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やらかしの168

「さて、褒美は何をくれるんだ?」

「くくく、これをやろう。」


「なんだこれ?」

「くくく、黄泉の鈴じゃよ。」


「はぁ?」

「その鈴を鳴らせば、いつでも儂がお前の前に現れてやろう。」


「いらないなぁ。」

「おい、ケイジ!」バランが俺の服を掴んで言う。


「黄泉様をいつでも召喚できる物だぞ。」

「だから?」


「くくく、まぁ、貰っておけ、儂は存外役に立つと思うぞ。」

「はぁ、そう言う事なら、ありがたく。」


「くくく、益々気に入った、あ奴が執心するのも解る気がするぞ。」


「ではな、馳走になった、お主が儂を呼ぶ日を楽しみにしておるぞ。」

「おぉ、んじゃまたな。」


「くくく、さらばじゃ!」黄泉がそこから消える。


「おぉ、一瞬で消えたな。」


「ケイジ! 黄泉様を何だと思っているんだ?」バランが俺に詰め寄る。


「え? 単なる女の子?」


「はぁ、さすがケイジ様というべきか。」ボルガが頭を抱える。


「俺以下の能力ちからしか無い奴を敬えっていうのはなぁ。」


「おま、まさかケイジはあのお方を看破しているのか?」

「おぉ、ガラン、その通りだ。」


「はぁ、其れであの態度ですか。」

「いや、ターニャ、俺はいつもの通りだろう?」


「わははは、流石は我が盟友ということだな。」バランが復活して言う。


「ははは、まぁ、飲め!」俺はそこにいる全員のグラスに酒を注いでやった。


**********


 次の日に、俺はザードの領を確認する事にした。

 紅蜥蜴団の者達を送った結果を知りたかったからだ。


 俺は、虚無の窓を潜った。


「@@@@@@@@@@@。」

「すまない、言葉が判らない。」


「@@@@@@@@@@@@@@@@@@。」

「いや、だから言葉が判らないんだ。」


 門番と、其処にいる女性が騒動を起こしていた。


「おい、どうしたんだ?」俺は門番に言う。

「あぁ、ケイジ様、この女が何かを言っているんですが、言葉が判らないのです。」

「ほぉ。」


「@@@@@@@@@@@@。」

「ゾエ語です、翻訳しますか?」紫炎が言う。

「頼む。」


『お願いします、我が国を助けてください。』

「助けるとは、どのように?」俺が言う。


『あぁ、私の言葉が通じるのですね、お願いします、私の国を助けてください。』


「どうやって?」


『私の国は、アシロから侵略を受けているのです。』

「ふむ。」


『まだ、今は抵抗して防いでいますが、突破されるのは時間の問題です。』

「あ~、これはバラン案件だな。」


「あなたを、この国の国王に会わせてあげましょう。」

『え?』


「国王に、お願いなさい。」

『はい。』


 俺は、その女性を虚無の部屋に入れ、バランの所に潜った。




「わはは、どうしたケイジ、急だな。」


「あぁ、国家案件だと思うぞ。」俺はそう言いながらさっきの女性をそこに出した。


「@@@@@@@@」(『あぁ、国王様ですか?』)


