やらかしの29
「お前達、ケイジ様のお言葉を理解したな。」
「あの、ラドーン様。」
「ヒドラだ。」
「え?」
「私は、ケイジ様からヒドラを拝命した。」
「では、ヒドラ様、私はその者を信用できません。」
「恐れながら、某もです。」
「童もだわな。」
「な、イース、シーレ、メバツ、お前達はケイジ様のお力が判らぬか?」
「恐れながら、私には。」
「お前達、私は、ケイジ様に名をいただき、レベルが195になっている。」
「おぉ、流石はラドーン様だ。」
「イース、二度と言い間違えは許さぬぞ、私はヒドラだ。」
「あぁ、良いよ、ヒドラ。」
「いや、でも。」
「お前達、魔族や獣人は力を示さないと駄目なんだろう?」
「恐れながら、その通りではございますが。」
「イース、お前は第8位か、レベルは105、ほぉ、光属性か、珍しいな。」
「な、看破された?」
「シーレ、お前は19位だな、レベル98で属性は風。ほぉ音速で飛べるのか凄いな。」
「え、え?」
「そして、メバツ、第23位のお前も風属性か?レベルは89、おぉ、シーレよりも早く飛べるのか。」
「な、一瞬で。」
「流石はケイジ様でございます。」
「ヒドラ、こいつらにお前の力を教えても良いか?」
「えぇ、ケイジ様の御心のままに。」
「此処に居るお前達の主は、レベル195、属性は風だが、上位の暴風だ。」
「はい、その通りです。」
「しかも、2重属性と言う、ユニーク属性で、雷を併せ持っている。」
「ははは、流石でございます、ケイジ様。」
「暴風と雷を合わせたハリケーンと言う技で半径10km以内を壊滅できるのか、凄いな。」
「いえ、それでもケイジ様に傷ひとつ付けられないのは解ります。」
「さて、どうしたら理解してもらえるかな?」
「いえ、この者達も理解しているかと。」
「頭で理解しても、心が理解しないんだよ。」
「ん~、お前達、最大の力で俺に攻撃してみるか?」
「な、そう言えば、シンの最大攻撃を受けて無傷だったとか?」
「おぉ、イースだったか?その通りだぞ。」
「信じられません。」
「イース、お前はシンとほぼ同格なのだろう?」
「えぇ、そうです。」
「んじゃ、お前の最大の攻撃を俺が受ければ納得できるか?」
「いえ、それは、此処では狭すぎます。」
「ヒドラ、何処か良い場所はないか?」
「おぉ、この城の裏手に20km四方の空き地がありますので、其処でなら。」
「おぉ、その広さなら、ヒドラの技も受けれるな。」
「おぉ、童はそれを見れば納得するぞ。」
「某もです。」
「おぉ、それは良いな、んじゃ、ヒドラ、悪いが付き合ってくれ。」
「はぁ、仰せのままに。」
「んじゃ、行こうか。」
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「さて、イース、納得できる攻撃をして来い。」
「ケイジ様、最早意味をなさなそうですが、本能を納得させるため、行きます。」
「私の最大攻撃です。ビルド・レイ!」
俺の頭上にレンズが生成され、太陽の光が一瞬で俺に集約される。
「おぉ、1万度を超えたな、凄い技だ。」
「な、無傷ですか?」
「いや、服の一部が焦げたぞ。凄いな。」
「ケイジ様、このイース、御身に従います。」
「おぉ、よろしくな。んじゃ、次はヒドラで良いか?」
「シーレとメバツでも良いぞ。」
「シーレ、メバツ、ケイジ様をお殴りなさい。」
「え?ラド・ヒドラ様?」
「おぉ、ヒドラ、良い考えだ。」
「シーレ、メバツ、お前達の最大の力で俺を殴って良いぞ。」
「は?」
「多分、お前達の拳は砕けるが、俺が治してやる。」
「な、たかが人間風情が!」
「魔族を舐めるな!」
「それを聞くのは何度目かな。」シーレとメバツの拳が同時に俺の顔に当たる。
そして、いつものように殴った方の拳が手首まで無くなる。
「あぎゃぁぁぁ。」
「うぎゃぁぁぁ。」
「ヒール!」
「あぎゃぁ、あれ?」
「うぎゃぁ、へ?」
その拳を見た二人は、お互いの顔を見合わせると、俺の前に来てひれ伏す。
「数々の失礼を謝罪致します。」
「この身はケイジ様にお捧げ致します。」
「おぉ、解ってくれて嬉しいよ。」
「はっ。」
「さて、ヒドラも行っとくか?」
「ふふふ、私はケイジ様のお力が見えております。」
