やらかしの89
「さて、44階層か。」俺はそこに踏み込む。
「「「「「「「「「「あぎゃぁぁっぁっぁあ!!!」」」」」」」」」」
「おぉ、瞬殺なんだ・・」ドライアドが言う。
「魔石12、上魔石5、虚無の部屋に。」
「う~ん、不作だな。」
「フロアボスは、ブルーボア2頭です。」
「レベルは?」
「220です。」
「で、植物魔法が弱点?」
「はい。」
「拘束頼めるか?」
「任せて。」2頭とも蔦に絡め捕られる。
俺は、ゆっくりと歩いていき、刀を抜いて首を2個落とす。
「簡単なお仕事。」
「ブルーボア2頭、虚無の部屋に。」
「おぉ、良いねぇ。」
「レベル220の魔物の首を一瞬で落とすって、どんだけだよ!」ドライアドが叫ぶが無視だ。
「無視するなぁ!」
「出来るんだから、仕方ないだろう!」俺が言う。
「はぁ、なんか、考えたら負けだという気がする。」
「おぉ、正しい意見だ。」俺が言う。」
「そして、ただ、ダンジョンを攻略するんだ。」ドライアドがあきれる。
「45階層に行くぞ!」
「はい。」
「「「「「「「「「「「はぎゃやぁぁぁぁぁぁぁあ。」」」」」」」」」」」」
「魔石15、上魔石7、マスターバハロー2、虚無の部屋に!」
「ねぇ、蹂躙って言葉知ってる?」
「あぁ、俺のための言葉だな。」
「フロアボスは、レッドボア。レベル300です。」
「弱点は?」
「水魔法です。」
「水魔法?」
「はい。」
「つまり、氷魔法も効くと?」
「はい。」
「僕の出番は?」
「ない。」
「一応聞くぞ、俺の言葉がわかるか?」
「ぶきぃぃ!」
「ツンドラ!」
「特上魔石1個を虚無の部屋に。」
「46階層だ。」
「また蹂躙なの?」ドライアドが聞いてくる。
「いやぁ、さすがにそろそろ違うだろう?」
「ふ~ん。」
そして、一歩踏み出す。
「「「「「「「「「「「「「「「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」」」」」」」」」」」」」
「さっきより酷いよ。」ドライアドが言う。
「ケイジ様、今その刀はレベル70以下の者を瞬殺可能です。」
「な?」
「レベル70?」
「はい。」
「刀が敵を瞬殺し、その経験値で更にレベルが上がる、理想のスパイラルですね!」
くそう、紫炎にデコピンを食らわせたい!
「なぁ、マシクフのダンジョンは何階層だ?」
「50階層です。」
「もう、最後まで直通で良いよな?」
「いえ、本来の目的である、お肉を拾わないと。」
「あぁ。」
「魔石20、上魔石18、マスターバハロー3虚無の部屋に。」
「あぁ。」
「フロアーボスは、レッドボア、レベル310です。」
「ツンドラ!」
「ブギュア!」
「レッドボア、虚無の部屋に。」
「なんか、惰性で潜ってる気になってきた。」
「お肉のためです!」紫炎が言う。
「あと4階か。」そう思いながら、47階層に降りる。
「ん?」
「ケイジ様、ここの階は雑魚がいません。」
「その様だな。」
「この階層は、草原になっているのか。」
「ケイジ様、攻撃が来ます!」
草の中を、二つの何かが突進してくる!
その何かが、草むらから得てきた瞬間に、蔦が伸びて地面に捕らえる。
「捕まえたよー。」ドライアドの間延びした声がする。イエローボアとブルーボアがその正体だった。
俺は、速攻で首をはねる。
「特上魔石とイエローボア、虚無の部屋に。」
「レッドも来るよな。」
「はい。」
「うん、これか。」俺は気配を察知して、その方向にツンドラを置いておく。(・・・・・)
「ぶぎゃぁ!」
「特上魔石、虚無の部屋に。」
「さて、あの奥にいるのが、フロアーボスか?」
「はい、グレートボア、レベル380、弱点はありません。」
「あぁ、そう。」俺は一歩前に出る。
「俺の言葉がわかるか?」
「ぶぎゃぁぁ!」
「うん、紫炎、虚無の窓を!」
「はい。」
俺は、その窓の中に見えた、グレートボアの首を切る。
「もはや、虐殺も生ぬるいね。」ドライアドがあきれた声で言う。
「グレートボア、虚無の部屋に。」
「お、ラッキー! お肉が残るのはありがたい!」ほくほく顔で俺が言う。
「さて、元気に次の階に行くぞ。」俺は虚勢を張って言う。
「48階層は、16階層と同じボーナスステージ。入口から続く廊下の左右に8個の扉があります。」紫炎が言う。
「それ、ドア開けた瞬間に瞬殺ってやつ?」
「最後の部屋以外は肯定します。」
最後の部屋こわ。
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「ケイジ様、7部屋分で、魔石77、上魔石33、マスターバハロー7、虚無の部屋に。」
「おぉ、紫炎、ご苦労さん。」
「で、この部屋が最後か?」
「はい。」
「とりあえず、特攻!」そう言いながら、俺は部屋に入る。
「「「「「「「「「「「へぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」」」」」」」響く悲鳴に変わりはないな。
「魔石11、上魔石4、マスターバハロー4、虚無の部屋に。」
「おいおい、久々に圧を感じるぞ。」
「フロアーボス、マスターボア、レベル400です。」
「おい、俺の言葉がわかるか?」
「ぶもぉぉ!」
「ははは、紫炎、弱点は無いんだよな?」
「はい。」
「ははは、ちょっと、色々試してみるか。」俺はそう言うと、遮断を唱える。
「あれ、ケイジ、どこに行ったの?」ドライアドが言う。
「ここにいるぞ。」
「え? 声が聞こえるのに、見えない?」
「あぁ、見てろ。」そう言いながら、俺はマスターボアに近づく。
「俺の存在を、認識できないのがお前の敗因だ。」そう言いながらマスターボアの首を落とす。
「マスターボア、特上魔石、虚無の部屋に。」
「おぉ、魔石と肉が残るのか、本当のボーナスステージだな。」
「次。49階層!」俺が言う。
(御意!)
