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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第三章 仁義無き戦い!少女戦国編
112/116

12、戦いが終わって、その後(前編)

 学園祭に続き、体育祭も終わった。

言ってしまえば「高校生活の大きなイベント二つ」が完了した、ってことだ。

そしてそれに伴い、あたしの学校での立場も大きく変わった。

あたし自身は変わったつもりはないが、周囲の目が変わったと言うべきか?


 その一つが「人気投票ベスト7」に入り、インデペンデンツ候補と言われるようになった事だ。

一応説明しておくと、慈円多学園では「セブン・シスターズ」と呼ばれる

学園を支配する権力を持つ、七人の美女がいる。

彼女達は「真・生徒会」を結成し、表面上の生徒会を操り、学園内で強力な権力を誇っているのだ。

 そのセブン・シスターズのトップが学園の女王・雲取麗華だ。

彼女はその抜群の美貌とスタイルの良さで、ファッション雑誌の専属モデルであり、

実家は日本有数の企業のご令嬢でもある。

 しかしなぜ、たかが高校の非公認生徒会がそこまでの力を持てるのか?

それはこの学園が「全ての女性はあるがままで美しい」という理念を掲げる世界的組織

『女性地位向上安定平穏委員会』通称(AWSSC:オウソック)

がバックにいるからだ。

その団結力と影響力は凄まじく、逆らえばマスコミから広告代理店、そして大企業でさえ業績が傾くと言われている。

人気商売の政治家を操るなんて、お手のものと言われている。


 事実、歴代のセブン・シスターズは

「女性国会議員」「女性若年取締役」「女子アナウンサー」「大手マスコミ役員」「大手雑誌女性編集長」「女性起業家」

などなど、日本だけでも数々の分野に「重要な役職者」

として、そのイスに座っている。

慈円多学園の女子にとって「セブン・シスターズ」の地位は単なる憧れではなく、

「人生の勝利者への切符」とも言えるのだ。


 そんなセブン・シスターズだが、通常は「インデペンデンツ」と呼ばれる女生徒の中から選ばれる事が多い。

インデペンデンツとは、その名の通り「独立した人気や勢力を持っている生徒」と言う意味だ。


 幸か不幸か、あたしは学園祭の人気投票ランキングで同率7位となり

「インデペンデンツ候補」と呼ばれるようになった。

これは学校の様々な場所で話題になっている。

今まであたしに目もくれなかった人までが、あたしが通るだけでチラ見するようになった。

あたしを見て、ヒソヒソと何かを話している女子もいる。

かと思えば、今までまるで接点が無かったのに、やけにあたしに近づこうとする他クラス女子もいた。


 同じ事は男子にも言えた。

遠目で


「あの女がランキング7位?ぜんぜん大したことないじゃん」


(うっせー、オマエに何か関係あるか?)


「意外にインデペンデンツ候補って、簡単になれるのかな」


(あたしだって、なりたくてなった訳じゃねーよ!)


なんて言うのは、まだマシな方だ。


 この前なんか、あたしが印刷室でクラスのプリントを印刷していた時だ。

外にいた男子4人が、誰もいないと思って(印刷室は校舎の端にあり、普段はあまり人がいない)

デカイ声で、こんな話をしていやがった。


「1年E組の天辺美園って見た?」


「見た見た」


(は?あたしはパンダや珍獣じゃねーぞ!)


「どう思う?」


「まー普通な感じじゃねー」


「だよな~」


(なんでアンタラが判定してんだ?)


「俺は普通に可愛いと思うぞ、天辺」


(お?マトモな奴もいたか?)


「オマエ、あんなのが好みなの?」


「天辺なんて、渋水に比べると大分落ちるだろ?インデペンデンツって柄じゃねーよ」


「そうそう、渋水はスタイルもいいしさ。胸もちょうど良く大きくDカップって感じじゃん」


(ち、ちくしょう。言いたい放題言いやがって。しかし渋水相手じゃ容姿に関しては何も言えないよ・・・)


「俺は巨乳は好きじゃないんだよ。どっちかって言うと、胸は小さくていい」


(そうだそうだ!女の価値を胸で測るんじゃない!もっと言え言え!)


「ホラ、これ見ろよ。この前の学園祭の時にセクシーナース姿」


 あたしは手が止まった。

あの画像、まだあるのか?

既に学校裏サイトと化している非公認学園内サイト『聞き耳ジエンタ』には、削除依頼を出しておいたのに。


「ほら、この胸の空き具合。もうちょっとで見えそうだろ?」


「おお、本当だ」


「確かにこういう『見えそうで見えない』ってそそるよな」


(バ、バカ!なんて写真を持ってるんだ?そんなもの、いつまでもスマホに入れているんじゃない!さっさと消せ!)


「俺、こういう『小ッパイ』子が好きなんだよ。片手で収まるような、さ」


(あ?『小ッパイ』って何だ、『小ッパイ』って。誰が『片手で収まる』って?アンタ、見た事あるのか?ウチの父親でさえ、小5の時からあたしの胸なんて見たこと無いはずだ!)


「まあ、そういうのも確かにいいかもな」


「俺も出来れば全部見たいよ」


「うん、見たい見たい!この子、足もキレイだしな」


「意外に大胆な子っぽいから、頼めば見せてくれるんじゃね?」


(馬鹿野郎!テメーらなんかに見せる訳ねーだろ!弥勒菩薩が降臨する56億7千万年後まで待ったって、見せねーよ!)


 これ以上、放っておくと、どこまで好き勝手な事を言うかわからない。

あたしは大きく咳払いをし、わざと物音を大きく立てて、印刷作業を開始した。

それで不埒な男子共は、印刷室内に女生徒がいる事に気づき、コソコソとその場から逃げて行った。


 クズ男子どもが!

将来、セクハラで訴えられて、一生を棒に振っちまえ!


 あたしはため息をついた。

確かにあの『学園祭でのセクシー・ナース姿』は、学内男子の目を引いたようだ。

だがあの姿は、あたしにとってこの上なく不本意な姿だ。


 あたしには現在、付き合っている彼氏・幼馴染の兵太がいるが、兵太だってイイ気はしないだろう。

口には出さないが、あの件を不満に感じているのは、何となくわかる。

この続きは、本日13時過ぎに投稿予定です。

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