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やらかしの198

「ケイジ様、ウナギが食べたいです。」イーノが腕に抱き着きながら言う。

「おぉ、たまには良いな、他に行きたい奴挙手!」


「行くにゃ!」

「勿論にゃ!」

「行く~。」

「ん!」

「連れていってください。」


「ぐふふ。」

「ほほほ。」


「ウナギはあまりおいしいと思えないので。」

「私もです。」


「んじゃ、ミーニャ、ムーニャ、サクラ、リョウ、エス、それにダンサとヒドラだな。」


 俺は全員を虚無の部屋に、いやいや、虚無の窓をエゴワカに繋ぐ。


「んじゃ、潜れ。」

「はいにゃ!」

「はいにゃ!」

「は~い。」

「ん。」

「行きます。」

「ぐふふ。」

「ほほほ。」


「はぁ。」俺はみんなの後に続いた。


**********


「エゴワカにようこそ、通行料は一人100Bです。」門番が言う。


「商売をするのなら、更に100Bが必要です。」

「あぁ、商売はしないよ。」俺が言う。

俺は900Bを門番に払う


俺達は、前回と同じマルイチに向かって、店に入った。


「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」

「サラン。」

「はい。」サランが出てくる。

「10人だ。」


「はい、こちらのお席にどうぞ。」


 また、庭園が見える席に案内された。


「毎回、良い席に案内してくれるな。」

「ぐふふ、ご主人様の人徳でしょう。」

「ほほほ、同意します。」


「お~い、注文良いか?」

「はい。」


「まず、熱燗8個、オレンジジュース2個。」俺はわざと元の世界の注文をする。


「はい、熱燗8個とオレンジジュース2個、承りました。」


「うな重24個、その前に、白焼き15人前、肝焼き15人前な、あと、うな巻10個。」

「え? うな重24個、白焼き15人前、肝焼き15人前、うな巻10個ですか?」

「あぁ、そうだ。」

「はい、解りました。」狼狽えながら厨房に入っていく。

 この注文だとそう思うよな。


「いつ見ても、見事な庭園ですね。」イーノが庭園を見てしみじみと言う。

「俺にはわからないがな。」


「ぐふふ、そう言えば、山椒の木はここで貰ったんでしたね。」

「あぁ、そうだったな。」


「ぐふふ、3代前の店主に会いたかったですね。」

「今では敵わない夢だな。」


「何の話をしているにゃ?」

「あぁ、ごめんな、昔話だ。」

「そうにゃ?」

「あぁ、気にしなくて良いぞ。」

「解ったにゃ。」


「はい、お待ちどうさま、白焼きと肝焼き、それとうな玉です。」3人がかりでそれが机に並べられる。


「さぁ、イーノ、存分に食べろ。」

「ありがとうございます、ケイジ様。」そう言ってイーノが箸を持ち端から食べ始める。


「私達も食べるにゃ。」

「はいにゃ。」他の者達も食べ始める。


 俺は、白焼きを一切れ、山葵醤で食べ、熱燗を口にする。

「美味いなぁ。」

「ほほほ、どうぞ。」ヒドラが俺に酌をする。


「おぉ、ありがとうな。」

「ほほほ、妻の務めです。」


「ほれ、御返杯だ。」俺はヒドラに徳利を向ける。

「ほほほ、お受けします。」ヒドラが猪口でそれを受ける。


「ケイジ様、足りません。」イーノが俺に言う。

「え?」俺は机を見て驚愕する。


 全部なくなっていた。


「ぐふふ、食べる前に無くなっていました。」

「イーノ、皆が食べてから食べようか?」

「ごめんなさい。」


「おーい、注文良いか?」

「はい、どうぞ。」

「白焼きと、肝焼きを20人、うな巻10個前追加な。」


「え?」

「白焼きと、肝焼きを20人、うな巻10個前追加な。」俺はもう一回言った。


「はい、解りました。」


「イーノ、鰻の時は凄いな。」

「えへへへ、つい本性が。」


「まぁ、良いけどな。」



「はい、お待ちどうさま、白焼きと肝焼き、それとうな玉です。」3人がかりでそれが机に並べられる。


「さて、イーノが食べきる前に、皆食べろ!」

「はいにゃ。」

「ん!」

「わかったぁ。」


「皆さん、食べ終わりましたか?」イーノが言う。


「全員食べたにゃ。」


「では。」イーノがそこに有った食材を食べ尽くす。


「うわぁ、少し引くわぁ。」俺が言う。

「え? ケイジ様、駄目でしたか?」


「うん、もう少しセーブしようか?」


「え? え? 解りました、今後は少しセーブします。」


「少しかよ。」俺は心で突っ込む。

 イーノはもうエゴワカには連れてこない。

 俺は心に誓った。


「ケイジ様、鰻丼はまだですか?」

「今焼いてるから。」


「は~い。」


 絶対に連れてこない。 俺はもう一度心に誓った。


「鰻丼24個です。」店の人間がそれを持ってきた。


「あぁ、その子の前に10個置いて、後は皆の前に。」俺はイーノを指しながら言う。


「はい、解りました。」


「では、いただこう。」俺は鰻丼に山椒をかけて、口に入れる。

「あぁ、美味いなぁ。」


「痺れがたまらん!」

「ぐふふ、鰻の力ですね。」

「あぁ、そうだな。」俺は鰻丼を満喫した。


「あぁ、美味かった!」俺は満足して天井を見上げた。


「ケイジ様、足りません!」


鰻丼10個を平らげたイーノが言う。


「げ、10個じゃ足りなかったか?」


「おーい、注文頼む。」

「はい~。」


「あぁ、追加で、鰻丼20な。」

「え? ・・・はい、鰻丼20承り。」疲れ切った店員が言う。



「ぐふふ、最早人のレベルを超えていますね。」

「あぁ、そうだな。」


「もっと食べさせてください!」イーノが暴走寸前になる。


「後20個来るから.待ってろ!」

「はい。」


「ちょっと御不浄に行って来る。」そう言って俺は席を立った。






 席に帰ってきたら、誰もいない。


「おい、皆、何処に行った?」


「おい、店員さん・・。」


 其処には誰もいなかった。


「おい、嘘だろう、皆、何処に行ったんだ。」


 俺は、その場に立ち尽くした。


(みんな? あれ、ミーニャとムーニャ、イーノ?)

(サクラ、リョウ、エス?)


(みんな、俺より先に死んで・・)





 俺は、ベットで起き上がった。


「みんな。」俺は自分が涙を流していることに気が付いた。


「ぐふふ、どうしました、ご主人様。」

「起こしてしまったか、すまない。」

「ぐふふ、良いのですよ、ご主人様。」

「ふぅ。」


「どうしたのですか、ご主人様。」

「あぁ、夢を見ていた。」

「ぐふふ、どのような?」


「あぁ、ムーニャや、イーノ達とエゴワカのうなぎ屋に行った夢だった。」

「ぐふふ、私はいましたか、ご主人様。」


「あぁ、ダンサもいた。」

「ぐふふ、嬉しいです。」


「はぁ、本当に皆いないのだな。」俺が言う。


「ぐふふ、私はここにいます。」そう言いながらダンサが俺を素肌の胸に抱きしめる。

「あぁ。」


「ぐふふ、そろそろ、オードリの弟か妹が欲しいです。」

「あぁ、それも良いかな。」


 俺はダンサを今日2回目の欲望の対象にした。

「ぐふふ、嬉しいです。」



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