やらかしの28
「なぁ、これから会う主の部下を屠るって、印象最悪じゃね?」
「ラドーン様は、このヤミノツ城での出来事をすべて把握していらっしゃいますので、大丈夫かと。」
「そうかな?」
「はい、もし、今回の件について、ラドーン様から質問があった場合は、私がすべて答えます。」
「そうか。」
「お前は、好きだった奴を屠った俺を憎まないのか?」
「あのような本性だとは思いませんでした。」
「おぅ。」
「あの程度の者に好意を寄せていたなど、私の一生の不覚です。」
「そうか。」
「では、カスリー、ラドーンのいる所まで案内頼む。」
「はい、喜んで!」
「ケイジ様と、ラドーン様の絡みが楽しみです。」
(何だろう。ラバハキアのダンサのノリを感じる。)
「カスリー。」
「はい、ケイジ様。」
「ラド×バラについてどう思う?」
「な、け、ケイジ様はそちらに造詣がおありなのですね。」
「俺自身は無い。しかし、カスリー、俺に下ればお前の同好の者に引き合わせられるぞ。」
「な。」
「そいつは、バラボルとボルバラについて、俺に聞いてきたが、俺には良く判らなかった。」
「はぁはぁ、ケイジ様、私は今この場で、貴方に下ります。」
「な、早いな!」
「ケイジ様、魂の共鳴を感じました、きっとケイジ様が紹介してくれる御仁は、私の心の友になるでしょう。」
「な、そうか、良かったな。」
「はい、ですので、ラドーン様に謁見後、生きてください。」
「え?」
「ケイジ様が死んだら出合えません。」
「カスリー。判ってないな。」
「え?」
「死ぬのはラドーンだ。」
「は?」
「俺と相対して、敵対した場合、死ぬのはラドーンだ。」
「な、マジですか?」
「マジだ。」
「ふふふ。」
「なんだ?」
「ケイジ様、マジ神ですね。」
「いや、聞きたくない言葉だな。」
「俺達は、その建物の最上階に着いた。」
「ケイジ様、私を解き放ってくださいませ。」
「あー善処するよ。」
目の前の扉が開く。
俺は、その中に足を進める。
「ふぅ、話が通じる奴だと良いな。」
俺は、広い部屋を進んでいく。
バスケットコート程の広さがある部屋の奥に、庶務机があり、そこにラドーンガ座っていた。
ラドーンは,俺を見ると椅子から立ち上がり,机を回って手を広げながら俺の前に歩いてきた。
「おぉ,初めてお目に掛かる,貴方がケイジ様ですか?」
「あぁ、俺がケイジだ。」
「おぉ、この度のシンの進行を御止め頂き、感謝の極みです。」
「いや、人道に外れていたからな、当然の仕置きだ。」
「おぉ、感服いたします。」
「ラドーン。」
「はい。」
「な、ラドーン様を呼び捨てにするか。」
「何たる不敬。」
「たかが人間が、場を弁えろ。」
「我が屠ってやろう。」
周りにいた魔族が、口々に不平を言い始める。
「愚か者ども、平伏しろ!」ラドーンが言う。
「な?」
「え?ラドーン様?」
「?」
「お前達、此処におわすケイジ様は、キーリスト様の再来である。」
「いや、違うと思うぞ。」
「何をおっしゃいます、ケイジ様、人でありながら、私にも看破できないレベル。」
「いえ、恐らく私の全力の攻撃も通用しない事を理解しております。」
「いや、それは事実だが。」
「ケイジ様、このラドーンは、貴方に生涯の忠誠をお誓いします。」
「ラドーン。」
「はい、ケイジ様。」
「何故だ?」
「はい?」
「いや、俺、結構高レベルの隠蔽を使ってるんだけどな。」
「いえ、だだ洩れです。」
「な、そうなのか?」
「ケイジ様の持つ魔素量は私の100倍です。」
「え?」
「そこまでわかるんだ。」
「いえ、ケイジ様、そのお力を隠蔽するには隠蔽ではなく、遮断や護壁の上位、「切断」(シャットアウト)を使わなければ、我ら上位の者には筒抜けです。
「おぉ、ラドーンありがとうな。」
「いえ、勿体ないお言葉。」
「紫炎、発動ヨロ。」
「御意。」
「おぉ、ケイジ様、御身の魔素が消えました。」
「おぉ、ラドーン恩に着るよ。」
「いえ、光栄です。」
「ラドーン、お前のおかげで、俺は一つ上のレベルに上がれたようだ。」
「おぉ、それは何よりです。」
「ラドーン、お前に名前を与えよう。」
「な、わ、私にですか?」
「あぁ、俺の能力を開花してくれたからな。
「ラドーン、これよりお前はヒドラを名乗れ。」
「おぉ、ヒドラ、拝命いたしました。」
ラドーンの身体が虹色に輝く。
「おぉ、何と言う高揚感、私の力が開花しています。」
「では、お前に命を与える。」
「は。ケイジ様。」
「ヤミノツウに蔓延している病気を根絶し、孤児がでない環境を作れ。」
「はい、ケイジ様、仰せのままに。」
「良し、俺は数日此処に留まるからな、実績を示せよ。」
「御意!」
「え?ラドーン様、受け入れ早!」
「もう少し抵抗しても。」
「お前ら、あのケイジ様に歯向かう気あるか?」
「いや、無理だな。」
「俺もだ。」
「全ての正解じゃないか?」
「あぁ、同意するしかないな。」