やらかしの15
殺戮の部分、修正しました。
どんちゃん騒ぎは続いていた。
気が付くと、シハリクのギルド職員も混ざっている。
「がははは、ケイジ、飲んでるか?」
「あぁ、美味い酒だ!」
「がははは、楽しんでくれ!」
「主様、ムーニャはもう眠いです。」
「兄者、俺も限界だ。」
「旦那様、私も美容のために、そろそろ寝たいです。」
「あぁ、皆、楽しんだか?」
「はいにゃ。」
「おぉ。」
「えぇ、旦那様。」
「んじゃ、お休み!」俺が3人の頭を撫でる。
「うにゃ!」
「おぉ。」
「はわぁ。」
「メーム。宿まで護衛しろよ。」
「おぉ、兄者、任せてくれ!」
そう言うと3人は酒場から出て行った。
「もう少し肉が食いたいな!」俺がぽつりと言うと。
「にゃ、どうぞにゃ!」
「マスター此処に!」
ミーニャとサランが、皿に肉を盛って俺の前に差し出す。
「お、おぉ、二人ともさんきゅうな!」
「嫁として当然の務めにゃ。」
「マスターの血族として当然の行為です。」
「おぉ、ありがとうな。」
「ミーニャ、サラン、もう一度乾杯するか。」
「にゃ、主、嬉しいにゃ。」
「マスター、私は。」
「解ってるよ。」そう言って俺はグラスにラガーをなみなみと注ぐ。
「サランに奉納を。」
「な、マスター、マスターは本当に優しい。」
「何言ってるにゃ、サラン。マスターは私達全員に愛をくれているにゃ。」
「いえ、ミーニャ様。私などその末席で」
「サラン、主を侮辱するにゃ?」
「え?」
「主が、お前に差別をしたかにゃ?」
「いえ、多大なる愛を頂いております。」
「主は、お前が捧げた物しか受け取れないから,毎回お前に奉納してるけど。」
「はい。」
「それが主の愛にゃ!」
「あぁ、嬉しい。」
「ミーニャは羨ましいにゃ!」
「そんな、勿体ない。」
「何言ってるんだ、ミーニャ。」俺はミーニャを抱きしめる。
「にゃー。」
「俺が、最初に求婚したのはお前だ。」
「にゃ?主?」ミーニャの顔が見る見るうちに真っ赤になる。
「お前の首輪が俺への愛の証だろう?」
「にゃ、主、そうだにゃ。」
ミーニャは俺の腕の中で脱力する。
「サラン、お前も来い!」
「え?マスター?」
「俺は、誰も贔屓しない!」
サランはおずおずと俺に近づく。
俺はサランの手を取ると、グイっと引き寄せた。
ミーニャとは反対側の腕にサランが飛び込んできた。
「マスター。」
「多分、お前が俺と一番長く添い遂げるんだろう。」
「な、それは。」
「お前が俺を愛してくれる限り、俺もお前を愛そう!」
「マスター。大好きだ!」そう言うとサランは俺に口付をしてくる。
俺はそれを受ける。
そして、カリナが俺に使った口技を、サランに使う。
「はぅ。」サランが固まる。
「あぁぁぁ、マスター。」サランが俺の腕の中で脱力する。
「主、ミーニャにも。」そう言いながら、ミーニャが俺に口付けをする。
「あぁ、ミーニャ。」
俺はミーニャにも同じ事をした。
「ふにゃー。」ミーニャも同じように脱力した。
(ケイジ様、警告します。)紫炎が俺に言う。
「え?どうした?」
(孤児院が襲撃されています。)
「な?ベカスカのか?」
(はい。)
「な、マジか?」
「サラン、指輪に入れ!」
「あぁぁ、マスター、判った。」サランが指輪に消える。
「おい、ミーニャ。孤児院が襲われているらしい。」
「え~、襲われてる~・・・にゃ!それはまずいにゃ!」
ミーニャが覚醒した。
「主、助けに行くにゃ!」
「ミーニャ、流石だな。」
「主、ミーニャは酔ってないにゃ。」
ふり?じゃないみたいだな。
俺はミーニャを虚無の部屋に入れると、ベカスカまで跳んだ。
一分もかからずベカスかの端に到着した。
此処から孤児院は目と鼻の先で、数刻でたどり着ける。
