やらかしの16
今回暴露話です。
早かったかなぁ?
おかしい、どうしてこうなっている?
昨日宿に帰った俺は、眠いというミーニャを部屋に送ると、大浴場で風呂に入り、一日中開いている酒場で、ラガーを飲み、ほろ酔いで部屋に帰って、誰も寝ていないベットに横になった。
しかし、目が覚めるといつものように、俺の右側にミーニャ、左にカリナ、足元にメーム、胸の上にムーニャがいる。
サランは「私の居場所がない。」と言いながら指輪の中でふて寝している。
俺は誰もいないベットに入ったんだが。
「主、おはよーにゃ。」ミーニャが目を覚まして言う。
「あぁ、何でミーニャはそこにいる?」
「え?嫁の務めにゃ!」
「ご主人様、おはようございます。」
「カリナ、いつからそこにいた?」
「え?ご主人様がベットに入った後、直ぐお傍に居させておりますが?」
(紫炎?)
(敵意のない者は、ご報告不要かと思いまして。)
(必要なら、今後ご報告いたしますが?)
(要らない。)
(御意。)
「まぁ良い。皆支度しろ、ベカスカに行くぞ!」
「はいマスター。」
「はいにゃ!」
「判りました。」
「うにゃ!」
「兄者解った。」
「朝飯は向こうで食うか!。」
俺は、カッターの部屋に向かう。
「おいカッター、起きてるな!」
「な、ケイジ!寝込みを襲うとは。」
「冗談は良いから起きろ。」
俺はカッターを引きずりながら、シハリクのギルマスを訪ねる。
「おやぁ、ケイジ様、こんな朝早くから夜這いですかぁ?」
「冗談は良いですから。」
「さぁ、カッター、俺達をベカスカのギルドまで連れてってくれ。」
「な、がはは、いや、今日は調子が。」
俺は一瞬でそこにいた全員を虚無の部屋に入れた。
そして、俺は跳ぶ。
シハリクからベカスカまでならほぼ半刻だ。
ベカスカのギルド前で、俺は全員を虚無の部屋から出した。
「おぉ、カッター流石だな。調子が悪いと言いながら、一瞬かよ!」
「な、がはは、任せておけ!」
「サラン以外の嫁達は、必要な物を調達しておいてくれ!」そう言ってムーニャに俺のカードを渡す。
「にゃ、主様、任されました!」ムーニャがミーニャやメームを引き連れて買い出しに向かった。
「さて、アイリーンさんを訪ねましょう。」俺が言う。
「がはは、判ったぜ。」
「久しぶりですのぉ。」
俺達はベカスカのギルマスの部屋に向かった。
「こんな朝早くから何事ですか。」ベカスカのギルマス、アイリーンさんが部屋に現れる。
「がはは、ケイジが話があるそうだ。」
「私も呼ばれてますぅ。」モーマが手をあげる。
「な、この近くのギルマスが集まるのは2年ぶりですね。」
「がはは,まったくだ!。」
「お互い不干渉でしたからねェ。」
「ども、ヤッホー、ケイジです!」
突然ケイジが会話に割り込んできた。
「な、がはは、ケイジ。俺たちを集めた理由は何だ?」
「私もそれが知りたいですぅ。」
「いやー。ごめんな。俺が知りたい情報は。」
「情報は?」
「魔王についてだ!」
「な、」
「ま、魔王?」
「なぜ?」
「シハリクのギルマスには情報提供したけど、シハリク近辺のダンジョンは異常だ。」
「異常?」
「あぁ、2階層のレベルが70とかになってる。」
「何だそりゃ。」
「魔王の介入が疑われる、って言うか確定事項だ!。」
「なんだそれ。」
「サラン説明ヨロ!」
「はい、マスター。」
「私はレベル72.サラマンダーの「サラン」だ。」
「此処におられるケイジ様の従属者だ。」
「あぁ、知ってるよ。」アイリーンが言う。
「では、説明する。」
「この近辺の野良ダンジョンには、魔王の介入が感じられる。」
「な、がはは、根拠は?」
「ダンジョンに残った魔素だ。」
「魔素?」
「シハリク近辺のダンジョンに残った魔素は、第20階位の戦王リキードの匂いが強く残っていた。」
「俺は関わりたくないんだが、今の流れじゃ、とりあえず20階位のリキードは殲滅対象って事で良いか?」
「な、がはは、ケイジ肯定する。」
「んじゃ、魔王の情報を開示してくれ!」
「な。」
「そ、それは。」
「サラン、お前が知っている魔王の情報を明かせ。」
「はい、マスター。」
「魔王は、今現在35柱が存在している。」
「あぁ、その通りだ。」
「戦王リキードは、階位1位、龍王バランに従属している。」
