11、体育祭の激闘(決戦前夜)
体育祭2日前。
今の所、決定したのは以下だ。
【雲取連合軍】
雲取麗華(3-H)、言わずと知れた慈円多学園のクイーン。総大将でもある。
天女梨々花(3-B)、セブン・シスターズNo2。ただし戦意はイマイチ。密かに雲取が共倒れになって欲しいと思っている。
竜宮翠子(3-F)、セブン・シスターズNo6。雲取麗華の腹心。
京奈月理鈴(3-L)、セブン・シスターズNo5.強い方に着く、風見鶏的性格。
藤宮姫野(2-D)、次期セブン・シスターズ第一位。既に雲取・渋水と話をつけている。
ミリア・ザイツ・橋立(2-F)、次期セブン・シスターズ第五位。彼女は雲取麗華と同じテニス部です。
夕霧玲奈(2-K)、次期セブン・シスターズ第六位。渋水に反感があるらしいが、7位のあたしも不愉快らしい。現状は強い方に着いている。
日野原葵(2-B)、あたしと同じ7位のため、あたしを追い落としたいそうだ。
渋水理穂(1-G)、次期セブン・シスターズ第三位。事実上の雲取軍の副将だ。あたしにとっては終生の敵かもしれない。
【咲藤同盟軍】
咲藤ミラン(3-J)、セブン・シスターズNo3。この陣営のリーダーだ。
菖蒲浦あやめ(3-K)、セブン・シスターズNo4。この陣営の副将であると共に、軍師でもある。彼女の計画能力には頭が下がる。
海野美月(3-C)、セブン・シスターズNo5。だがセブン・シスターズには反対の立場だ。
鳳カンナ(2-A)、次期セブンシスターズ第4位。彼女は海野美月と同じ吹奏楽部で仲が良いためらしい。
斉藤カノン(2-G)、言わすと知れた女子陸上部副部長。彼女はセブンシズターズでもインデオペンデンツでもないが、クラスの中心人物らしい。
天辺美園(1-E)、あたしのクラスだ。
【未定】
エスティ・ロスナバーグ(2-C)、次期セブン・シスターズ第二位。彼女はやはりどちらに加担するか保留中だ。
この時点で雲取側9クラス、あたし達の方は6クラス。
やはり1.5倍もの差がある。
だがあたし達にも有利な点がある。
数の上では雲取連合軍は数は多いが、基本的には「雲取麗華が有利だから仲間になっている」という奴らが多い。
その点、あたし達の咲藤同盟軍は「仲間意識」によって結びついている。
結束力は強いはずだ。
後は残りの1年生10クラス、2年生6クラス、3年生5クラスが、どちらの陣営に加わるかだ。
互いにクラブの伝手を使って、何とか中立のクラスを自分の陣営に引っ張ろうとする。
雲取麗華のテニス部も、咲藤ミランの女子陸上部も、部員数の多いクラブだ。
また京奈月理鈴のダンス部と、海野美月の吹奏楽部も、やはり部員数は多い。
苛烈な自陣営への勧誘活動が行われた。
あまりに過激すぎて
「午前中には咲藤同盟側だったのに、午後には雲取連合側に鞍替えしていた」
という事も、頻繁に起こった。
逆もしかりだ。
体育祭前日、あたし達『咲藤同盟軍』の主要メンバーは、ファミレスに集合した。
主要メンバーとは、咲藤ミラン、菖蒲浦あやめ、海野美月、鳳カンナ、斉藤カノン、そしてあたしの6名だ。
学校内では、どこにスパイがいるか解らないためだ。
咲藤ミランが、体育祭全体について説明する。
「午前中は各クラスの個別競技だ。ここでは普通に頑張るしかない。徒競走やリレーなどで出来るだけ一位を取って、抽選券を獲得するようにしてくれ」
海野美月が心配そうに言う。
「あたしは足は早くないんだけど」
