表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第三章 仁義無き戦い!少女戦国編
102/116

11、体育祭の激闘(レジスタンス結成!)

はあぁ・・・

あたしは内心ため息をつきながら、廊下を歩いていた。


 やっと「兵太とお弁当十回連続達成!」が出来たのに、余計な心配事が増えちゃったよ。

そりゃ彼氏ナシ女子には運動会の件は朗報だろうが、

彼氏がいる女子にとっては頭痛のタネ以外の何物でもない。


『リセット・ルール』『お弁当十連続達成の権利』


マジでそんなの、止めてくれよ。


 それ以外にも、体育祭で男子にお弁当を食べさせたら、それは5回分にカウントされると言う。

そこで事前に女子生徒にはWebで「誰とお弁当を一緒に食べたいか?」というアンケートを取り、

人気が一定以上ある男子には『臨時のお弁当お届けレース』が行われると言う。

そして七海が言うには、兵太はけっこう人気があるらしい。

マジであったま痛いぜ。


 ドシン!

廊下の角を曲がった所で、誰かにぶつかった。


「痛~い」


そう言ったのは、斉藤カノンだった。

あたしも痛かったが、無言で自分の頭をさする。

心労で、今は痛みも鈍いみたいだ。


「どうしたの、ボーっとしていたみたいだけど?」


「いや、別に・・・」


あたしは言葉を濁した。

他の人にいくら言っても、仕方がない話だ。


「でもちょうど良かった。天辺さんの所に行こうとしていたのよ」


あたしに?

斉藤カノンは、疑問の目を向けるあたしの手を取った。


「一緒に来て。これから作戦会議をするから」


 斉藤カノンに連れて来られたのは、またもや女子陸上部の部室だった。

既に咲藤ミランを含む主力メンバーが集まっていた。


「全員揃ったな、それじゃあ始めるとするか。カノン、頼む」


咲藤ミランがそう言うと、斉藤カノンは首を縦に振った。


「みんなももう知っていると思うけど、体育祭では女子には一人一枚、抽選券が配られる。この抽選券の賞品の中には、『交際をリセットする権利』や『意中の男子への弁当お届け十連続達成の権利』が含まれる」


斉藤カノンが全員の方を振り向いた。


「もっとも重要な点は、この抽選券が『他人に預ける事も譲渡する事も可能』という点。そして各種目の一番にはさらに抽選券が賞品として与えられ、それが最後の女子騎馬戦の出場資格となっている点」


斉藤カノンが一瞬、あたしの方を見た気がした。


「つまりこの体育祭は『いかに抽選券を集める事が出来るか?』という事が最大の焦点なの!」


ブッ!

マジ?そういう事なの?

正直、そこまで考えが回っていなかった。

だが確かに言われてみれば『預ける事も譲渡も可能』と言う事は、そういう意味になるだろう。

すると最大の焦点は・・・


「騎馬戦までに、どれだけの仲間を集められるか?」


答えは斉藤カノンが言った。


「一年生は知らないと思うけど、女子騎馬戦では、基本的にはそれぞれ武者役のハチマキに『抽選券』が貼り付けられる。武者がそのハチマキを取られるか、騎馬が崩れたら、その騎馬は負け。だけどこれには裏ルールが存在する」


みんな真剣に彼女の話を聞いている。

あたしも彼女が言う『裏ルール』の意味を知りたかった。


「抽選券は出場資格だけど、預ける事が可能。つまり必ずしも武者役が持っている必要はない。自分のチームが弱いと思えば、強い騎馬チームに預けておけばいい。自分が負けても、預けたチームが勝ち残れば抽選券は残る」


斉藤カノンは、ホワイトボードに簡単な絵を書きながら説明した。


「それだけじゃない。最初に約束をしておけば、強いチームが勝ち取った抽選券を、配当として受け取る事も出来る。これは弱いチームにとってのメリット。逆に強いチームのメリットは、抽選券を複数持つ事で、もし仲間の強いチームが負けた場合、そいつを復活させる事ができる。出場資格だからね」


そして斉藤カノンはもう一度全員を見渡した。


「つまりこの騎馬戦は『どれだけ仲間を集められるか』が最大のポイントになるの!」


 あたしは呆然として、彼女の説明を聞いていた。

まさか、たかが体育祭の騎馬戦に、そこまでの深謀遠慮があろうとは・・・。


 それまで腕を組んで黙っていた咲藤ミランがあたしを見た。


「天辺、おまえにもクラスの連中をまとめて、あたしの仲間になって欲しい」


「あたしが、ですか?」


ビックリして聞き返す。


「そうだ。天辺には人をまとめる力がある。自然にみんなの中心になっていく力だ。天辺になら出来るとあたしは信じてる」


いやぁ、あたし、そんなカリスマ性は無いよ。自信も無い。


 咲藤ミランは立ち上がると、前にあるホワイトボードの前に出た。


「騎馬戦は基本はクラス単位の勝負だ。だがクラスだけではなく、クラブによる繋がりもある。それとセブン・シスターズを中心とした陣営が出来ると思われる。おそらくお互いに争いあう事になろうだろう」