「え~、でもこいつらも見たいんじゃないか?」
「イース、見たいか?」
「ヒドラ様には申し訳ございませんが、結果が判った見世物は興味がありません。」
「と、言う事です、ケイジ様。」
「まぁ、良いや。それで解ってくれるなら。」
「御意。」
「でも、下克上は何時でも受けるからな。」
「ケイジ様、ケイジ様に挑戦する前に、私がまず試しを行います。その試しをクリアした者をケイジ様にお引き合わせいたします。」
「ヒドラ、別に良いぞ。」
「いえ、ケイジ様のお手を煩わせる輩は、可能な限り排除致します。」
「おぉ、ヒドラ頼むよ。」
「御意。」
「おぉ、そう言えば、カスリーがお前に話があるそうだ。」
「おぉ、ケイジ様、お手を煩わせてしまい、申しわけありません。」
カスリーがその言葉を聞きヒドラの前にやってきた。
「ラド、いえ、ヒドラ様。」
「おぉ、カスリー、どうしました?」
「お暇を頂きにまいりました!」
「ほぉ。」
「ケイジ様が、私と同じ志を持ったお方と、私の仲を取り持って頂けるそうです。」
「おぉ、それは素晴らしい。」
「カスリー、許します。」
「ありがとうございます。」
「ケイジ様、カスリーをお導き下さい。」
「え?おぉ、解った。」
「では、ヒドラ、そしてイース、シーレ、メバツ。」
「「「「はっ。」」」」
「先程言った、疫病の原因、そして孤児の出ない環境を作る事、直ぐ実行しろ!」
「「「「御意。」」」」
「では、カスリー、行くぞ。」
「はい、ケイジ様。」
「紫炎、ラバオシに繋いでくれ。」
「はい、ケイジ様。」
その場に虚無の部屋が現れる。
「来い、カスリー。」
「はい。」
そして二人が消える。
「ヒ、ヒドラ様、今のはどのような?」
「イースよ、ケイジ様の御業だ。」
「おぉ。」
「ラバオシに繋ぐと言っておりましたが?」
「ヤミノツウからラバオシまでは馬車で半日かかる距離です。」
「ケイジ様は、その距離を苦も無く繋がれるのだ。」
「おぉ、本当に我らの叶わぬお方なのですね。」
「えぇ、ですから私達は、ケイジ様のお邪魔にならぬよう、影からお支えするのです。」
「そして、ケイジ様が我らに与えて下さった、恩命を至急で実行するのです。」
「は、ヒドラ様。」
「御心のままに。」
***********
ラバオシに着くと、嫁さんズは起きて、ロビーで待っていた。
「おぉ、皆ごめんな。」
「にゃ、主を待つのは嫁の務めにゃ。」
「旦那様、後ろにいる方は、新しい嫁ですか?」
「おぉ、カリナ、違う。こいつは、ラバハキアまで連れていく。」
「奥方様、暫しご一緒させてくださいませ。」
「ラバハキアで食事にしよう。皆、用意は良いか?」
「はい。」
「紫炎、ラバハキアのダンサの店の前に繋いでくれ。」
「はい、ケイジ様。」
「おぉ、これがラバハキア。」カスリーが感激している。
「カスリー。」
「は!」
「人化は出来るのか?」
カスリーは、どちらかと言えば、鳥に近い容姿だ。
顔には嘴があり、両手は鳥と同じ羽の状態だ。
流石に、その状態では「人」の街にはいられない。
「ケイジ様、お任せください。」そう言うと、カスリーは、俺が知っている女子高生の姿になった。」
「如何でしょうか?」
「お、おぉ。良いんじゃないか?」
「ありがとうございます。」
「では、ダンサの店に行こう。」
「おぉ。私は感激で身を焦がします。」
「おぉ、良かったな。」
「で。俺達は、とりあえず腹ごしらえだ。」
俺は皆を連れて、その店に入る。
「いらっしゃいませぇ、ご主人様、お嬢様!」
「おぉ、今回もよろしくな。」
「はい、では此方のお席にどうぞ。」
店の奥の隅にあるテーブルに案内される。
「おぉ、萌え萌えオムライスと、セットの恋するオレンジジュースを人数分頼む。」
「はい、ご主人様、喜んで。」
「さて、皆。これから起こることは、スルーするように。」
「え?兄者?それは?」
「メーム、控えるのです。主様の御心です。」
「な、ムーニャ、妹の分際で。」
「ケイジ様の御心を理解しない物は、排除対象です。」
「メーム、出来れば今すぐ目を瞑れ。」
「おぉ、兄者解った。」
そして、萌え萌えオムライスがテーブルに並べられる。
「メイドの萌えを注入致しますね。ご主人様、お嬢様も、御一緒に、萌えを注入してくださいませ。」
