表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/203

やらかしの40

「次で何階層だ?」

「14階です。」

「しかし、まだその部屋に入った瞬間に虐殺するレベルなんだな。」

「はい。」

「広さもそれほど広くないし、意外と低レベルのダンジョンなのかな?」


「ミノタウロスが凶悪なだけで、他は脅威ではありません。」

「そうだよなぁ。」

「さてこの階層も虐殺かな。」

「肯定します。」

「はぁ。」俺はため息をつきながらそこに足を踏み入れる。

「「「「「「「「「ふぎゃぁぁぁぁぁぁ」」」」」」」」」

「バハローの亡骸を確認しました。」

「それは虚無の部屋に入れろ。」

「はい。」

「良魔石は17個です。」

「其れも虚無の部屋に。」

「はい。」

「確認だ。」

「魔石、バハロー、ミノタウルスはいくつだ?」

「はい、魔石は149個です。」

「バハローは今ので7個体になります。」

「ミノタウルスは3体分を捕獲しています。」


(う~ん、どうなんだろう?出てきたバハローは14階で300越え、残ったお肉は7個。)

(めちゃめちゃ高級な気がする。)

(ミノタウルスも偶数階で遭遇してるけど、5分の2でしかお肉にならない。)

「ケイジ様、ミノタウルスのレベルが抜けています。」

「あぁ、ミノタウルスのレベルは100近かったけど、楽勝だった。」

「そうか、一般の人間は無理か?」

「はい。」

「ケイジ様、この部屋のフロアボスはミノタウルスです。」

「おぉ、4体目になるかな。」


「どうでしょうか、このフロアのミノタウルスは102レベルです。」

「ふと思ったんだが、今までミノタウルスを刀で討伐してたが、肉質を落としてないか?」

「主に下半身が食に適しているので、問題ないと思いますが。」

「ミノタウルスって、魔法耐性あるのか?」

「ほぼありません。」

「凍らせれば良くないか?」

「マスター、やってみる価値はあると思う。」

「ケイジ様、私も推奨します。」


「おぉ、紫炎も推奨してくれるのなら、やってみるか。」


「この奥か?」

「はい、マスター。気配を感じます。」

「レベル100を超えるのか。」

「御意。」

 意を決して足を踏み入れる。

 その瞬間、入った空間が遮断される。

「な。」

 そして吹き荒れる暴風に似た敵意。

「これは、やばい奴かな?」

「どうでしょうか?」

「おぉ、紫炎さんは通常営業だな。」

「マスター、レベルが92になった私でも狩れる。」

「な、その程度?」身構えた自分が恥ずかしくなった。


「一応聞くぞ。俺の言ってる事理解できるか?」


「ぶひぃぃぃ!」

「理解してないと判断するぞ!」

「違ってたら後で申告しろよ。」

「最もその時は、お肉になってるけどな。」


 俺は、そのお肉、いやミノタウルスに冷却魔法を唱えた。

「フローズ!」

 マイナス5度の冷気がミノタウルスの上半身を凍らせた。

「ブモ、ブモォォ。」ミノタウルスが咆哮する。

「とりあえず、実験に協力してもらうか。」

 ミノタウルスは氷の拘束を解く。

「ふむ、マイナス5度じゃ駄目か。」俺はそう思うと、その先を唱える。

「ツンドラ。」フローズの10倍の冷気がミノタウロスを襲う。

 先ほどよりも厚い氷が、ミノタウルスの上半身を拘束する。

「ぶもぉぉ。」

「おっ、効いてるみたいだな、動きが鈍くなってきた。」

「ぶもぉぉ・・・。」ズシ~ン!

