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やらかしの171

『これは、アニザラ将軍とキシロピ将軍、どのような?』城の門番が狼狽えながら言う。

『早馬で、皇帝には連絡が言っているはずだ。』キシロピが言う。


『はぁ、お待ちください、今確認を!』


『なるべく早くしたほうが良いぞ。』アニザラが言う。


「さて、どう出てくるかな?」


**********


『皆の者、ご苦労であった。』

『なぁ、皇帝が自ら。』

『ありえん!』


『お前達、皇帝の前だぞ、礼はどうした?』40代の女が声を上げる。


『『ははぁ!』』アニザラ、キシロピ以下2万2千人がその場で首を垂れる。


『貴様は、何故礼をしない?』その女が俺に向かって言う。

「あぁ、俺はあんたらの臣下じゃないからな。」


『何だと?』

「お前らが、侵略した『ゾエ』の使いでここに来た。」


『ほぉ。』

「あんたがアシロの宰相か?」


『あぁ、そうだ。』 

「そして、其処の少女が皇帝なのか?」


 其処には高校生ぐらいのあどけない少女がいた。 


『無礼な!』


『ケイジ様、確かにそのお方が皇帝です。』キシロピが首を垂れたまま言う。


「へぇ、他国を侵略するから、老艶な爺さんだと思っていたよ。」


『貴公、先程から無礼が過ぎるぞ。』宰相が声を荒げる。


「は? 何言ってるんだ? 侵略してきた軍を壊滅させたから、賠償を貰いに来たんだぞ。」


『え? 何を言っている?』宰相が狼狽える。


『ケイジ様のお言葉は本当です。』キシロピが言う。

『私も敗北いたしました。』アニザラも同じように言う。


『な!』宰相が狼狽える。


『クッサコ、私達は負けたの?』皇帝が宰相に聞く。

『いえ、その様な事は。』


「何だ、本当に滅亡したいのか?」俺は威圧を込めて言う。


『そんな事が可能なの?』皇帝が俺に問う。


「あぁ、可能だ。」

『どうやって?』


「魔法で、此処を中心に半径500Kmを焦土にする。」


『そんなことが、可能なの?』

「あぁ、俺ならな。」


『クッサコ、だって。』


「ところでクッサコ、お前誰だ?」俺が聞く。

『私は、アシロの宰相、クッサコだ!』


「うん、その個体はな、で、お前は誰だ?」


『ぐははは、簡単にいくと思っていたのに、こんな邪魔が入りますか。』

『クッサコ?』皇帝が怯えて聞く。


『ぐはははは、困ったものです。』宰相が瘴気を放ちながら言う。


『せっかく解き放たれたから、思う通りに行動しようと思ったのですがねぇ。』


『え? 誰?』皇帝が、その場から後ずさる。

『クッサコ、改め『強欲のマモン』とは私の事だ!』


『ひぃ。』皇帝と呼ばれた少女がその場から遠ざかる。


「それがお前の本性か?」俺が一歩前に出て言う。


『なんと、醜悪な。』キシロピが言う。

『我らは、あのような者に騙されていたのか?』アニザラも言う。


『ぐはははは、もっと簡単に事が運ぶと思ったのだがなぁ!』


(ケイジ様、マモンの魂が、本来の彼女の魂と融合しています。)


「え? どういう事?」


(そのままの意味です、マモンは恐らく死者の国からの脱出者です。)

「え? 今回の?」


(違います、その魂はその前からこの世界にいたようです。)

「つまり、このまま彼女を倒すと?」

(マモンの魂が解放され、別の人間に憑依します。)


「何だ、その無理ゲー。」


(あのお方にお願いをすれば良いと思います。)


