やらかしの88
「断る!」
「そんな!」
「コカトリス以上の肉なんか知らんわ。」
「ケイジ様、オークの上位種、マスターボアがいます。」
「紫炎、空気読もうか?」
「マスターボアは、個体種も少なく、一般には知られていないお肉です。」
「なんだそれ?」
「一部の貴族に、幻の肉として伝承されています。」
「因みに、その肉の1重幾ら?」
「10万Gが妥当かと?」
「イース、聞こえたか?」
「ふ、ふ、ふ、60年ローンで何とか。」
「あほか、16万Gを毎月払えるのか?」
「最後は踏み倒して。」
「イース、今現在から、俺はエゴワカの保護を消すわ。」
「え?」
「お前の性根、受け取った。」
「ほほほ、イース、情状酌量の余地はありませんね。」ヒドラが言う。
「なぁ、そんな。」イースがその場で膝まづくが、知ったことか。
「あの、ケイジ様、お慈悲を。」キシリアーナさんがその場で跪くが、
「イースが悪いのですよ。」俺は冷たく言う。
「結婚でもなんでも、勝手にすればいいんだ、国王や領主の祝福なんか気にしなければ良い。」
「ほほほ、ケイジ様、お優しい。」
「知らない。」
「まぁ、知らないお肉には興味があるな。」
「で、其れは何処で狩れるんだ?」俺が紫炎に問う。
「マシフクの下層です。」
「なんだ、そんなことで良いのか?」
「ただ、そんなものをホイホイ提供したら、俺たちの結婚が大変になるな。」
「え?」
「なんだ、ヒドラは俺との結婚は嫌か?」
「い、いえ、いえ、ご主人様、まさか正式に結婚いただけるとは。」
「あぁ、何で俺を鬼畜にしようとするかな? 責任はかっちりとる!」
「ご主人様!」ヒドラに唇を奪われる。
「むぐ!」
「ほほほ、まさかご主人様が、そのようにお考えだとは、早速嫁ネットで報告です。」俺から離れたヒドラが良い顔でサムズアップする。
「皆、納得して諦めていたのです。」
「俺は、鬼畜認定か!」
「ほほほ、ケイジ様、今からは大丈夫ですよ。」
ヒドラが言うが、何にも解決していない。
「はぁ、イース、ギルドに依頼を出せ、受ける受けないは、内容次第だ。」
「分かりました!」
「紫炎、ヤミノツウの孤児院に。」
「はい。」
俺はそこを潜る。
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翌日、俺はマシクフのダンジョンに潜った。
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「次で何階層だ?」
「40階層です。」
「この階も瞬殺か?」
「はい。」
「はぁ、今までの戦績は?」
「屑魔石多数、魔石1200、上魔石177、特上魔石15、バハロー64、マスターバハロー14、ミノタウルス10です。」
「ふぅ、じゃぁ、行くか。」俺は40階層に足を踏み入れる。
「「「「「「「「「ひぎゃぁぁぁぁぁぁ!」」」」」」」」」
「フロア殲滅、フロアボスはレベル200ミノタウルスです。」
「魔石12、上魔石5、バハロー1、ミスリルの網? 虚無の部屋に。」
「ミスリスの網?」
「はい。」
俺はそれを取り出す。
「おぉ、本当にミスリルの網だ。」
「焦げ付きなし、コンロの熱をそのまま肉に伝える優れものです。」
「これ、コピーしたいな。」
「可能です。」
「え?」
「バンテコのヤジカ親方なら複製が可能です。」
「マジか!」
「はい。」
「解った、このダンジョンを終わらせたら会いに行くよ。」
「はい。」
「で、ミノタウルスはツンドラで?」
「はい。」
「ツンドラ!」
「ブモホホホ。」
「ケイジ様、上級魔石2個です。」
「あぁ。」
「
「で、ここからが問題か?」