 ミノタウロスは一声泣いて、後ろに倒れた。

 そしてそのまま、魔石を残して消滅した。

「あ~、残んなかったか。」

「マスター、これは上級魔石だ。」


「おぉ、良いものが手に入ったな。」

「次は15階層か。」

「とりあえず魔法が効くのは判ったから、後は殲滅だな。」

「15階層の階段です。」

「まだ、殲滅レベルか?」

「はい。」

「ちなみに、15階層の魔物のレベルはいくつだ?」

「15です。」

「・・・」

「ケイジさま?」

「俺、23階層までフリーパス?」

「そのようですね。」

「紫炎、他人事だな。」

「ははは、ま・さ・か・ぁ。」

「紫炎、その棒読みは何かな?」

「はぁ、何のことでしょう?」

「はぁ、まぁいいや、行くぞ。」

「はい。」

 俺は15階層に足を踏み入れる。

「「「「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁ」」」」」」

「はぁ、なんか自分が悪者になった気がするよ。」

「ケイジ様、この階は魔石だけです。」

「虚無の部屋に。」

「13個を収納しました。」

「もう、サクサク行こう、次の16階層はどんなだ?」

「おや?今までと違います。」

「ほぉ、どんなふうに?」

「フロアボス。いえ、ルームボスが多数います。」

「ルームボス?」

「はい、部屋ごとのボスです。」

「なんか、いきなり胡散臭くなってるな。」

「しかも、その存在は今までのフロアボス以上です。」

「おぉ、それは楽しみだな。俺の魔法の威力を試させてもらおうか。」

 