「あぁ、そうか。」俺はそれを取り出して鳴らす。


「チリン!」

 黄泉の鈴だ。


 その場の雰囲気が一瞬で変わった。


「くくく、存外に早い呼び出しじゃな。」地面から姿を現しながら黄泉が言う。


「すまないな、黄泉案件だったから、呼んだ。」

「くくく、そうか、そうか。」


『ケイジ様、今現れたそのお方は?』シキロピが震えながら聞く。

「くくく、ケイジ、教えてやれ。」


「あぁ、黄泉だ。」

「くくく、我を呼び捨て、くくく。」


『黄泉様?』キシロピが言う。

『あの、伝説にある黄泉様ですか?』アニザラも言う。


「あぁ、閻魔の使いと言われている存在らしいぞ。」

「くくく、疑問系か?」


『ひぃ!』

『ははぁ!』キシロピとアニザラがその場で奇麗に土下座した。


『!』皇帝と呼ばれた少女もその場で土下座している。


「おや、其処にいるのはマモンかい?」黄泉が宰相を見て言う。


「げぇ、貴様は黄泉か?」

「くくく、儂を呼び捨てにして良いのはケイジだけだ。」そう言いながら黄泉は宰相の魂に引っ付いたマモンの魂を掴む。


「ぐあぁぁぁ、た、魂が剥がされる。」

「くくく、儂にとっては造作もないことよ。」


「くくく、ケイジ、剥がし終わったぞ。」

「そこに置いてくれ、そのまま封じる。」


「くくく、任せるぞ。」

 俺はそれに向かって上魔石を投げて、『封魔石』を唱える。


「なぁ、魂が吸われる!」

「メキョ!」


「馬鹿なぁ!」

「ゴキン!」


「嫌だぁ。」

「メキメキメキ!」


「死にた「メキョン!」封魔石が完成した。


「くくく、これは貰っていくぞ。」

「あぁ、勿論良いぞ。」


「くくく、褒美にマスターコカトリスを食わせよ。」黄泉が良い顔で言う。

(これなら、儂に提供出来ぬだろう。)黄泉はほくそ笑む。


「おぉ、あれはヤバいけど、本当にいいのか?」

「うむ。(何がヤバいのじゃ?)」


「俺でも、心して食べないと魂が持っていかれるからな。」

「え?」


「んじゃ、今後の事も話し合うのに付き合って貰おうか。」

「え?」黄泉を虚無の部屋に入れた。


『え? どこに?』キシロピが狼狽える。


「皇帝と宰相、それにキシロピとアニザラも来てもらう。」


 4人が一瞬で消えた。


『えぇ? ど、何処に?』


「安心しろ、ちゃんと返す。」


「では、お前らの中で、料理担当は前に出ろ。」

『え?』


「早くしろ!」

『はい!』


 約300人が前に出た。


「食材を提供する、それを使って兵達に食事を振舞ってやれ。」俺が言う。

『え? 食事?』

『振舞う?』


 俺はロック鶏を1万羽、オーク肉の塊を9000個その場に取り出した。


『なぁ、何処から?』

「足りるか?」


『十分であります!』一人の兵が敬礼して言う。

「よし、頼む。」


『任されたであります。』敬礼のままその兵が言う。



「紫炎、ゾエへ。」

「はい。」

 俺はそこを潜った。


『ケイジ様、お帰りなさいです。』そこにいたヌイアが言う。

『お待ちしていました。』ヌイアの父も俺に言う。


「今から、戦後交渉について話し合うから、お前たちも来い。」

「はい、何処へですか?」

「私は、仰せのままに。」ヌイアの父がひれ伏したところで、二人を虚無の部屋にいれる。


「紫炎、華厳の店に。」

「はい。」


 俺はそこを潜った。



「ケイジ様、いらっしゃいませ。」華厳が俺を見て言う。

「あぁ、2階を借りるぞ。」


「はい、喜んで。」


「とりあえず、ラガーを8杯とミカンジュースを1杯、パオも全種類8人前頼む。」

「はい、承り。」


 俺は、店の2階に上がり全員をそこに出す。


『ここは?』

『お前たちは?』全員が狼狽える。


「全員、今すぐ靴を脱げ!」俺が声を掛ける。

『え?』

『靴?』


「あぁ、この店は土足厳禁だ。」

『え?』


「早くしろ!」

『『『『『『『『『はい!』』』』』』』』』そこにいた全員が靴を脱いだ。


「靴を脱いだら、其処の机に座れ!」


『『『『『『『『『はい!』』』』』』』』』

 其処にいた、ヌイア、ヌイアの父、キシロピ、アニザラ、クッサコ、皇帝が席に着いた。


「サラン。」

「はい。」


『なぁ、サラマンダーの主体!』キシロピとアニザラが驚愕する。

「私は、ケイジ様に身も心もささげた者だ。」サランが身にまとった炎のスカートを摘まみながら礼をする。