「萌え、萌え、愛情注入!」
「萌え、萌え、愛情注入。」
「さぁ、どうぞ、ご主人様、お嬢様。」
何の変哲もない、ただのオムライスがが、何故だろう一際美味しそうに・・・
「感じられるわけない!」
いたって、普通のオムライスだ。
「おぉ、兄者、美味い!」
「旦那様、これは至福です。」
「主、ミーニャは幸せにゃ。」
「主様、これはムーニャに与えられた試練なのですね?」
「おぉ、ムーニャだけはまともか。」
「ムーニャ、これは、この街だけの仕様だから、無視して良い。」
「はい、主様。」
「しかし、オムライスは美味いな。」
「おぉ、御主人様、ようこそ。」
「おぉ、ダンサ、久しいな。」
「ぐふふ、あれから、ラド×バラだけでなく、御主人様の萌えも追及し始めました。」
「いや、止めろ。」
「いえ、いえ、私の妄想の中では、御主人様は我ら魔族の絶対王です。」
「おぉ、この方が私の心の友!」
「な、御主人様、何ですかこのかたは?」
「あぁ、ダンサ!」
「はい、御主人様。」
「こいつは、カスリー、元ラドーンの部下だが、きっとお前と同じ属性の輩だ。」
「おぉ、ダンサ様、私は、最近ケイ×バラに目覚めたカスリーと申します。」
「な、御主人様×バラですか?」
「はい、しかも、バラがヘタレ受けですと最高です。」
「ぐふふ、カスリーと言いましたか。」
「えぇ、ダンサ様。」
「ぐふふ、貴方とは、みっちりと話合わないといけないようですね。」
「おぉ。ケイ×バラを受け入れて頂ける?」
「何を言います。その場合、御主人様のヘタレ受けではないですか。」
「ケイジ様ですよ、ヘタレ受けのはずがありません。」
「ご主人様が、バラに鬼畜な要求を出して、その黒い欲求を無視したバラの攻めをヘタレ受けです!」
「ぐふふ、カスリーと言いましたか、少しあちらの部屋でゆっくりと語り合いましょう。」
「えぇ、ダンサ様、望むところです。」
「と言う事ですので、ご主人様、失礼いたします。ごゆっくりどうぞ。」
「あの、ケイジ様、ケイジ様がおっしゃる通りのお方でした。」
「お引き合わせいただき、ありがとうございます。」
「あぁ、まぁ、ほどほどに励めよ。」
「御意。」
「何をしているのですか、カスリー、早く来るのです!」
「それでは、失礼いたします、ケイジ様。」
「主様、ヘタレ受けって何ですか?」
「ムーニャ、覚えなくていい。」
「はいにゃ。」
「はぁ。」俺は心からため息をついた。
「合わせてはいけなかったかもしれない・・」
今後のカオスを感じて心が重くなった。
「ダンサ様、ケイジ様の目線が痛いです。」
「カスリー、それは私達への賛美。」
「なっ。」
「私たちの嗜好は、畜生道に堕ちないと理解されないのです。」
「ケイジ様は薄々理解をしているようですが。」
「それは、ケイジ様が超越している証です。」
「あのお方は、現世にありながら、私たち腐った心の闇を理解して頂ける尊いお方なのです。」
「おぉ、ダンサ様、やはり私の判断は間違っていないのですね。」
「えぇ、ケイジ様は、私達の全てを許してくださっています。」
「おぉ、ケイジ様は本当に私達の神なのですね。」
「カスリー、貴方がケイジ様を信仰する限り、ケイジ様は私達を見守ってくれます。」
「おぉ、流石はケイジ様です、私達、腐女子の保護にもお力を割いていただけるとは。」
「さぁ、ケイ×ラドとケイ×バラについて、意見を深めましょう!」
「ふふふ、嫌ですねぇ、ラド×ケイとバラ×ケイですよう。」
「ぐふふ、これは、布教が必要ですね。」
「ほほほ、ケイジ様が受けなど、滑稽です。」
「最高のお力を持ったお方がヘタレて、受ける良さを何故ッ理解しないのですか?」
「あー、お前達、、俺のHPがガンガン減ってるから、そろそろやめてくれ!」
「え?何でですか?」
「そうです、この話題なら私、幾らでも語れます。」
[すまない,俺の心が持たない。」
「それは色々残念です。」
「おぉ、俺がいない所で盛り上がってくれ。」
「おぉ、ケイジ様のお墨付きを頂けました。」
「いや、ちが。」
「ダンサ様、夏と冬の祭りに薄い本を発行しましょう。」
「おぉ、カスリー、ケイジ様の御心を布教いたしましょう!」
「いや、お前達、違うよな。」