「はぁ、その女は何を言っているんだ?」


「あぁ、紫炎頼む。」

「はい。」


『私は、ゾエの王女、ヌイアと申します。』


「おぉ、言葉が判るぞ。」

「バラン様、ケイジ様の御業かと。」ボルガがバランに耳打ちする。


『我が国が、隣国アシロから侵略を受けています。』

「ふむ。」


『しかし、我がゾエには抵抗する戦力がありません。』

「うん。」


『お願いいたします、ゾエを守るための戦力をお貸しください。』


「うむ、話は分かった、だが、それに対する見返りはなんだ?」


『この私の、身一つです。』


「話にならんな。」バランが一蹴する。


『そんな。』


「んじゃ、俺が受けるよ。」


『え?』


「俺が受ける、バランも其れで良いな?」

「あぁ、構わんが。」

「よし、言質取ったぞ。」


「俺はケイジだ、宜しくな。」

『はい、私はヌイアと言います。』


「よし、今すぐ戦場に行こう。」

『え?』


「俺が参入すれば、勝ち戦だ。」

「あぁ、そうだな。」バランがため息をついていう。


「そこは、何処だ?」

『ゾエに行けばご案内できますが。』

「そうか。」

 俺はヌイアを虚無の部屋に入れて、そこまで跳ぶことにした。


「紫炎、ゾエに近いところは?」

「ザード様の領です。」


「あぁ、そこから何跳躍だ?」


「推測される戦闘地までは667Kmですが。」

「?」


「ゾエまでは390Kmなので。」

「8跳躍か?」


「いえ、途中に海があります。」

「あぁ~、またか。」


「なので、最北端のリモオアにあるツベマイまで跳んでください。」

「解った。」


「そこまでの距離は?」

「約320Kmです。」

「6跳躍で行けるかな?」

「おそらく。」

「マジ? いま1跳躍何Km?」


「およそ、60Kmぐらいです。」

「ははは、最初のころの3倍か。」

「衣装を赤にして、頭に角でも付けますか?」

「ネタをぶっこんでんじゃねーよ!」

「お好きかと思って。」

「いや、好きだが、今は違うよな。」

「はい。」

「はぁ。」


「では、ヌイア様失礼いたします。」

「え?」そう言って俺はヌイアを虚無の部屋に入れた。


「さて、ザードの領の北端に。」

「はい。」そこに虚無の窓が開く。


 俺は、其処を潜る。


「方向は?」

「もう少し右で、其処です。」


「わはははは!」

「くはははは!」

「いひひっひひ!」

「むはははは!」


「ぬはははは!」


「くはは、げほっほほ!」楽しすぎてむせてしまった。


 降り立ったところはツベマイの門の前。

 いつものように、門番が俺を見て驚愕している。


 俺は、平静を装って門に近づく。


「み、身分を証明するものは?」門番が俺に言う。

「ん!」俺は、ギルドカードを見せる。


「え、Aランクの方ですか、この街にどのようなご用件で?」

「いや、ここは只の通過点だ。」


「はい?」

「目的地はゾエだ。」


「はぁ、この町からはゾエ行きの船は出ていませんが。」

「あぁ、ゾエのマシクフ町まではここから40Kmだと聞いたからな。」


「はぁ、40Kmとは?」

「あぁ、そうか、4万長だ。」


「あぁ、でもそれがどのような?」

「見ていただろう?」


「え?」

「俺が、跳んできたのを。」


「え?」


「ははは、ここから跳ぶんだ。」

「えっと。」門番が挙動不審になる。


「まぁ、見てればいいさ。」俺はカードを回収して、紫炎に方向を聞く。

「この方向で良いか?」


「もう少し左で、其処です。」


「んじゃぁな。」俺は門番に言うと、跳んだ。


「え、え、えぇ~。」門番が何かを叫んでいるが無視だ。


「わははははは!」


 俺は、エゾの地に足を踏み入れた。


「さて、アシロが侵略している地はここからどの位だ?」

「想定されるところは300Kmですが、一度確認をしたほうがいいかと。」


「あぁ、そうだな。」俺はヌイアをそこに取り出す。


『あれ? さっきと周りの景色が違う、ここはどこですか?』


「あぁ、ゾエのマシクフ町だ。」

『え? さっきまでヤゴナにいましたよねぇ。』


「気のせいだ。」

『え? 国王様に面会していましたよね!』


「はっはっはっ、何を根拠に?」俺は涼しい顔で言う。


『はぁ、其れで良いです、でもここがゾエのマシクフなら、此処から戦場となっている町までは3万長です、とても間に合いません。』


「ふむ、6跳躍か、半刻だな。」

『え?』


「半刻で着けるぞ。」

『はい?』


 俺はもう一度ヌイアを虚無の部屋に入れて跳ぶことにした。


「紫炎。」


「はい、その方向です。」