「はい、41階層、雑魚は一掃ですが、フロアボスは、レベル300イエローボアです。」
「瞬殺だな。弱点は?」
「植物魔法です。」
「え?」
「植物魔法です。」
「なんだそれ?」
「ぐをおおおお!」階層主が咆哮する。
「植物魔法の定義がわからん。」
そう思いながら、成長魔法「グロウ」を唱え、ぶつける。
「ぐぎゃぁぁ。」
「おぉ、利いてるな!」
「グロウをそう使う人を初めて見ました。」
「いや、植物魔法って初耳だし。」
「エルフの魔法がそれにあたります。」
「いやいやいや、知らないし!」
「蔦などを使う魔法が一般的ですが?」
「初めて聞いたよ!」
「植物の聖霊よ、かの者の動きを止めてくれ!」俺が言う。
「了!」
イエローボアの足に蔦が絡まり、その身を押さえつける。
「おぉ、ありがとう。」そう言いながら、イエローボアに近づき、首を落とす。
イエローボアは、特上魔石に変わった。
「あぁ、残んなかったかぁ。」俺はそう言いながら、特上魔石を拾う。
「42階層もイエローボアがフロアボスです。」
「え? そうなんだ、次は残ると良いなぁ。」そう言いながら42階層に足を踏み入れた。
「「「「「「「「「「「ぶぎゃぁぁぁぁあぁぁぁ」」」」」」」」」」
「まだ瞬殺か。」
「魔石7、上魔石8、アダマンタイトの鍋? 虚無の部屋に。」
「アダマンタイトの鍋?」
「はい。」
俺はそれを虚無の部屋から取り出してみる。
「う~ん、鍋だな。」
それ以外感想が浮かばない。
「ミスリル以上の熱伝導率があります。」
「え?」
「煮込みなどに使うと、時間短縮になります。」
「アダマンタイトの価格を考えると、この鍋10G以上の値段になるな。」
そういいながら、虚無の部屋にしまう。
「もう一回、奴を止めてくれるか?」
「了。」イエローボアに、蔦が絡まる。
俺は首をはねる。
「イエローボアが残りました。」
「やった!」思わずガッツポーズをとる。
「ふぅ、なんか気が重い。」そう言いながら、43階層に進む。
「「「「「「「「「「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」」」」」」」」」
「ふぅ、成仏してくれ。」
「魔石9、上魔石11、マスターバハロー1、虚無の部屋に。」
「おぉ、マスターバハローは美味しいな。」
「フロアボスは、ブルーボアです。」
「おぉ、弱点は?」
「植物魔法です。」
「だから、植物魔法ってなんだよ?」
「成長、繁栄、収穫。」紫炎が言う。
「解んないよ!」
「植物の聖霊、そいつの足を止めてくれ!」
「うん、良いよ、でも、ここからは有料だよ!」耳に声が聞こえる。
突進してきたブルーボアは蔦に絡まって無力化した。
俺は、その首を落とす。
(ブルーボアが残りました、虚無の部屋に。)
「おぉ、助かったよ。」
「いやいや、君の力、恐れ入ったよ。」
「お前は誰だ?」俺が言う。
「僕はドライアド、植物の聖霊だよ。」
「で、なんのようだ?」
「水をくれないかい?」
「結婚とか、なんかの儀式じゃないだろうな?」
「まさか、ノームじゃあるまいし、その奥にある木の根元にまいてほしいんだ。」
「あぁ、そのくらいなら。」俺は魔法で水を生成し、木の根元にまく。
「ふぅ、いつ以来だろう、生き返ったよ。」
「あぁ、そいつはよかった。んじゃな。」俺は奥に向かう。
「あぁ、一緒に行くよ。」
「ん? 来たけりゃ、来ればいい。」
「ダンジョンの中なら、助けてあげるよ。」
「あぁ、ありがたい。」
「うん。」
「さて、44階層か。」
「マスター、私の出番は?」
「ない、かな?」
「最近、扱いが雑になってないか?」
「いや、気のせいだ。」
「本当か? マスター。」
「あぁ。」
(最初から変わってないよな。)