「え?」
「がはは、凄い情報だな!」
「サラン、バランに属しているのは何人いる?」
「今は全部で14柱で、リキードはちょうど真ん中だ。」
「と、言う事だ。」
「ソースはどこですか。」
「がはは、俺も聞きたいぜ。」
「わたしもですぅ。」
「バスターから、聞いた。」
「俺が、最近倒した奴だよな。」
「あぁ。」
「な、ケイジ殿、物凄い情報なのだが。」
「ギルドが持っている情報なんか、今のに比べたらちんけな物だ。」
「聞かせてくれ。」
「今話に出た、バランの居城はヤゴナにあり、その従属する配下はイカウト街道の要所に拠点を持っているらしい。」
「ほぉ、それを把握しているのか?」
「全部はしていないのです。」
「因みに、俺が聞いた話だと、2位の魔王が行方不明で、3位と4位も派閥があるらしいぞ。」
「な?本当ですか?」
「ちなみに、7位と9位は個人で行動しているようだ。」
「がはは、ケイジ何処でそれを。」
「あぁ、元バスターの部下で、今俺の配下にいる魔族に聞いた。」
「あぁ、物凄い情報ですぅ。」
「まったく、ケイジ殿は本当に規格外ですね。流石精霊様の保護を持ったお方です。」
「え?ケイジ様は精霊様の保護を持っているのですかぁ?」
「がはは、マブの俺が保証するぜ。」
「ケイジ様、ノームの妻に興味はありませんかぁ?」モーマさんがすり寄ってくる。
「あら、ケイジ殿はエルフの妻に興味があるとおっしゃっていたのです。」アイリーンさんもじりじりと迫ってくる。
「カッター、何とかしろ。」
「がはは、俺は馬に蹴られて死にたくない!」
「こっちにも、その諺があるのか?」
「ことわざ?がはは、何だそれ?」
「人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえっていう奴だよ。」
「ことわざは知らないが、まさしくその通りだぜ。」
「えー、アイリーンさん、モーマさん、お二人を嫁に貰った場合、私にどんな得があるのですか?」
「ノーム秘術の魔法を継承出来ます。」
「エルフ族秘伝の植物系魔術が取得できます。」
(ケイジ様は既に取得されています。)
「え?そうなの? あ~、なんか私、両方とも持っているみたいなんですが。」
「「え?」」
「な、がはは、流石は俺のケイジだ。」
「誰がお前のだ!」
「な、そ、そんな、まさか。」
「えぇ、信じられません。」
「3人を信用して言いますけど、他言しない事を誓ってくれますか?」
「な、がはは、誓うぜ。」
「私も誓います。」
「私もですぅ。」
「紫炎、言質を。」
「はい、ケイジ様。」
「な、何処から声が。」
「皆さま、初めまして、私はケイジ様をサポートする紫炎と申します。」
「私は、精霊様より、ケイジ様を支援するよう申し使ったものです。」
「お三方に今一度問います、これから言う事を秘匿して頂けますか?」
「がはは、誓う。」
「誓います。」
「誓いますぅ。」
「呪縛完了しました。今後この事を話そうとした場合、強制的に心臓停止しますのでお気を付けください。」
「な、がはは、流石精霊様だ。」
「では、ケイジ様の能力の一端をご説明いたします。」
「ケイジ様は、精霊様のご加護により、全ての能力、ステータス、その他諸々がカンストしています。」
「な?」
「はぁ?」
「ふぇ?」
「そして、最近になって、防御力と速さが限界突破しました。」
「え?なんだそれ?って、まさか屋台か?」
「はい、その通りです。」
「ケイジ様は、精霊様のご加護を超えてしまわれました。」
「このタイミングで言うか。それ。」
「はぁ、カンストですか。」
「なるほど、レベル70のダンジョンから帰って来れる訳ですねぇ。」
「でも、それが嫁になれない条件ではないですね。」
「その通りですぅ。」
「私、尽くしますよ。」
「私もですぅ。」
「エルフは寿命長いですからね、ずっとお傍で尽くしますよ。」
「ノームも寿命は有ってないようなものなので、ずっとお傍に居られますぅ。」
「マスターには私が仕えているから大丈夫だ。私に寿命はない。」
「え~、サラン様、私もお仲間に加えて下さいませ。」
「私も、ケイジ様を愛したいですぅ。」
「カッター。」
「がはは、俺には無理だ。」
「どうしたら諦めてもらえますか?」
