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あなたにこの弁当を食べさせるまで!  作者: 震電みひろ
第三章 仁義無き戦い!少女戦国編
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11、体育祭の激闘(そんなのアリか?)

 第一談話室には、けっこうな人数が集まっていた。

ここにいるのは、全員が女子生徒だ。

セブン・シスターズの面々。

そして次期セブン・シスターズの候補であるインデペンデンツの連中。

さらには、この前の学園祭で人気投票でベスト7に入った女子達。


「天辺さん、そこに座って」


雲取麗華は、あたしに一番端の席を指さした。

一つだけイスが空いている。

渋水理穂の隣だ。

あたしは言われた席に腰を下ろした。

渋水が嫌な目付きで睨んでいる。


「これで全員揃ったわね」


雲取麗華が全員を見回す。


「これから体育祭の運営方針、並びに特典について打合せを行います」


・・・


「と言うように、全ての女生徒は『抽選券』を一票持ちます。それ以外に各競技で一位となった人にも、賞品として『抽選券』が渡されるわ」


雲取麗華が説明した。


「抽選券は、最後の『女子騎馬戦』の出場資格となります。これを持っていない女生徒は騎馬戦に参加できない事になるけど、他人に預ける事も譲渡する事も可能よ」


雲取麗華が言った事を、セブン・シスターズの一人・竜宮翠子がホワイドボードに書いていく。

彼女は『雲取麗華の腹心』と呼ばれている。

竜宮翠子は雲取麗華の後押しがあったからこそ、セブン・シスターズに入れたと、もっぱらの噂だ。


 しかし、抽選券ねぇ。

何の抽選をするんだろう。

当選者には『ハワイ旅行一週間』でもくれるんだろうか?


「当選者には『ハワイ旅行一週間』が贈られます」


ブッ、思った通りになった。

あたしの心でも読んだか?


「他にも『米国アイビーリーグ1ウィーク留学』『ルーブル美術館とベルサイユ宮殿を巡る一週間』『USJ特典付き入場券と宿泊券』『TDR内豪華ホテル宿泊券と入場券』『高級ブランド品』『高額商品券』などの景品があります」


ほぇ~、さすが慈円多学園。金があるなぁ。

高校の体育祭レベルの景品とは思えない。

こういうのも、卒業生や後援組織であるAWSSCからの援助で出来るんだろうな。


「でも最大の特典は『意中の男子への弁当お届け十連続達成の権利』と『他女子と交際が確定した男子を、フリーの状態に戻せる権利』って事になるわね」


あたしはもうちょっとで、イスからずり落ちる所だった。

マンガだったら間違いなく、ずり落ちていた事だろう。

なんだって?


『他女子と交際が確定した男子を、フリーの状態に戻せる権利』?


そんなの、今更アリなのか?


 雲取麗華は続けた。


「これは言わば『意中の男子を獲得できなかった女子の敗者復活戦』。入学当初はどの女生徒も、どうしても学園一番人気の男子にしか目が行かない。しかし時間が経つにつれ、一番人気は無理と言う事が解り、二番手・三番手、そして身近な男子へと目が移って行くもの。そもそもこの学校の男子は容姿だけではなく、才能や家柄、財産などに恵まれた優良物件ばかりだからね」


あたしは唖然した状態のまま、雲取麗華の整った顔を見つめていた。


「しかしその時には『身近な妥協男子には、既に確定した彼女がいる』というのでは、あまりに他女子はやり切れない。その救済措置として『交際をリセットする権利』を賞品として与える事にするわけ」


いやいやいや、ちょっと、やめてよ。

あたし、今日でやっと兵太と

『お弁当連続十回達成』したばかりなんだから。

そんな権利、もし川上純子ちゃんの手にでも入ったら、また一からやり直しになってしまう。


・・・これは何か?雲取麗華と渋水理穂が、あたしを陥れるために仕組んだ事なのか?・・・


おまけに『意中の男子への弁当お届け十連続達成の権利』って、

この権利があれば、一回でも弁当を受け取ったら婚約確定ってこと?


 あたしの目は、セブン・シスターズの一人・咲藤ミランの方に飛んだ。

彼女も最近、ファイブ・プリンスNo1の赤御門凛音様とうまく行っているはずだからだ。

だが咲藤ミランは腕組みをしたまま、目を閉じて黙っている。

どうやらこの件は、既に学校のルールとして決定してしまったものらしい。


 しっかし、なんだよ、この話。

まるで『最終問題は特別に100ポイント!大逆転可能です!』ってバラエティ番組みたいな展開は?

あたしは呆然としたまま、『体育祭における特別ルール』を聞いていた。


・・・


「なんだ、美園は知らなかったんだ。その『リセット・ルール』」


あたしの最も仲のいい友達・如月七海はそう言った。


「それ、有名だよ。別に昨日・今日出来たルールでもないし。だからあたし達一年女子でも安心できるんじゃん。3年の先輩がダメでも2年。それがダメでも同学年って、チャンスはあるから」


どうやらあたしの情報収集不足だったらしい。


「そうなんだ・・・あたしはてっきり、また渋水理穂あたりが雲取麗華に頼んで、あたしに嫌がらせを画策したのかと思ったよ」


「渋水がそう思った所で、雲取麗華はそれに乗らないでしょ。腐っても『慈円多学園の女王』だからね。そこまで露骨なえこひいきはしないよ」


「でもそうなると、同学年で付き合っている場合は、たとえお弁当十回連続達成しても、次の運動会ではリセットされてしまう可能性があるんだよね」


あたしが暗い顔になると、七海が慰める。


「でもそこまで心配する必要はないんじゃない。そもそも『リセット・ルールの権利』なんて、そんなにたくさん無いはずだよ。一学年で5枚程度、だから全体でも15枚しかないんじゃないかな?」


う~ん、慈円多学園は1クラス女子が28人。それが12クラスだから一学年336人。

その中の5枚か。

確率は2%弱だから多くはないが・・・。


「でも美園の心配もわかるよ。相手が3年の先輩ならともかく、同学年だとあと3回もリセットされるリスクがあるんだからね。それに・・・」


「それに?」


「ここだけの話だけど、中上君ってけっこう女子に人気があるんだよ。見た目も可愛いし『優しそう』『誠実そう』ってね」


 確かに兵太は、光るタイプではないが、見た目は可愛い系のイケメンかもしれない。

それに優しいのは当たっている。

誠実さも、まあマシな方か?


「あたし達1年女子も、そろそろ高嶺の花のファイブ・プリンスより、身近な男子に目が行く頃だしね。妥協彼氏ってところか?」


妥協彼氏とか言うな!

まるであたしが妥協したみたいに聞こえるじゃないかぁ!

しかも雲取麗華と同じ事を言いやがって。


「まぁそんなに心配する必要ないんじゃない?美園がしっかり中上君の気持ちを掴んでいれば、いいだけなんだから」


七海はそう言って笑いながら話をしめた。

こいつぅ、正論だけで話を終えやがって・・・

この続きは、明日7月8日(月)7時過ぎに投稿予定です。

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