『け、ケイジ様はどれ程のお方なの?』皇帝も狼狽する。

『私は、何も解らないのですが!』クッサコが叫ぶ。


「紫炎。」

「はい。」黄泉がそこに現れる。

「ここはどこじゃ?」黄泉が周りを見渡して言う。


「げぇ!」

『はははぁ!』そこにいた、皇帝、宰相、キシロピ、アニザラ、何故かヌイアとその父親もその場で平伏している。


「くくく、此処はいつぞやの店じゃな。」

「あぁ、その通りだ。」


『ケイジ様、其のお方は黄泉様です、同じ席に着くなど恐れ多い。』キシロピとアニザラが言う。


「くくく、儂は気分が良い、同じ机に同席することを許してやろう。」

「だってさ。」

『そんな、恐れ多い。』ヌイアとヌイアの父も言う。


「ほぉ、儂が許すと言った事に歯向かうのか?」


『『『『『『『いえ、仰せのままに。』』』』』』』そこにいた全員が机に座った。


「ラガーとオレンジジュースお待ちどうさま。」アヤたちがラガーとオレンジジュースを持ってくる。


「おぉ、其処の女の子にオレンジジュースな、後は全員の前においてくれ。」

「はい解りました。」アヤがラガーとジュースを置いて一階に降りて行く。


「くくく、これは何じゃ?」黄泉が俺に聞く。

「あぁ、ラガーだ。」

「ラガー?」


「ちょっと待ってろ。」

「くくく、儂に待っていろと言うか。」黄泉は相変わらず楽しそうだ。


「焼きパオ、お待たせしました。」アヤ達がその皿を俺たちの前に置く。


「おぉ、お前達、俺がする事を真似しろ。」俺はそう言って、小皿を3枚とって調味料を合わせていく。


酢とラー油っぽい物と醤を入れた物。

酢と胡椒を入れた物。

酢だけを小皿に入れた物。

 

「そこのパオを、好きな皿に入れて食ってみてくれ。」俺は黄泉に言う。

「どれ?」黄泉は焼きパオをフォークで刺して基本の酢ラー醤の皿に浸して口に入れる。


「ふをぉぉ、これは!(今まで味わったことのない味じゃぁ!)」

「そこで、ラガーを一気にあおるんだ!」


「ぐびぐびぐび、ぷはぁ~。(おぉぉ、これは旨い!)」


「お前たちも、遠慮するな、存分に食っていいぞ。」


『あぁ、解った。』キシロピとアニザラ、クッサコ、ヌイアとその父も黄泉と同じようにパオを口に入れ、ラガーで流し込んで恍惚の表情を浮かべている。


 皇帝だけは純粋にパオを味わい、オレンジジュースを楽しんでいるようだ。


「水パオと蒸しパオお待ちどうさま。」アヤ達が次のパオを運んできた。


「くくく、これも同じように食べればいいのか?」

「あぁ、付けダレを変えると3倍楽しめるぞ。」


「くくく、では水パオを酢と胡椒で食してみよう。」そう言いながら水パオをフォークで刺して、酢胡椒の小皿に浸して口に入れる黄泉。


「くくく、此処迄味が違うのか!」そう言いながらラガーをあおる。


「お~い、飲み物お代わりよろ!」


「は~い、承り。」ジョッキを下げに来た孤児が言う。


「蒸しパオ、お待ち!」アヤ達が次の皿を持ってくる。

「くくく、同じ食材を、調理法でここまで違う物にするのか?」黄泉が俺に言う。

「あれ? 何で俺がそうしたと思ったんだ?」


「くくく、すべての料理にお前の臭いがする。」

「え~? ショック!」

「くくく、悪い意味ではない、お前の個性と言う事だ。」


「成程。」


「くくく、儂はマスターコカトリスを食わせよと言った。」

「あぁ。」


「くくく、貴様はそれが用意できるのか?」


「さっきも言ったが、自我を保てよ。」

「何だそれ?」


「作り置きで悪いな、出すぞ。」

「くくく。」


「んじゃ、から揚げを2種類。」ケイジがそれをそこに出す。

「それと、照り焼きな。」

 ケイジがそこに出した料理を見て固まった。

(これ、やばい奴だ!)儂は一瞬で気付いた。


 しかし、その魅力に抗えなかった。


バク粉のから揚げ、しっとりとした衣の中に広がるマスターコカトリスの旨味。

儂はその場でひれ伏した。

片栗粉のから揚げ、パリッとした衣の中から溢れる肉汁、その味に儂はその場で土下座した。


醤に付け込んで、香草を合わせてオーブンで焼き上げた照り焼き、あれは駄目だ、儂の根底が覆された。


儂は、その場でケイジにひれ伏していた..


その場にいた者たちが驚愕していたが,儂の知ったことではない.


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