 俺はそこに踏み込む。

「「「「「「「「あぎゃぁぁぁぁぁ」」」」」」」

「うん、通常運転だな。」

「マスター、魔石が12個、バハローはありません。」

「うん、で、目の前に廊下が見えるが、扉が8個見える。」

「それぞれの扉ごとにルームボスがいます。」

「ちなみに、全部ミノタウルスか?」

「いえ、マスターバハローです。」

「なんだそれ?」

「バハローの上位種で、バハローより美味い肉が採れます。」

「おぉ、ボーナスステージじゃないか。」

「肯定します。」

「ははは、じゃぁサクサク攻略するか。」

「はい。」

 俺は最初の扉を開ける。

「「「「「「「みぎゃぁぁぁぁぁ」」」」」」」」

「あぁ、心が痛い。」

「マスター、マスターバハローの屍一頭と魔石が13個です。」

「虚無の部屋に。」

「はい。」

「サラン。」

「はい、マスター。」

「これ以降は、虚無の部屋に入れたものだけ報告してくれ。」

「御意。」

 そして、残り7個の部屋を蹂躙して最後のフロアボスに向かった。

「マスターバハローは全部で3頭だけで、魔石が45個か。」

「多いんだか、少ないんだか。」

「フロアボスがいます。」

「俺意外には、凶悪なフロアだな。」

「御意。」

「最も、俺にはボーナスステージだけどな。」

「御意。」


「さて、またミノタウルスかな?」

「はい。」


「あ~。言葉通じないよな?」


「ブモッモモオォぉっぉ。」

「通じてないでいいんだよな?」


「ぶもぅ。」ミノタウロスが持った斧で攻撃をしてくる。

 どごぉぉっぉぉんっんん

 撃ちつけられた地面が炸裂する。

「おいおい、世界にやさしくしろよ。」

「フローズ」

「ぶひゃ、ぶにゃ。」

「おぉ、速攻かよ。」

「ミノタウロスの死体が残りました。」

「死体って言うなぁ。」


そう言いながら、俺は首を切り落とし、舌を切る。

その瞬間、首が魔石に代わる。

「そして、胴体を切断っと。」

 下半身は紫炎が虚無の部屋にいれる。

「そして魔石が転がるっと。」俺はそれを虚無の部屋に入れながら言う。

「マジでミノさん、美味しいな。」


「さて、今何時ごろだ?」

「ケイジ様の世界で、夕方6時ごろです。」

「おぉ、随分時間が経っていたんだな。」

「はい。」

「一度戻るか、紫炎、此処から華厳の店に繋げるか?」

「いえ、一度ダンジョンを出ないと無理です。」

「では、ダンジョンの出口には?」

「繋ぎました。」

「おぉ、仕事が早いね。」そう言いながら、そこに潜った。


「ぷは~、空気がうまいなぁ。」俺はダンジョンの外の空気を吸いながら言う。


「こんにちは。」いきなり声をかけられた。


「あぁ、こんにちは。」

「どうでした?」

「おぉ、バハローは採れたよ。」

「おぉ、羨ましい。」

 そこにいたのは、男二人、女二人のパーティーだった。

「これからか?」

「はい。」

「二階のフロアボスはミノタウルスだったぞ。」

「え? 2階で?」

「あぁ。」

「ま、まさか、それを見て帰って来たのですか?」

「いや、倒した。」

「は?」

「ん?」

「いや、ミノタウルスを倒した?」

「あぁ。」

「いやいやいや、ミノタウルスですよ、普通人間は倒せませんよ。」

「魔法が効いたぞ。」

「え?」

「氷系で、マイナス50度を胴体、特に心臓に近い所を凍らせれば一発だったぞ。」

「どんな魔法ですかそれ?」魔法使いらしい女が聞いてくる。

「俺の場合、ツンドラかな。」

「な、最上級魔法!」

「え? 中級だろ。」

「マスター、只の人間にはその魔法は難しいかと。」

「え? な、サラマンダー? 主体?」パーティーのリーダーらしき男が言う。

「おぉ、良く分かったな。」

「は、は、初めて見た。」

「私はマスターの僕、サランという。」

「は、は、はい、よろしくお願いします。」

「リーダー、鼻の下のびてるよ。」

(ケイジ様、フローズを10回重ね掛けすれば、ぎりぎり倒せるかもしれません。)

「おぉ、そうなのか?」

「え? 何がですか?」

「そこの魔法使いの君、フローズは使えるか?」

「え?それなら。」

「何回唱えられる?」

「え? 魔力残によりますが、12回ほどは。」


「おぉ、フローズを10回重ね掛けすればミノタウルスを撃破できるかもな。」

「え? あの、そんな情報、信用していいんですか?」

「あぁ、名乗ってなかったな、俺はケイジだ。」

「ケイジ?」


「あぁ、思い出した、サラマンダーを従属させた、精霊様の加護を貰った男!」

「あぁ、それ、俺だ。」

「うおぉぉ、感激っす、精霊様の加護を貰った人に出会えるとは。」

「あ、良かったな。」

「握手してください。」

「おぉ、良いぞ。」


「おぉぉ、俺、もう手を洗わないぞ!」

「いや、洗おう!」

「ああああ、あの、なでなでしてもらっていいですか?」

「え? いや、良いけど。」

「お願いします。」

 俺はその女の頭を撫でる。

「これで良いか?」

「はい、あたし一生頭を洗いません。」

「マジで洗え!」


「ミノタウルスは、フローズを10回以上重ね掛けをすれば倒せる情報は、お前たちがギルドに報告して良いからな。」

「あの、ケイジ様、その情報はきっと1000G以上の価値があると思いますが。」

「袖すり合うも他生の縁だ、お前たちにやるよ。報告するのも、お前たちで秘匿するのも好きにしていいぞ。」

「マジですか?」

「マジだ。」


「あの、聞いていいですか?」パーティーの中のシーフらしき女が言う。

「ケイジ様は、ミノタウロスを狩ったのですか?」


「8体ほどな。」

「マジですか!」

「めちゃくちゃレベルが上がったんじゃ?」


「いや、全然、俺はカンストしてるらしいからな。」

「はぁ、本当に凄いのですね。」

「じゃ、俺達は帰るよ、君たちの健闘を祈る。」


「ありがとうございます。」

「紫炎、華厳の店に。」

「はい。」

「じゃあな。」俺は潜る。


「な、一瞬で消えた。」

「きっと、ケイジ様が言った事は本当だ。」

「俺達でも、ミノタウロスを狩れるんだ。」

「魔力回復薬は3本ある。」

「ケイト、行けるか?」魔法誓いの少女に、リーダーの男が聞く。

「やってみる。」


そして、とある冒険者のパーティーがミノタウルスを狩った事が、この町で話題になるのは少し後の事だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