そしてミランがホワイトボードに書き込む。


雲取麗華(くもとりれいか)が率いる3-Hにはおそらく、天女梨々花(あまめりりか)の3-Bのと竜宮翠子(りゅうぐうみどりこ)の3-Fが付くだろう。天女は本心では雲取麗華を嫌っているが、正面切って敵対はしないからな。同じくセブン・シスターズの京奈月理鈴(きょうなづきりりん)の3-Lも向こう側だ。京奈月も勝ち馬に乗るタイプだ」


ホワイドボードに


 『雲取麗華(3-H)、天女梨々花(3-B)、竜宮翠子(3-F)、京奈月理鈴(3-L)』


と書き込まれた。


「2年生のインデペンデンツの連中は、どっちに着くかはまだわからない。だが1年の渋水理穂は雲取に付くだろう」


雲取陣営に『渋水理穂(1-G)が追加される』


「それに対し、あたしの仲間はセブンシスターズでは少ない。菖蒲浦あやめと海野美月に声は掛けてみるが・・・どうなるかはわからない。確実なのはここにいる斉藤カンナの2-Gくらいだ」


ホワイドボードを真ん中で線を引き、さっきとは反対側に


 『咲藤ミラン(3-J)、斉藤カンナ(2-G)』


と書き込む。


「ここで天辺のクラスが加わってくれれば、やっと5対3まで持ち込む事ができる。頼む、協力して欲しい」


 あたしは即答できなかった。

別に咲藤ミランに協力する事がイヤな訳じゃない。

むしろ『雲取-渋水連合』に対抗する陣営なら、こっちからお願いしたいくらいだ。

だけどあたしが言ったくらいで、クラスのみんなが賛成してくれるだろうか?


 そんな様子を見て、斉藤カノンが言った。


「天辺さん、あなた同じクラスの男子と付き合っているんでしょう?しかもその男子もかなりの有望株だって言うじゃない。これはあなた達カップルを守るためでもあるのよ」


 うう、そう言われても、あたしにはどうにも出来ないよ。

そりゃあ、そんな一大決戦なら、単独でいるのは不利な事はわかるけどさ。


 不安そうなあたしの様子を察したのだろう。

咲藤ミランが優しくこう言った。


「別に天辺にここで確約してくれ、とは言わない。もし天辺のクラスが『協力できない』と言うのなら、それも仕方がない。ただ天辺がここでアタシ達に協力する、という約束だけでいいんだ」


あたしは上目遣いに咲藤ミランの顔を見た。

クラス全体はわからないけど、あたしだけの協力でいいのなら・・・


「わかりました。ともかくあたしは咲藤さんに協力します。クラスのみんなにも、その事を勧めてみます」


「ありがとう。助かったよ。実は菖蒲浦(しょうぶうら)あやめも『天辺が一緒なら協力したい』と言っているんだ。これで雲取達との差もだいぶ縮まった」


 菖蒲浦あやめ?

あの紫光院涼様との『思い出の料理対決』で争ったセブンシスターズの一人が?

確かにあの時あたしは勝負に勝ったが、公平に二人ともお弁当を届ける事にした。

それを恩義にでも感じたのだろうか?


「大丈夫だ。天辺は自分が思っている以上に、人を引き付ける力があるよ。天辺ならみんなをまとめられる」


そう言って咲藤ミランは、あたしの肩を優しく叩いた。


・・・


「いいじゃん、乗ろうよ、その話」


クラスに戻ってあたしが真っ先に相談したのは、親友とも言うべき如月七海だ。


「セブン・シスターズが真っ二つに割れて戦う、慈円多学園最大の決戦!その内部から情報を取れるなんて、新聞部としては見逃せないじゃん」


 そう、彼女は新聞部だ。

同時に『慈円多ジャーナル』という『学園の非公認新聞&サイトを運営するサークル』の一員でもある。


 一緒にいた学級委員の佐野美香子も賛成する。


「何よりその陣営に加わらないと、あたし達のクラスは孤立して戦う羽目になるんでしょ。だったらどこかの陣営に加わらないと勝ち目がない。かと言って、あの渋水理穂の配下には付きたくない」


話を聞きつけて来たクラスの女子が集まる。


「そりゃ絶対に咲藤ミランの側に着くべきだよ」


「この前の学園祭で、渋水のG組には嫌な思いをさせられてるんだ。アイツの下は嫌だよ」


「迷う事なんてないよ。あたしらE組は咲藤ミランの陣営に入るべきだよ」


「そもそも美園を信頼して声をかけてくれたんでしょ。それに答えなきゃ」


「この前の学園祭は、美園のお陰であたし達はG組に勝てたんだし。今度はあたし達が美園に協力するよ」


特に後夜祭ステージ枠を奪われかけた、ガールズバンドのメンバーは熱心だった。


・・・良かった・・・


 あたしはホッとした。

正直、みんなが賛成してくれるか、自信が無かった。

でもこの前の学園祭での売上勝負の一件があったおかげか、予想以上にあたし達の結束力が高かった。

まぁ『渋水理穂憎し』の思いが、だいぶ高いみたいだが。


「ありがとう、みんな!わかった。あたし達E組は、咲藤ミランの3-Jに協力する。彼女にもそう伝えるよ。何とか協力して雲取麗華と渋水理穂の連合軍を打ち破ろう!」


あたしはみんなを見回し、力強くそう言った。

この続きは7月8日(月)の朝7時過ぎに投稿する予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