表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/203

やらかしの24

「モブ。」

「は、ケイジ様。」

「これをお前に渡しておこう。」そう言うと100G分のBが入った袋をモブに渡す。

「子供たちのために使え。」


「はい、仰せのままに。」

「少しだけなら、お前の物に使っても良いぞ。」

「滅相もない。水龍様にお叱りを受けます。」

「ほぉ、良い心がけだ。そのまま励めよ。」

「御意。」


「さて、華厳。」

「はい、ケイジ様。」

「やみのうつを統治しているのは誰だ?」

「空王ラドーン様です。」

「ほぉ、ではシンがラドーンに突っかかってるのか?」

「突っかかってると言うか。」

「なんだ、歯切れが悪いな。」

「時空魔人シン様は、戦いを楽しんでおられるお方なので・・」

たちが悪いな。」

「魔族の本質なので何とも・・」

「魔王と言いながら、単なるヤンキーの集まりかよ。」

「ヤンキーとは?」

「大人になれない、暴力でしか自分を肯定できない子供って事かな。」

「何となく、判ります。」


「で、シンはどこにいるんだ?」

「此処から北東にあるスナで陣を張っています。」

「此処から20kmぐらいか。」

「20kmとは?」

「距離の単位だ。」

「はぁ。」

「ちょっと行ってくるから、嫁さん達をよろしくな。」

「え?ケイジ様?」

 俺は、店から出ると跳躍する。


「さて、どんなもんかな?」

(いずれにしても、ケイジ様の敵ではないでしょう。)

