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やらかしの149

「えっと、2跳躍?」

「はい。」

「方向は?」

「此処から西に、はいその方向です。」


「わはははっは。」

「ぐはははは。」俺は跳んだ。


「此処がウオザか?」俺はウオザの門の前で言う。」

「はい。」

 周りにいた者達が俺をがん見してくるが、無視した。



 俺は、入場の列に並ぶ。



「身分を証明する物は?」門番が俺に言う。

「あぁ。」俺はベカスカのギルドカードを見せる。


「おぉ、ようこそ、ウオザへ。」カードを見た門番が最敬礼する。


「あぁ。」俺はそう言いながら、門を潜った。


「さて、ギルドは何処かな?」俺が独り言を言うと、傍にいた男が教えてくれる。

「あそこにある、赤い屋根がギルドだ。」


「おぉ、ありがとうな。」そう言いながら、ギルドに向かう。




「カロンカロン。」軽やかなドアベルの音と共に、俺がドアを潜る。


 一瞬、冒険者達が俺を見るが、興味無さそうに目を逸らした。


「ふむ。」俺は、空いているカウンターに向かった。


「どのような御用でしょうかにゃ?」受付の獣人がにこやかに聞いてくる。

「あぁ、オーガキングの情報を貰いたい。」

「にゃ?」受付の獣人が固まる。


 周りの冒険者たちも、俺を見て固まっている。


「オーガキング様ですかにゃ?」受付嬢が言う。

「オーガキング様?」俺は疑問に思う。


「おいおい、オーガキング様の情報とはなんだ?」いかつい冒険者が俺の前に歩いてくる。


「お前は?」

「俺の事は良い、オーガキング様の情報を知って、お前はどうするんだ?」

「お前には関係ない。」俺がその男に言う。


「おいおい、オーガキング様は、この町の領主様だ、その情報は秘匿されて然るべきものだ。」

「へぇ、この町はオーガキングが治めているのか。」

「貴様、様をつけろ。」


「俺には関係ないな。」

「貴様!」俺は、俺に手を伸ばした冒険者の手を捻り、ドアから表に放り出した。


「ぐはぁぁ。」入口のドアを壊しながら、その男が表に飛んでいく。

 周りにいた、冒険者たちが一斉に立ち上がった。


「一つ忠告しておく!」俺は大声で言う。

「俺に敵対した者で、レベルが90以下の者はその場で死ぬぞ。」


「はぁ、何を言っているんだ、俺達人間は精々レベル12が最高だ、ここにいる全員が、お前に敵対したら死ぬのか?」

「否定しない!」


 周囲の冒険者がざわつく。


「ケイジ様、ここにいる者すべて魅惑チャームされています。

魅惑チャーム?」

「はい。」


「解く方法は?」

「ラヒールで一時的に解けますが、すぐ元に戻ります。」


「貴様、良くもやってくれたな!」表に放り出した冒険者がドアから入ってくる。


「ラヒール!」


「え?」その冒険者が呆ける。


「おれは、何をしていたんだっけ?」


 するとそこにいた冒険者たちが、我に返ってギルドを出ていく。


「俺、急用を思い出した。」

「俺もだ。」

「昨日作ったおかずを食べないと。」

「あたし、美容院を予約していたんだ。」

「故郷の母ちゃんが病気だから帰らないと。」


 そこにいた冒険者が、全員消えた。


「オーガキングの情報をくれ。」受付の獣人にもう一度言う。


「なんだ、どうしたんだ?」ギルドの2階からドワーフが下りてくる。

「ギルマス。」受付のお姉さんがその男を見て言う。


「ん? どうしたんだ? その人は?」ギルマスと呼ばれた男が俺を見て言う。

「あぁ、俺は、ケイジだ、宜しくな。」

「あぁ、俺は此処のギルマスのユアーミだ。」

「あぁ、宜しくな。」


「で、この状況は一体?」

「この方が、オーガキング様の情報を聞きたいにゃと。」受付のお姉さんが言う。


「なんと、その情報を聞いてどうするのですか?」

「討伐する。」

「な!」

「え?」


「理由を聞いてもよろしいですか?」

「あぁ、オーガキングに命令されて、ゴブリンエンペラーがある街を襲った。」

「まさか。」


「事実だ。」

「証拠は有りますか?」

「ゴブリンエンペラーを持っている。」


「そのようなマジックバックが?」

「俺は持っている。」


「ゴブリンエンペラーを見ることは?」

「可能だ。」


「では、ここに出してください。」

「駄目だ。」

「何故です?」


「お前が攻撃するからだ。」

「つっ。」


「ギルドなら、裏に広場があるだろう。」


「はい。」

「では、其処に行こうか。」

「こちらです。」



「10歩下がれ。」俺はギルマスに言う。

「解りました。」ギルマスは俺から5m離れる。


 俺は、ゴブリンエンペラーを取り出す。


「んぁ、本当にゴブリンエンペラー?」ギルマスが驚愕する。


「お前が、誰に命令されて人間の町を襲ったかを言え。」

『鬼の王に命令されたからだ。』


「きえぇ!」ギルマスが、ゴブリンエンペラーに迫る。