「ケイジ様、では私に、花を一輪下さい。」
「わ、私は清らかな水をコップに一杯。」
「そんな事で良いなら。」俺は虚無の部屋からムーニャが買ったであろう花を取り出す。
そして、コップには俺が魔法で生成した水をなみなみと注いだ。
俺は二人にそれを渡す。
「ケイジ様、お二人への求婚、完了しました。」
「なに?」
「エルフ族へ花を渡す事は、エルフ族への求婚を意味します。」
「同じように、ノームに清らかな、しかもご自身で生成した水を渡す事も同義です。」
「な、あんたら、図ったな!」
「ケイジ様、一生尽くします。」
「私もですぅ、一生お傍に。」
「紫炎、これもミーニャと同じか?」
「はい。」
俺は手で顔を覆う。
「解った、俺も男だ。面倒を見よう。」
「あぁ、嬉しいです。」
「ふふ、精霊様のご加護を持った方と添い遂げられるなんて、ノーム冥利に尽きます。」
「ただし。」
「え?」
「お二人は今まで通り、ギルマスの仕事を続けてくれ。」
「え?」
「なんでですかぁ?」
「魔王の件が片付くまで、いろいろ情報が欲しい。」
「あぁ。」
「判りましたぁ。」
「がはは、と言うか、今ケイジが話した情報はとんでもない金額になるんだが。」
「は?そうか?たいした事無いじゃん。」
「おいおい、魔王に関する情報なんか、そうそう出てこないぜ。」
「特に魔王の派閥なんか、俺は初めて聞いた。」
「まぁ、魔王は魔族がレベル80を超えて名乗れるものですから、人の範疇では何とも出来ないですからねぇ。」
「でも、ケイジ様なら対応出来るのですぅ。凄い事ですぅ。」
「そんなもんか?」
「はいですぅ。」
「で、直接リキードに突っ込むかサラン。」
「マスター、リキードの居城はヤガチイらしいが、その前にリキードの下位の魔王を殲滅した方が良いと思う。」
「そうか、では、俺はどいつを狙えば良い?」
「ルズイにいる、35位アクアかと。」
「アクア?名前から水関係か?」
「はい、私とは相性最悪な奴です。」
「まぁ、サランの能力は借りなくても何とかなるよきっと。」
「がはは、俺は付いて行かないぞ。」
「あぁ、カッター、今までありがとうな。」
「な、がはは、何時でも声をかけてくれ。」
「あぁ、頼むよ、カッター。」
「解ってるよ、相棒!」
俺はカッターが出した拳に軽く拳を合わせる。
「ぎやぁぁぁあああああぁぁ。」カッターが悲鳴をあげた。
「え?」
カッターの拳が消えていた。
「ケイジ様、一連の流れでカッターに敵性判定されてます。」
「あ~、ヒール。」
カッターの拳が一瞬で治る。
「け、けけ、ケイジ、俺達はマブだよな?」
「あ~一応?」
「信じて良いんだな?」
「カッターが裏切らない限りはな。」
「な、がはは、裏切るわけないだろう!」
ギルマスの部屋を出ると、皆が帰って来ていた。
「あ~、嫁さんが2人増える。此処に居るアイリーンとモーマだ、仲良くしてやってくれ。」
「にゃ、長命種は歓迎だニャ!」
「共にご主人様に仕えましょう。」
「一緒にご奉仕するにゃ。」
「俺も歓迎する。」
「メーム、お前は弟!弟だからな!」
「な、兄じゃ、フリは良いぞ。」
「フリじゃないからな!」
「ちぇ、判った兄者。」
「ムーニャ、色々教えてやってくれ。」
「はい主様。」
「ニャ?何でミーニャじゃないにゃ?」
「出来るのか?」
「ん~、無理かもにゃ。」
「そう言う事だ。」
「納得したにゃ。」
「カリナ、今日の晩飯頼む。」
「はい、ご主人様、喜んで。」
その日の晩御飯は、豪華な物だった。
「紫炎。」
「はい、何でしょう?」
「カンストとしか聞いてないが、俺の色々はいくつだ?」
「防御と速さ以外全て ALL9です。」
「一個だけ聞いていいか?」
「はい、何なりと。」
「レベルはいくつだ?」
「9999」です。
「は?」
「え~っと、人族の到達レベルは?」
「良くて20でしょうか。」
「100は超えてるって思ったけど。」
「なぁ、これってチート過ぎないか?」
「いえいえ、どれだけ嫁と下僕を増やせるかって事です。」
「レベルなんて、只の飾りです。」
「はぁ、色々声が聞こえる。」
「私には聞こえません。」
「魔王さん逃げて~って。」
「ふふふ、この話はどれだけ蹂躙するかですよぉ。」
「し、紫炎さん、なんか怖い!」