何だろう、ダンジョンが俺に応えたような気がする。
「次のフロアは、レベル500グレートマスターボア、一頭のみです。」
「なんだよ、グレートマスターボアって。」
「ここのフロアーボスです。」
「もはや、人間が来れないレベルだよな、何のために作ったのか知りたいレベルだな!」
「肯定します。」
「いや、それは良いんだ、しかし、そいつ以外敵がいないフロアってなんだ?」
「48階層と同じボーナスステージかと。」
「そうなのか?」俺はそう言いながら、そこに踏み込む。
どどどどど! 途端に聞こえる足音。
突っ込んでくる黒い塊。
48階にいたマスターボアが全長2m、しかし今俺に迫ってくるグレートマスターボアは、どう見ても全長5mを優に超えている。
しかも、イノシシのような、およそ50cmはある牙が付いている。
「あれ? ボアはイノシシか?」俺はそう思いながら、腰の刀を抜く。
突進してきた、グレートマスターボアを2歩横にずれてかわし、その一瞬で首を切った。
「グレートマスターボア、特上魔石5個、虚無の部屋に。」
「なんか、凄いお肉が貯まって行くな~。」
「いや、それ以前に、君の攻撃力が異常だからね。」ドライアドが怒りながら言う。
なんで、怒っているんだ? 解せん。
「さて、次が最下層で良いのかな?」
「はい、50階層、フロアボスはマスターミノタウロスです。」
「うわぁ、言葉が通じそうで嫌だな。」そう言いながら、俺は最終層への階段を下りる。
「おぉ、やはり安全地帯なんだな.」
「君には必要がない処だね。」ドライアドが言う。
「きっと、お前の援護もいらない処だから、帰ってもいいぞ。」
「ダンジョンの中なら助けるって約束したじゃないか、一緒に行くよ。」
「まぁ、勝手にしていいぞ。」
「ぶぅ。」ドライアドが頬を膨らませる。
無視して、俺は目の前のドアを開ける。
「ふむ、ドアを開けただけじゃ、何も起こらないか。」そう言いながら、そこへ一歩踏み出す。
其の途端に、ドアが閉まり、部屋の中にそれが現れる。
「ぶもぉぉ!」身の丈4m、毛むくじゃらの頭に、筋骨隆々の身体、下半身も毛むくじゃらの獣の姿。
両手に斧を持ち、狂気に満ちた赤い目でケイジを見据える。
「あ~、一応聞いておく、俺の言葉「ぶもぉぉ!」ケイジの言葉を遮り、攻撃をしてくる。
「せっかちだな。」そう言いながら、俺は斧の攻撃を左手ではらう。
「ぶも?」マスターミノタウルスは、驚愕を浮かべながら、更に左手で斧をふるう。
「無駄だ。」俺はそう言いながら、その攻撃を右手ではらう。
「ぶもぉ!」マスターミノタウルスの顔に恐怖が現れる。
「相手が悪かったな。」俺はそう言いながら、マスターミノタウルスの心臓の場所に、掌底を打ち込む。
「ぶぎゃ!」マスターミノタウルスの心臓が、背後に飛び出す。
「・・・・。」声もなくマスターミノタウルスがその場に落ちる。
「おっと、舌、舌。」そう言いながら、舌を切り取る。
「おや、魔石にならないな?」
「そこに落ちている、心臓も高級食材です。」
「え? そうなの?」
「はい。」
「マスターミノタウルスは、脳、眼球、耳、こめかみ、額、頬、首、腕、胸、背中、それ以外はミノタウルスと同じ食材です。」
「え~っと、全身?」
「肯定します。」
「紫炎、全部虚無の部屋に。」
「はい。」
パチパチパチ、手を叩く音が響く。
「まさか、このダンジョンを攻略する人間がいるとは思わなかったよ。」その存在がダンジョンの奥から現れて言う。
「初めまして、だよね、僕はバラン様派閥、第13位、火焔竜マグマと言います。」
「このダンジョンのダンジョンマスターってことで良いか?」
「はい、その通りです。」
「おぉ、俺はケイジだ宜しくな。」
「うん、ケイジ、記憶した。」
「で、お前に命令する。」
「うん。」
「これ以降も、同じようにダンジョンを制御しろ。」
「え?」
「もう一度言おうか?」
「いや、良い、其れで良いの?」
「おぉ。」
「解った、今まで通りダンジョンを維持する。」
「よし、言質捕ったぞ、管理宜しくな。」
「はい。」
「んじゃ、紫炎、一階層に。」
「はい。」
「あ~、深かったな。」俺はそう言いながらダンジョンを出る。」
「こんにちは。」
「おぉ、こんにちは。」
「何階層?」
「あぁ、50階層だな。」
「へ?」
「ダンジョンは攻略したよ。」
「えぇ?」
「大丈夫、コアは壊してないから、お肉は採れるぞ。」
「マジですか?」
「おぉ、ギルドには報告しておくよ。」
「あの、ミノタウルスに氷魔法の情報は、もしかして?」
「ははは、ノーコメントだ。」