「その点も考えてある。あたしとカノンと天辺の3人が、徒競走やリレーなどに出来るだけ多く参加する。そうして抽選券を1枚でも多く獲得するようにする」
あたしと斉藤カノンは頷いた。
あたし達なら、徒競走に関する限り、滅多な事では遅れは取らないだろう。
「女子騎馬戦は、全部で三回実施される。最初の一回目は予選だ。午前中に行われるが、これでほぼ半数は振り落とされるだろう」
咲藤がそう説明した。
騎馬戦は基本的にクラス対抗戦であるが、抽選券を一枚しか持っていないチームはここで負けてしまえば、二回戦以降に出場できない。
「本当の勝負は二回戦と三回戦だ。ここでいかに敵の騎馬を倒し、抽選券を集められたかで勝負は決する」
咲藤ミランの後を、菖蒲浦あやめが引き継いだ。
「この二回戦・三回戦では、事実上の決戦になるわ。わたし達サイドと雲取麗華の陣営のね。そして生き残っているクラスを、どれだけ自分達の味方として引き入れられるか?」
あたしが質問する。
「今のところ、他のクラスはどのくらいコッチに付くんでしょうか?」
菖蒲浦が頭を押さえるように答える。
「かんばしくないわ。コッチが1としたら、雲取麗華の方は2ぐらいの割合。何と言っても雲取麗華はセブン・シスターズのNo1だからね。彼女の財力も相当なものだし」
「正直言って、数の劣勢をひっくり返すのは無理だろう」
咲藤ミランがそう言った。
「だが、そのためにコチラとしても手を打った。京奈月理鈴だ」
意味がわからず、あたしは不思議そうに咲藤ミランを見た。
「京奈月は勝ち目のある方に着く。ただそれだけだ。竜宮と違って雲取麗華に忠誠を誓っている訳じゃない」
彼女はそこで声を潜めた。
「京奈月には『最初は静観して動かないように』頼んだ。報酬はあたしらが勝てば抽選券十枚だ」
つまり買収と言う事か?
あたしは驚いた。
ふと横を見ると、海野美月が嫌そうな顔をしている。
それを咲藤も感じたらしい。
「もちろんあたしだって、これがいいやり方だとは思っていない。だが兵力差が二倍以上になると、いくらコッチの結束力が強いと言っても、勝ち目はほとんどなくなる。コッチが一騎馬に対し、敵は二騎馬で対応できるんだからな」
菖蒲浦もそれに同意する。
「この騎馬戦は、言うなれば慈円多学園女子の最大の戦いでもある。キレイ・キタナイの問題じゃなく、どちらがどれだけ仲間を集め、相手の裏を書いた作戦が立てられるか、そういう勝負なの。そして学園側もそういう戦略性を重視している」
「わかっているわ、そんなこと」
海野美月は軽く頭を左右に振った。
「あたしだって綺麗事で生きてる訳じゃない。大丈夫よ、もう覚悟は出来ているから」
咲藤ミランは静かに頷くと、あたしを見た。
「最大の不確定要素は一年なんだ。コッチに着くクラスはどのくらいだ?」
「D、Fはあたし達に味方してくれると言ってます。ですがH、Iは渋水側です。それ以外はまだわかりません」
体育は2クラス合同でやる。
また美術・音楽などの選択授業は3クラス合同だ。
よって両隣のD組とF組は、あたし達と交流が深い。
また硬式テニス部が少ない事も幸いし、あたし達に協力してくれると言う。
だがH、IはG組と付き合いが深い。
残りは、どちらに着くとも態度を決めかねているのだ。
「わかった。残りのクラスは明日の結果を見て、という事だな。もちろん直前まで交渉は続けないとならないが」
咲藤ミランのその言葉に、全員がうなずく。
いよいよ明日が決戦だ。
この続きは明日7月13日(土)9時過ぎに投稿予定です。