俺は孤児院まで跳躍した。
孤児院の前で、ミーニャを虚無の部屋から解放した。
「にゃ、主、中に人の気配がするにゃ!」
「そいつらが賊か。」
「賊と言うか微妙にゃ。」
俺が孤児院の中に入ると、小奇麗な格好をした男が、寮母に詰め寄っていた。」
「だから、俺にも権利はあるよな。」
「ありません!」
「なんでだよ、俺も1年前まではここにいたよな。」
「これは、ケイジ様が今、此処にいる孤児たちのために寄付して下さったものです。」
「ですから、すでに成人した貴方にはその権利はありません!」
「たった一年違いで、そんな権利が消失するなんて認めない!」
「貴方達、何を言っているか、理解していますか?」
「俺達、元この孤児院の住人にも、ケイジの施しを受ける権利がある!」
「有りません!」
寮母さんが一括する。
「あなた方は、すでに此処を出て行った存在。」
「そんな者たちに何の権利があると言うのですか?」
「俺達は存分に施しを貰えなかった!」
「な?」
「それを自分で何とかしようとは、考えなかったんだな貴様は。」
「な?だれだ?」
「誰でも良いよ、俺はお前が嫌いだ!」
「な、俺は俺の権利を主張する、ぶ!」
「あぁ、勝手に主張してろ、」
その男の顔に、処からともなく水が湧いて口や鼻を塞ぐ。
「あばばば。」
「その状態で、言いたい事を言えたら聞いてやるよ。」俺はそこに座って言う。
「がぼ、俺にもがぼぼぼ、メイドがごご服の、しもべグボハァ、の一人もどばあは。」
「頑張るな!」
「膝枕が。ごばぁ!」
俺は寮母に向かい謝罪する。
「すませんでした。」俺は寮母に頭を下げる。
「いえ、ケイジ様面を上げてください。」
「俺が寄付した事実が広まれば、この結果は想定出来ました。」
「私達の職員が暴露しなければ、こんな事には。」
「おや?つまり内部の犯行だと?」
俺は、孤児院内を識別する。
「あぁ、なるほど。」
孤児院から出ようとしている女に俺は声をかける。
「おい、其処のあんた、何処へ行くんだ?」
「その女は、その場で固まった。」
「お前、共犯だな。」俺が冷たく言う。
実行犯の男が溺れながら叫ぶ。
「いや、俺はそんな女知らなばび!」
「俺が、一人でやった事がぼぼぼ!」
「そんな女は関係なぐぼぼ!」
「ほぉ、んじゃこいつの行末は関係ないな。」
俺はその女に、魔法を発動させる。
「苦しめ。」俺はにやにやとしながら言う。
俺は、男に発動したのと同じ魔法を発動する。
「言いたい事があったら今のうちに言え。」
その女は、先程の男と同じように、口と鼻を水が塞ぐ。
「な君だけは、普通のがぼっぼ。」
「私だけ、が、がぼっぼぼ。」
二人はお互いを見つめあい、その身を抱こうとする。
「させない。」俺はそう言うと二人の間に魔法を発動する。
その手が、数センチ近づくと、数メートル離れる拒絶魔法。
「がぼぼおぼ、」
「ぐばぼっぼぼ。」
「がぼぽぼぼ。」
「おい、色々面倒くさいから、判るように言ってくれ。」
俺は二人に言う。
「主、聞こえてないにゃ?」
「あぁ、もう一回言うぞ。」
「理解できる言葉で言ってくれ。」
「げはぁ。」その場で二人が目と目を合わせて頷きあう。
「がぼぼぼ。」
「ぐばぼびぼぼ。」
「おい、手抜きと思われるだろう。」
「主?何の事にゃ?」
「おいおい、何時まで待たせるつもりだ?」突然孤児院の裏口から数人の男たちがなだれ込んできた。
「主犯の登場か。」
「いつまで待てば、そいつの借金が俺に払われるんだ?」
「げへへへ、兄貴、其処にいる寮母も、年増ですがまだ使えそうですぜ。」
「なんか、溺れてますが、そいつの女もまだまだいけるかと。」
「はぁ。」俺はため息をつく。
「デフォルトかよ。」
(ケイジ様、好感度アップクエストです!)
