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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第三章 仁義無き戦い!少女戦国編
113/116

12、戦いが終わって、その後(後編)

「まぁ、そういうのも仕方ないよな。有名税ってヤツだ」


そう明るく咲藤ミラン(現セブン・シスターズNO3)は言った。


「その程度で良かったじゃない。私なんて『華道部の部室で撮影に来た雑誌カメラマンと密会してる』なんて言われたのよ」


そう言ったのは菖蒲浦あやめ(現セブン・シスターズNO4)だ。


「あたしも『吹奏楽部の顧問を誘惑して今の地位になった』って言われた時は泣きそうだった」


ポツポツと思い出すように言ったのは海野美月(現セブン・シスターズNO7)だ。


 いまあたし達がいるのは、咲藤ミランの山中湖の別荘だ。

体育祭での女子騎馬戦の『大勝利記念パーティー』をやろうという事になったのだ。

そして日帰りだが、バーベキュー大会をやる事になった。


 参加者は、咲藤ミラン、菖蒲浦あやめ、海野美月のセブン・シスターズの3人。

陸上部の副部長・斉藤カノン、インデペンデンツで吹奏楽部の鳳カンナ、

新聞部員であたしの親友でもある如月七海。

そこに騎馬戦では中立を保っていた2年のエスティ・ロスナバーグが来ていた。

エスティはイスラエルからの留学生で、咲藤ミランとは以前から交流があるらしい。


 これが二つ目の状況変化だ。

あたしはセブン・シスターズの3人と、インデペンデンツのメンバーとも交流を持つようになった。

咲藤ミランとは一学期の終わりから付き合いがあるが、菖蒲浦あやめや海野美月と親しくなったのは

この前の体育祭からだ。


 エスティと鳳カンナの話だと、既にインデペンデンツも二つに割れているらしい。

藤宮姫野、ミリア・ザイツ・橋立、夕霧玲奈が一本化しており、ここに渋水理穂が入っているという話だ。

渋水はまだ一年なので、来年のセブン・シスターズ入りは不明だが、着々と手は打っているらしい。


 と言いつつ、こんな集まりにいるとあたしまで


「インデペンデンツからセブン・シスターズ入りを狙っている」


ように思われそうだが、それは違う。


 あたしはもうこんな争いはコリゴリだ。

もっと普通の女子高生ライフを送りたい。

友達とダベって、学校帰りに美味しい物を食べて、

そして彼氏とデートして・・・

当初、この学校に入った目的とはだいぶ違ってしまったが、

さすがにこの連続的な競争&闘争生活には、ほとほと疲れてしまった。


 だがあたしは今、「咲藤ミランの懐刀」と周囲に思われているようだ。

斉藤カノンが咲藤ミランと一番繋がりがあるが、彼女は人気ランキングに入っていない。

そのためあたしに注目が集まっているのだろう。


 デカイ肉を焼きながら咲藤ミランが言った。


「でも天辺のおかげで、本当に大逆転できたよな」


菖蒲浦もコーラを飲みながらうなずく。


「本当、天辺さんの作戦には助けられた。今回のあなたは優秀な軍師だったわ」


フランクフルトを頬張りながら、海野美月も言った。


「あたしは今までセブン・シスターズの争いは嫌いだったけど、今回だけはすっごく爽快だった。感謝してる」


斉藤カノンや鳳カンナも、口々にあたしを褒めてくれた。

エスティまでが言った。


「見事な戦術だったよ。高校でこんな風に『日本の用兵術』を見られるとは思ってもみなかった。いい勉強になったよ」


が、あたしはそれにどう反応していいのだろうか?


 そんなあたしの様子を見て、咲藤ミランが言った。


「天辺、おまえが戸惑うのも解る。だけどおまえはもう慈円多学園の、いやAWSSCの大きな流れに入ってしまった」


そう言って塊り肉を切り分ける。


「好むと好まざると、色々な人がおまえに接触してくる。好意的にも、敵対的にも、な」


菖蒲浦と海野は、それを黙って聞いていた。


「あたし、そんなつもりは・・・」


そのセリフを海野美月が止めた。


「あなたが、そしてあたし達がどう思うかって話じゃないの。周囲の人間がどう思って、どういう接し方をしてくるかってこと」


菖蒲浦あやめも言葉をつなぐ。


「既に『女王の地位の継承』は『雲取麗華→藤宮姫野→渋水理穂』へと受け継がれようとしている。そして周囲はあなたの事を『咲藤ミランの後継者』と見ている」


「自分の推薦する後輩が、セブン・シスターズの中で勢力を占めれば、それだけ自分の発言力も強くなるからな。慈円多学園を卒業した後もAWSSCに力を示すのに有利だ」


咲藤はそう言いながら、切り分けた肉を全員の紙皿の上に取り分けて行く。


「覚悟を決めた方がいい、天辺。慈円多学園は、そういう所なんだ。弱肉強食、まさしく『女子たるもの、野獣であれ』だ」


あたしは肉が乗った紙皿を受け取った。

紙皿の上の肉はミディアムレアだ。

まだ肉汁が赤い。


・・・そういう事なのか?そうすべきなのか?・・・


あたしはまだ考えていた。


 そんなあたしをチャカするように、隣にいる如月七海が言った。


「そんな戦上手の美園も、最後には謀略を練った川上純子ちゃんにヤラレちゃったもんね。もっとしっかりしないと、中上君を取られちゃうよ。今回の事で彼の人気もハッキリしたんだし」


あたしは横目で七海を睨んだ。

この続きは、明日7月21日(土)朝9時過ぎに投稿予定です

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