「わははははは!」俺は海峡をひと跳びで超えた。


「そして、戦場まで」跳び続ける。


「くははっはは!」

「ぬほほほほほ。」

「みゅはははは!」

「だはははは!」

「くふふふふ!」

「むははははは!」


 俺は、戦闘真っただ中の地に降り立った。


「スタン!」


 この砦に攻撃をしていた者たちが固まる。


『おぉ、好機だ、全軍突入!』


「スタン!」


 この砦から攻撃していた者も固まる。


「お前たち。この場は俺が支配した!」俺が目立つように大声を出しながらその場に立つ。


 そして、ヌイアをそこに出した。


『ここは?』


「戦場だ。」


『え? お父様!』先ほど全軍に突入命令を出した男を見て言う。


「ふむ、では敵の方の大将を見つけて会話だな。」俺は攻撃していた方に向かい、其処にいた男にヒールをかける。


「ヒール!」


『%%%%%%%%%%%%!』


「うん、解らん。」


「アシロ語です、翻訳しますか?」

「あぁ。」


『くそう、体が動かん。』

「おい、お前。」


『なんだ貴様!』


「お前たちの大将はどこだ?」


『教えると思うのか?』

「動かない身体でよく言うな。」俺は刀を抜いてそいつの首にあてる。


「もう一度聞くぞ、お前たちの大将はどこだ?」


『知らん!』

「ほぉ、見事な忠誠心だ、んじゃ死んどくか!」俺はゆっくりと刀を引いた。

 その男の首から、血が流れる。


『ちょっと待ってくれ。』


「あ? なんだ?」


『大将を教えたら、見逃してくれるか?』


「あぁ、本当の大将を教えてくれればな。」


『後ろの輿に乗っているお方がそうだ。』


「ほぉ。」俺はそこに向かって歩いていく。


『待ってくれ!』

「なんだよ!」


『血止めをしてくれ。』


「安心しろ、そんなに深く切ってないよ。」


『そうなのか。』その男が安心した顔になる。


「あの男が、本当の大将だったら治療してやる、違ったら後少しでお前は死ぬがな。」


『なぁ。』


「あいつが大将だったら良いなぁ。」


『ちょ、待ってくれ!』

「なんだよ?」


『すまない、勘違いをしていた、大将はずっと向こうの豪華な輿に乗っている。』


「へぇ、そうなんだ。」

『あぁ、そうだ。』


「そうか、んじゃ、確かめてくるから、それまで生きていてくれよ。」俺はそう言いながらその男が話した輿に歩いていく。


『え? ちょっと待って。』その男は首から血を流しながら倒れる。


(ほぉ、スタンが掛かっていても気絶したときは倒れるんだな。)俺は無感情で言う。


「ヒール!」首の傷が治る。


「で、お前が大将で良いのか?」俺はさっきの男が教えてくれた男の前行ってヒールをかけながら言う。


『いかにも、儂がアシロ帝国の皇帝より命を授かった『キシロピ』だ。』


「んじゃ、聞くわ、ここに侵攻してきたのはなんでだ?」


『皇帝より、新たな領土を奪還するように命を受けた。』


「ふ~ん、侵略を認めるんだな?」


『侵略ではない、皇帝から賜った聖戦だ!』


「はぁ、漁業権や食料を確保するための侵攻なら考えても良かったんだがな。」俺はそう言いながら、ヌイアのもとに行く。


 その前には、ヌイアが父と呼んだ男がいる。


「俺の声が聞こえるか?」


「・・・。」


「あぁ、ヒール!」


『お前は誰だ?』


『お父様。この方は私たちを助けてくれるためにここに来ていただけました。』

『おぉ、そうなのか?』


「あぁ、俺はケイジだ、宜しくな!」


『この状況は、貴公が行っているのか?』

「あぁ、そうだ。」


「さて、俺が介入すると、アシロの土地が滅ぶがそれでもいいか?」


『貴公が、何を言っているのか分らない。』


「お前に敵対している国が滅ぶ。」

『はぁ?』


『ちょ、ちょっと待ってくれ!』キシロピが大声を上げる。

「あ?」俺がキシロピを見る。


『アシロが滅ぶとはどう言う事だ?』


「言葉通りだ、俺の魔法でドカン! そういう事だ。」


『お前には、それが可能なのか?』


「いま、やって見せようか?」俺は、対岸の土地に向かって手を挙げる。


『いや、待ってください、今一度対話を。』


「ほぉ、ここまで侵略しておいて、そう言うのか?」


『ケイジ様、一思いに滅ぼしてください。』ヌイアの父が言う。


「俺としては、お前たちの土地も滅ぼして、アシロと交流をしても良いんだぞ。」

『なぁ?』ヌイアの父が驚愕する。


「さて、双方話し合いのテーブルに着くのか?」俺は、両陣営に冷ややかに言った。



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