「誰のだよ!」
(ミーニャです。)
「はぁ。」
「おい、お前ら。このまま消えるなら見逃してやる。」
「あ?何だか知らないが、ゴミが戯言をほざいてるな。」
「げへへへ、そいつが連れている獣人も別嬪ですぜ!」
「なんだ、俺達への貢ぎ物か、じゃぁ、それを置いて帰れ。」
「主、殺ってもいい?」ミーニャが言うが、
「いや、駄目だ。」俺が答える。
「え~、なんで」
「何言ってるんだ、俺の嫁への侮辱だぞ。俺が殺る。」
「主。嬉しいにゃ。」
「って、事で、お前ら死刑な。」
「はぁ。ぎゃははは、お前ら、聞いたか?こいつ俺達を殺るってよ。」
「ばははは、世間知らずなお坊ちゃんですか。」
「げへへへ、俺、そいつの尻掘りたい!」
「ぷははは、まず俺が全ての穴を制覇してからな。」
「下品だ!」俺は思う。
その4人の男達は見るからに醜悪な雰囲気を纏っている。
「はぁ、お前ら、言いたいことは言ったか?」俺が優しく言う。
「げははは、兄ちゃん、命乞いは良いのか?」
「思い残すことはないって事で良いな?」
「あぁ?何を言って・・ 前にいた男にデコピンをくらわす。
「****。」その男は白目をむいてその場に崩れる。
次に、すぐ横の男には、軽く手刀を打ち込んで意識を狩る。
「な?」リーダー格の男が俺を見る。
「貴様ぁ!」そう言いながら男は、腰の剣を抜こうとする。
俺はその男の前に飛び、その手を押さえる。
「く、抜けん。」
「ほれ!」俺は男の首を軽くつかむ。
一瞬で男の顔が赤くなり、落ちる。
「ほ、ほへえええ。」最後に残った男が奇声を上げる。
その手には、細身の剣が握られていた。
「ほぉ、それでどうする?」
「みぎゃぁ!」奇声と共に俺に切りかかってきた。
「ほれ!」俺は手の甲で剣の横を弾くと、そのまま男の頭を持って床に落とす。
「静かになったな。」俺はそう言うと、男達を虚無の部屋に入れる。
「んで、お前たちはどうするんだ?」
既に魔法は消えていたが、大量の水を飲んだのか、ゲホゲホとせき込んでいる男女に言う。
「大方、ギャンブルの借金返済に、金が欲しかったんだろう?」
「あ、ゲホゲホ、あぁ、そうだ。」
「借金取りはいなくなるから、チャラだな。」
「あぁ、ゲホ、助かる。」
「何言ってるんだ、此処を危機に陥れた落とし前は、どうつけるつもりだ?」
「あ、あたしは、此処を出て行く。」
「寮母先生、手は足りてるのか?」俺は寮母に聞く。
「心を入れ替えて、働いてくれれば、不問にします。」
「だってさ。」
「え?でも、あたし。」
「その代わり、半年はお給料半分です。」
「こ、此処に居れるなら、良いです。」
「よ~し、女の方は決まったな。」
「で、お前はどうする?」
「お、俺は行くところが無い。」
「仕事は?」
「定職は無い。」
「よし、お前は明日にでもヤミノツウに行け。」
「え?」
「俺の部下が、ヤミノツウで店を開いているはずだから、その店で働け!」
「え?」
「拒否するなら、借金取りと同じ運命だ!」
「え?どんな?」
「今から、シハリクに帰るが、その途中で足の腱を切って捨てる。」
「え?それは魔物に食われる運命しかない。」
「いや、武器は置いておくから、助かるかもよ。」
「んじゃ、選べ。」俺は満面の笑みで言う。
「ヤミノツウに行って、就職します。」
「良し。一か月後に見に行く事になってるから、その時に居なかったら解るよな!」
「はい、ケイジ様の怖さ、この身に沁みました。」
「な~に、下克上はいつでも歓迎するぜ。」
「その際には、俺の最上級のお・も・て・な・しを提供するけどなぁ。」さわやかな笑顔で俺は答える。
数刻後、ベカスカとシハリクの間の街道。
ベカスカから、ミーニャをお姫様抱っこで跳んできた俺は、先程の男達を虚無の部屋から出す。
相変わらず、気を失っている男たちの、足の腱を俺は刀で切っていく。
「うぎゃ!」
「だわぁ。」
「ぎゃぁ。」
「へぎゃぁ。」
転がった男達に俺は言う。
「本当は、俺がお前たちを屠るつもりだったんだけどな。」
「孤児院を血まみれにできないじゃん。」
「だから、お前たちにチャンスをやるよ。」
「此処で明日まで生きてたら、拾ってやる。」
俺はそう言うと、こいつらから奪った武器をその場に捨てる。
「あぁ、足の腱はハンデな、俺に敵対した。」
「もし生き残ったら、俺が色々引導とか渡してやるから。くすくす。」
「んじゃ、長い夜を堪能してくれ!」
俺はそう言うと、ミーニャを抱いてシハリクに跳び、ムーニャたちが眠る宿に向かった。
「主、凄いにゃ。」
「つい、力が入っちまった。自重しよう。」
「さて、もう一回お仕置きタイムかな?」