 俺は、その攻撃をつかみ取り、ゴブリンエンペラーを虚無の部屋に入れる。


「ラヒール!」

「え?」ギルドマスターが正気に戻る。


「私は何をしようとしたのだ?」


「オーガキングに洗脳されていたんだ。」


「なんと?」


「オーガキングの情報をくれ、俺が討伐する。」

「解った、こっちに来てくれ。」ギルドマスターが俺を案内する。


「この人にオーガキングの情報を教えてくれ!」

「はいにゃ、ギルマス。」


カウンターにいた獣人は、オーガキングが何処にいるかという情報と、オーガが何人いるかという情報を教えてくれた。



「因みに、オーガキングの情報を出し渋った理由は何だ?」


「オーガキング 様はこの町を守ってくれていますにゃ。」

「へぇ?」


「月に一人、生娘を生贄に捧げれば、私達を守ってくださいますにゃ。」

「アウトだ。」

「にゃ?」


「贄を求める者は、只の害悪だ!」

「そんな。」


「その娘たちは帰ってくるのか?」

「いえ。」


「はぁ。」俺は深いため息をつく。


「食われてるよ。」

「え?」



「今から、オーガキングを狩る!」そう言いながら、村の裏山に俺は駆ける。


途中、何人ものオーガが襲ってきた。

俺は、妖精王ホルンが自ら封じられた刀でオーガたちを殲滅した。


オーガは、魔石以外価値が無いらしいので、紫炎が魔石だけを抜き取った。

オーガの死体は、魔物たちが美味しく処分してくれるだろう。


オーガキングは、山の中の砦にいた。


「領主なのに、山の中にいるのか?」

 俺は、その山に走る。


『何者だ?』

「邪魔だ!」


俺は、門番のオーガを屠って門の中に入る。

途端に、死臭が俺の鼻をついた。


生贄にされた、女たちの物だろう。


俺は、俺に敵対するオーガを狩って、その砦の最上階に着いた。


最上階にある部屋の前には、2匹のオーガがいた。

『お前は誰だ?』

『キング様に、何用だ?』


「あぁ、俺はケイジだ、宜しくな。」

「そして、キングを狩りに来た。」


『なんだと!』

『貴様!』


『はぐぅ!』

『ぐはぁ!』俺の刀の力で、門番が二人ともこと切れる。

 俺は、魔石を取り、そのまま門を潜った。



『くはははは、貴様、我に仇名すか!』奥の部屋にいたオーガキングが、女性の腕をかじり乍ら言う。

「あぁ、お前は害悪だ!」


『くははは、俺を滅するというのか!』かじっていた人間の腕を放り投げながら言う。

「あぁ。」

『くははは、やれるならやってみろ!』


「あぁ。」俺は、俺の感覚をオーガキングにリンクした。

 そして、その感覚を閉じていく。


『くははは、なぁ!』オーガキングが驚愕する。


「解ったようだな、今、お前の痛覚を封じた。」

『な!』

「お前の触覚を封じた。」

『貴様!』

「味覚と視覚を封じた。」

『なぁ!』

「聞こえるだろう、それがお前が最後に聞く音だ。」


「ドクン、ドクン、ドクン。」心臓の音だ。


「聴覚を封じる。」その言葉で一切の音が消える。


『まて、話を聞いてくれ。』

「・・・」俺は聴覚を封じるのを一旦止める。


『俺は、国の平定を考えたんだ。』

「・・・」


『ゴブリンを使って、人間の町を襲わせたのは、その方が国の平定が出来ると思ったからだ。』

「・・・」


『生き残った人間は、ちゃんと奴隷として使うつもりだった。』

『俺は、悪くないよな?』オーガキングが叫ぶ。



「ギルティ!」

『え?』


「他の人種を、奴隷にする行為は許されない。」


『力がある者が、弱者を支配するのは当然だろう?』


「ギルティ!」


「その思いあがった考えが、討伐対象だ。」


『え?』


「お前の力が及ばぬ者に、お前は滅せられる。」

『え?』


「死んで、後悔しろ。」

『は?』

「あぁ、その前に、ゴブリンエンペラーを出しておくか。」俺は虚無の部屋からゴブリンエンペラーを取り出す。


『おぉ、鬼の王!』

『貴様は?』


『はい、貴方に人間村を討伐するように命を受けましたが、このお方に敗北して叶いませんでした。』

『よく、おめおめと俺の前に顔を出せたものだな?』


『はい、私は、生について執着していないので。』

『ん?』


『私を滅するのは、鬼の王である貴方と共にと願いました。』

『な、ふざけるな!』


「と言う事だ、ゴブリンエンペラーと仲良く地獄に旅立て。」俺はゴブリンエンペラーをオーガキングの傍に放り投げる。


『ほほほ、鬼の王の死出の旅路にご一緒出来る事、光栄に思います。』

『止めろ~~~!』


煉獄じごくのほのお!」俺は炎の魔法の中魔法をお見舞いする。


『うぎゃぁぁぁぁ。』オーガキングが断末魔の声を上げる。

『おや、これは気持ちの良い。』ゴブリンエンペラーはうっとりとしながら目を瞑る。


 その場から二つの存在が消えた。


 そこには、2個の魔石だけが残った。


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