やらかしの200
「わはははは。」俺はそこに降り立った。
「あぁ、あるな、木の芽屋。」俺はその店を見て言う。
其処には店があり、俺の記憶と少し違うが、看板には『きのめや』と書かれていた。
俺は、虚無の部屋から嫁さん達を出す。
「ぐふふ、此処がご主人様の思い出の場所。」
「ほほほ、興味深いですね。」
「みんな出てこい。」俺は指輪に力を籠める。
「マスター、此処はどこだ?」
「マスター殿、初めての場所です。」
「くふふ、御主人、前と同じだね。」
「ん、前回と同じで寒い所。」
「あぁ、とりあえず、店に入ろう。」俺はその店に入った。
「いらっしゃいませ!」威勢の良い声が聞こえる。
「あぁ、16人だ。」俺が店の人間に答える。
「はい、大丈夫です、どうぞ。」
「おぅ。」俺は靴を脱いで、座敷に上がった。
「ははは、何もかもが一緒だな。」俺は店内を見て言う。
「ぐふふ、記憶と一致しましたか?」
「あぁ。」
俺は、机に座布団を置いて、其処に座った。
嫁たちも俺の真似をした。
「お~い、注文良いか。」俺はドキドキしながら言う。
「は~い、どうぞ。」
「おでんを16人分、田楽も同じだけ、から揚げを5皿、ラガーを16個、とりあえずそれで。」
「はい、おでんを16人分、田楽も16人分、から揚げ5皿、ラガー16個ですね、承りました。」
「おぉ、あっちの世界の注文がそのまま通じた。」
「ぐふふ、転生者でしょうか?」
「いや、解らない。」
「ぐふふ、出て来た物が違っているかもしれませんねぇ。」
「あぁ、そうだな。」
だが出て来た物は、俺の記憶通りの物だった。
「ぐふふ、これはどのように?」
「あぁ、蒟蒻おでんはそのままかぶりつく、田楽は、一口食ったら、こんな風に串を下に叩いて食う。」俺はそれを実践する。
「で、ラガーだ。」
「から揚げお待ちどうさま。」
「おぉ、これだよ。」俺は、塩を一つまみかけてから揚げを食べる。
「くはぁ、これこれ。」
「マスター。」
「あぁ、サラン、リアン、シーナ、ベフィーに奉納を。」
「マスターのから揚げとは違う味です。」
「至福。」
「美味しい。」
「この店(あっちの世界で)の味噌おでんの味は盗んで、再現したんだよな。」
「ぐふふ、まさか、食べパットのF県民御用達味噌おでんですか?」
「あぁ、そうだ。」
「ぐふふ、ご主人様が、私の神推しだったとは。」
「あぁ、それは偶然だ。」
「親父さん、茶っきり蕎麦はあるか?」俺は店のおやじに聞く。
「あぁ、昔来たことがあるのかい? すまないね、数年前に終わったんだ。」
「あぁ、そうか。」
「悪いね。」
「んじゃ、おろし蕎麦16人分頼む。」
「あいよ。」
「ぐふふ、残念でしたね。」
「無い物はしょうがない。」
「はい、お待ち。おろし蕎麦だよ。」
「おぉ、来た来た。」
「ぐふふ。」
「あぁ、サラン、リアン、シーナ、ベフィーに奉納を。」
「これは、どう食べれば?」
「あぁ、一緒に来た汁をぶっかけて食べるんだ。」
「ぐふふ、豪快ですね。」
「あぁ、美味いなぁ。」
「ぐふふ、ダイコの辛みがなんとも。」
「これに蕎麦湯を入れると、美味いんだ。」
「ぐふふ。」
「お~い、蕎麦湯をくれ。」
「はいよ!」
「おぉ、来た来た、これを丼に入れて。」俺はそれを飲む。
「ぷはぁ、美味いなぁ。」
「ぐふふ、私もご相伴を。」
「あぁ、ほれ。」俺はダンサに蕎麦湯のやかんを渡す。
「ぐふふ、楽しみです。」
「ご主人、私にも。」
「マスター。」
「あぁ、サラン、リアン、シーナ、ベフィーに奉納を。」
「ありがとう、マスター。」
「ぐふふ。至極です。」
「あ~、美味しい。」
「これはこれは。」
「さて、お代わり欲しい奴。」俺が言うと、其処にいた全員が手を上げる。
「田楽!」
「はい!」サランとシーナが手を上げる。
「おでん。」全員が手を上げる。
「から揚げ。」半数が手を上げる。
「蕎麦。」誰も手を上げない。
「お~い、追加注文良いか?」
「はいよ。」
「田楽2人前と、おでん18人前、から揚げ5人前と、ラガー16個な。」
「はいよ、田楽2人前、おでん18人前、から揚げ5皿、ラガー16個承り。」
「ぐふふ、これは良いですね。」
「あぁ、蛇足だが、俺は前の世界の奥さんと食べに来て、二人で1万円(1G)以上食ったからな。」
「ぐふふ、二人で1万円(1G)ですか。」
「あぁ、お会計をした、店の人間も固まっていたな。」
「一皿30Bのおでんと、一皿40Bの田楽と、一皿50Bのから揚げと蕎麦で、どんだけ頼んだら1G行くのですか?」
「あぁ、注文したのはこうだ、おでん10人前、田楽4人前、から揚げ2人前、ラガー2杯。」
「ぐふふ、それだけで760Bですね。」
「おでんをお代わりしたら軽く1Gだな。」
「ははは、この量なら軽いですね。」
「そうだろう。」
「ぐふふ、今回はそれ以上行きますね。」
「人数が多いからな。」
「帰ったら、味を教えてください。」
「あれ、オードリーがいる?」
「ぐふふ、こういう席には必要だと思いまして。」
「何か一人多いと思っていたんだ。」
「えへへ、ごめんなさい。」
「いや、構わないぞ。」
「本当?」
「あぁ。」
「えへへ、嬉しい。」
ムーニャの後釜は、やっぱりオードリーだな。
「んじゃ、オードリーのためにもう一回、全種類を注文だ。」
「えへへ、お父様、嬉しい。」
「さて、お代わり欲しい奴。」俺が言うと、其処にいた全員が手を上げる。
「田楽!」
「はい!」サランとオードリーが手を上げる。
「おでん。」全員が手を上げる。
「から揚げ。」半数が手を上げる。
「蕎麦。」オードリーが手を上げる。
「お~い、追加注文良いか?」
「はいよ。」
「田楽2人前と、おでん18人前、から揚げ5人前と、おろし蕎麦1人前、ラガー17個な。」
「はいよ、田楽2人前、おでん17人前、から揚げ5皿、おろし蕎麦1人前、ラガー17個承り。」
「ぐふふ、華麗にスルーしましたね。」
「知らんわ。」
「オードリーが、ムーニャの様に食を極めたいなら協力は惜しまないぞ。」
「ぐふふ、オードリーにそう言ってあげてください。」
「? あぁ。」
そう言った俺に対して、オードリーは全力で抱き着いてきた。
「えへへへ、お父様、大好きです。」
「ぐふふ、微笑ましい。」
「だ、ダンサ、助けて、中身が出る。」
「ぐふふ、オードリー、全力で抱きしめては駄目ですよ。」
「え~?」
「お父様は、普通の人間なのですから。」
「すべてのステータスが、カンストしてても?」
「オードリー、痛いのは痛いんだ。」
「そうなんだぁ、じゃぁ、次からは手加減するね。」
「はぁ、娘の愛情が重い。」
「ぐふふ、幸せ者ですね。」
見る人が見れば、ネタがばれる話だな。