGETせよ!乙女の疾走編
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6、大ピンチ!小遣いが足りない!(前編)

ぐぅぬおぉぉぉ!

あたしはひっくり返った。


何度、見直してみてもサイフの中にあるのは五千円札だった。

あたしはまだ一万円はあると思っていたのに・・・

五千円札と一万円札を見間違えていたのだ。

・・・おい、樋口一葉。アンタ、今朝までは福沢諭吉だったよな?今からでも遅くない。福沢諭吉になれ!・・・


そんな呪いの言葉を胸の内で呟く。

だが何度見返そうが、どんな呪文を唱えようが、樋口一葉は福沢諭吉にはならなかった。


くっそう、どうすれば・・・


あたしが、ここまで樋口一葉と福沢諭吉の違いに拘るのは理由がある。

何と隣駅のスーパーでキャビアの缶詰20グラム入りが、特別品として3980円で売り出されているのだ!


先日、やっと念願かなって、赤御門様に私の手作り弁当を食べてもらうことが出来た。


だがその帰りに、セブン・シスターズの連中に言われた「粗末な貧乏くさい弁当」と言う単語が、あたしの繊細なハートに大きな傷を残したのだ。


・・・・・・何とか彼女らを見返してやりたい・・・・・・


そう思っていた時、天からの福音のごとく、今朝のチラシが目に入った。

ーータイムセール!(本日4時から)特価!シベリア産キャビア20g 3980円、限定50個、お一人様一個までーー


これだ!これしかない!

高級食材、世界の三大珍味の一つ、キャビア。

これが入れば、彼女達だって文句は言えまい!


小遣い日まであと一週間、サイフにはまだ一万円札が入っていたはずだ・・・


・・・と、ここで冒頭の事態に至った訳だ。


連日のお弁当作り、ただでさえ材料費に圧迫されて、小遣いはいくらあっても足りない。

既に今年のお年玉はあらかた使ってしまった。


かくなる上は、母親金融にお願いして、小遣いの前借りを頼むしかないか?

累積債務が嵩んでいる気がするが、まさか腎臓までは取られまい。


「お母さん、悪いけどお小遣い、前借りできないかな?」

十分に母親のタイミングを見計らって言ったつもりだが、母親の反応は悪かった。

「また?アンタ、二週間おきに前借りしてるじゃないの!もう二ヶ月分は先渡ししてるわよ!」


うう、予想通りの返答だ。

だがここで引き下がっては”赤御門様に届ける弁当にキャビアを入れる”という目標が、泡と消える!

「お願い!高校に入ると付き合いが増えるんだよ!特にウチの学校は、裕福な家庭の子が多いでしょ!だからぁ・・・」

「アンタ、この前もそう言って一万円借りて行ったじゃないの!」


クッソ、細かい事を一々と!

この女、娘が可愛くないのか?

娘の将来設計を応援しようって気は無いのか?

娘が「お金が欲しい」って行ったら、黙って万札握らせてくれるのが、親ってもんじゃないのか?

あたしが援交とかパパ活に走ったら、どうするつもりだ?

悔しいが最後の手段だ。


「わかってるよ。だから夏休みにはバイトして返すから。ね、だから今回だけお願い!」

母親を拝み倒す!

「全く、仕方がないね。お父さんには内緒だからね」

母親はそう言って五千円を出してくれた。


サンキュー、ママ!

大丈夫、お父さんには内緒にしておくよ。

お父さんにはこの間、別口で一万円貰っているから!


あたしは貰った五千円札をサイフにねじ込むと、早速隣駅のスーパーにチャリンコを飛ばした。

急がねば、あたしのキャビア(特価3980円)が売り切れてしまう!

この続きは2/27(水)に投稿予定です。

基本的に、月、水、金、土日のいずれか、に投稿したいと思います。

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