「まあ、そうだろうな。」


 跳んだ先は、シンの陣の目の前だった。

「おおぅ、これは丁度良い。」俺は呟く。


「な、何だ貴様!」

「どこから現れた?」

 そこにいた見張り役の魔族が俺に言う。


「シンに合いに来た。案内しろ。」

「な、誰かの紹介があるのか?」

「ないな。」


「ほぉ、では、自分を売り込みに来たのか?」

「売り込み?あぁ、違うな。」

「はぁ?では何のために来た?」

「シンと言う者を見極めるためだ。」

「見極める?」

「そうだ。」

「見極めてどうする?」

「稚拙な者なら、滅ぼす。」

「な、お前は敵か?」


「いや、今は違う。」

「どういう事だ?」

「良いから、シンに合わせろ。」

「得体のしれない奴を、シン様に合わせるわけにはいかない。」

「出来れば穏便にしたいんだがな。」

「いや、此処は通さない。」


「ふう。」

「?」

「もう一度言う。シンに合わせろ。」俺は威圧を込めて言う。

「はぅ。」

「どうした?」

「こちらです。」

「おぉ、案内しろ。」

「はい。」


 その魔族はおぼつかない足取りで陣の中に入っていく。

 俺はその後に続いた。

「この奥にいらっしゃいます。」その魔族が言う。

「おぉ、案内御苦労。」そう言いながら、俺はその扉を開けて中に入る。


「誰だ?」その扉の奥にいた者が問う。

「おぉ、初めましてだな、俺はケイジだ。」

「ケイジ?ふん、で、何用だ?」

「お前がシンか?」

「俺を呼び捨てにするか。」

「シンで良いんだな?」

「あぁ。俺がシンだ。」

「聞こう、何故やみのつうに侵攻し、民兵を徴用する?」

「あ?」

「何故、人を戦に使う?」

「退屈だからだ!」

「あ?」

「俺は数百年生きてきた。」

「ほぉ。」


「人間は俺を神と崇めるが、何年生きても、同じ事の繰り返しなんだ。」


「ふむ。」

「毎年人は生まれ、毎年人は死ぬ。」

「それは摂理だな。」

「それだけなんだよ。」

「ん?」

「俺は刺激が欲しかったんだよ!」


「は?」

「人は生まれて死ぬだけじゃない、誰かのため、他人のために命が散る。それこそが命の輝きだと思わないか?」


「人に強要されたものでなければな。」

「どんな状況でもそれは美しい!だから、俺はやみのつうに人を侵攻させた。」

「ただお前がその状況を見たいだけのためにか?」

「俺は、俺の退屈が紛れればそれで良い。」


「はぁ、支離滅裂だな、お前。」

「我こそが神。」

「ふぅ、ギルティ!」

「何がだ?」

「悪いが、俺はお前を理解出来ん。」

「ふふふ、只の人間に俺の崇高な思考など理解できまい。」

「いや、誰が聞いてもお前の思想は駄目だ。」

「ふははは、ではどうする?」

「滅するしかないか。」

「は?滅する?俺を?滅する?ふはははは、最高の冗談だ。」

「では、最後にお前の退屈しのぎに付き合ってやるよ。」

「なに、どういう事だ?」


「お前の部下、配下をすべて集めろ。」

「ほぉ。それでどうする?」

「そいつらの前で、お前を滅ぼして、今後の方針を決めさせる。」

「な、うははは、只の人間のお前がか?」

「あぁ、そのつもりだ。」

「ぶははははは、久しぶりに心から笑えた,良いだろう。」

「誰ぞあるか?」

「は、御前に。」

「陣の前に全員を集めろ。」

「御意。」


「では、此方に来い。」

「あぁ。」

 俺達は陣の裏にあった広場に出る。

 周りを見るとかなりの数の魔族が集まっていた。

「シン様、後数刻で全員揃います。」

「おぉ、全員揃ったら教えろ。」

「御意。」


「さて、ケイジとやら、もう冗談では済まないぞ。」

「いや、俺も冗談で済ませる気はないよ。」

「ふははは、たかが人間が言うわ。」


「シン。」

「何だ?」

「お前、好きな酒は何だ?」

「酒か、俺は米の酒が好みだ。」

「ほぉ、それは冷か?」

「いや、暖かい物が好みだ。」


「そうか。」俺は虚無の部屋から燗に適した酒を取り出し、瓶ごと温める。

「肴はどうするか?」

虚無の部屋を見ると、烏賊の干物があった。

「ムーニャ、後で可愛がってやろう。」

 そう言うと、俺は烏賊の干物を魔法であぶる。


「おい、最後の晩餐に付き合え。」俺はシンに向かって言う。

「俺は、虚無の部屋からコップを2個取り出し一つをシンに渡した。」

「この世の最期の酒だ、充分に味わえ。」

 そう言って、俺はシンのコップに酒を注ぐ。

「さて、何に乾杯しようか?」

「ふふふ、お前の死で良いのではないか?」

「いや、それは絶対ないから、此処に居る魔族の今後について出良いか。」

「ふふふ、その自信、砕ける時の表情を楽しみにしておくよ。」


「まぁ、そう思うなら其れで良いか。」

 俺達はグラスを合わせる。

「ほぉ、これは美味い。」

「気に入ってくれて、良かった。末期の酒だ、充分堪能してくれ。」俺は酒を注ぎながら言う。

「おぉ、酒は気に入ったぞ。」

「さて、集まりはどうだ?」

「はい、後3名が来れば全員揃います。」


「解った。」俺は烏賊を口に入れながら言う。


「この烏賊も美味いな。」

「おぉ、末期の食い物だ、存分に味わってくれ。」

「お前は、俺が此処で死ぬ事が前提で話すな。」

「あぁ、実際、お前は一瞬で死ぬからな。」

「その冗談はもう良い。その自信はどこから来るのだ?」


「シン。」

「何だ?」

「お前、俺のレベルが見えるか?」

「いや、充分に隠蔽されていて見えん。」

「隠蔽していないとしたら?」

「ふははは、ありえないな。」

「そう思うか。」

「普通そうだろう。」

「シン様、全員揃いました。」

「おぉ。」

「シン、もう一杯飲め。」

「あ、俺は手加減しないぞ。」

「いや、長く生きて、一応魔族の統制をしたご褒美だ。」

「死に行くものの願いなら、聞かないわけにいかないな。」そう言うとシンは俺がコップに注いだ酒を一気に煽った。


 俺達は、魔族の前に立った。

「皆の者、御苦労であった、此処に居る人間が今から私を滅すると言うので、その結果を皆に確認してほしい。」

「はぁ、人間風情が?」

「シン様、俺が殺して良いですか??」

「たかが人間が、無粋な。」

「惰弱な人族が身の程知らずな。」


「おうおう、嫌われたものだな。」俺が一歩前に出て言う。

「お前ら、俺のレベルが見える奴、手をあげろ。」


「こ奴の隠蔽は凄いから、俺でも見えん。」シンが言う。

「なんだ、隠蔽か。」

「それなら見えなくても当然だな。」

「ちょっと待って。」女魔族が声をあげる。

「そ、その人間の限界が見えない。」

「ん、お前は?」シンが問う。

「あ、あたしは、その種が持つ限界が見える。」

「ほぉ。」

「シン様は見える。でもそこの人間は見えない。」

「な?」

「おぉ、お前凄いな、シンを滅した後で、話がしたいな。」

「え、え、判りました。」



「さて、シン。」

「つ。」

「そろそろ殺るか。」

「その前にお前たちに言う。こいつを滅した後で、俺に下るも、自由を約束する。」

「俺に下る前に、俺の力を一回だけ試すことも許そう。」

「では、その目で結果を見極めろ。」


「さぁ、シン、最初の攻撃を許す。存分にやれ!」

「舐められたものだな。喰らえ、俺の最大の技。」

「グランドエクスプロージョン!」

 俺の周りが、爆裂する。

 原爆が落ちた時、こうなるのかなと俺は思う。

 爆風が収まり始める。

「全然影響が無いな。」俺が思う。

 その爆風の先で、シンが俺を見て固まっている。

「まったく効かないんだが。」俺が言う。

「嘘だ!」

「俺の最大魔法だぞ。」

「何で無傷なんだ?」

「いや~、お前のレベルを凌駕してるからかな?」

「では、此方から行くぞ。」

「お前は、風系が弱点で、土系が強みか。」

「な。」


「では、土系の最大呪文で滅してやろう。」

「ふははは、俺に土系呪文だと?」

「ふ、シン、安らかにな。」


「ジャイアントインパクト!」

 マグマが地面からせり出す。

「ぐばばばばぁ。」シンの身体が焼かれる。

「何故だ、俺が、何故土魔法で焼かれる。」

「レベル差だな。」

「レベル差。」


「シン、俺のレベル見えるか?」


「ぐばばば、見えない。」

「消え行く命に、敬意を示そう、俺のレベルは9999だ。」

「な、なんだ、その桁外れな・・・」


「さて、お前達、シンは死んだぞ。」そこにいる魔族に俺は言う。


 すると、先程俺の限界を見た魔族が俺の前に出てきて言う。

「ケイジ様、私は貴方に下ります、いえ、出来るなら伴侶にお加え下さい。」



「いや、伴侶はもう間に合っているというか。」

「大丈夫です、私はどんな扱いでも受け入れます。」

「ケイジ様、此処は男気を見せる所です。」

「サラン、お前。」

「ケイジ様を守る存在は、何人いても良いです。」

 結局そこに来た全ての魔族が俺に下り、やみのうつへの攻撃は無くなった。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