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やらかしの146

「ケイジ様、バンテゴのヤジカ親方から、採取依頼が入っています。」虚無の窓からアイリーンが言う。

「おぉ、受けるぞ。」


「詳細は、ヤジカ親方に聞いてください。」

「解った。」


「紫炎、ヤジカ親方の店の前に。」

「はい。」


「採取依頼か、オカタのダンジョンを周回すれば良いかな?」


「1回で良いと思う。」ハクが傍に来て言う。

「そうか?」


「うん。」

「一緒に行くか?」


「ううん、今回は、行かない。」

「え?」


「この家を守る者がいなくなるから。」


「あぁ。」

「エンとミドリを連れて行ってあげて。」


「解った。」


「じゃぁ、次は僕が残るよ。」ミドリが手を上げる。

「その次は、僕が残る!」エンも手を上げる。


「じゃぁ、行ってくる。」俺は、ミドリとエンを虚無の部屋に入れ、紫炎にヤジカ親方の店の前に繋いで貰った。

「いってらっしゃい。」ハクが笑顔で送り出してくれた。


************


「邪魔するぜぃ。」そう言いながら、親方の工房に入っていく。

「邪魔するなら来るな、って、ケイジ様か。」


(う~ん、微妙だ。)


「俺に依頼を出したんだろう?」


「あぁ、コンロやオーブン、それに冷蔵庫とバネ秤、ミートミンサーと麺打ち機も注文が止まらねえ。」


「それは良かったな。」

「あぁ、良かったんだが、原料が足らないんだよ。」


「あぁ、そう言う事か。」


「鉄とミスリル、ヒヒイロカネを持っているなら全部買う。」


「良いよ、俺が今持っている物を出すよ。」

「ありがてえ。」


鉄1270重       1270G

ミスリル610重     18300G

ヒヒイロカネ35重    105000Gを出す。


「おぉ、ありがたい! 決済するからカードを貸してくれ。」

「あぁ。」俺は、ヤジカ親方にカードを渡す。



「確認してくれ。」親方がカードを返してくる。

「あぁ、信用している。」俺は確認せず、カードをしまう。


「かぁ、男前だな、ケイジ様。」


(いや、日本円で12億4千万を即金で支払える親方の方が男前だよ。)俺が思う。


「ははは、奥さんに宜しくな。」そう言いながら、ウイスキーの瓶を10本カウンターに置く。


「おぉ、言っておくぜ。」ヤジカ親方は、そう言いながらウイスキーの瓶の蓋を開けてラッパ飲みする。


「紫炎、オカタのダンジョン前に。」

「はい。」俺はそこを潜る。


「おぉ、また消えた、ケイジ様は本当に凄い御業を持っているんだなぁ。」ヤジカ親方が感嘆する。


************


「順番はどうだ?」ダンジョンの前にいたドワーフの女性のギルド職員に聞く。


「最近、入る冒険者が減っていて、今日は貴方が3人目です。」

「ほぉ?」


「因みに、前に入った2組は帰って来ません。」

「え?」


「最深部迄攻略されたから、簡単なダンジョンだと思っているんですね。」

「入場制限をかけろよ。」


「冒険者の命は、自己責任ですから。」

「あぁ。」


「でもせめて、階層ごとに入れるランクを決めろよ。」

「あぁ、ギルマスに進言しておきます。」

「俺がそう言ったと言って良いぞ。」

「え?」


「俺は、ベカスカAランク、ケイジだ。」

「あぁ、貴方が?」

「此処のダンジョンを踏破したのは俺だ。」


「ギルドに、各階の情報を渡しているから、入れるランクを決めろ。とギルマスに言っておいてくれ。」

「はい、判りました。」


「このダンジョンの、ドロップ品が納品されなくて、ドワーフ達が困っているからな。」

「はい。」


「頼んだぞ。」そう言いながら、ギルド職員の肩に手を置いて、ニカっと笑う。


「はひぃ。」ギルド職員の顔が真っ赤になる。


「おい、大丈夫か?」そう言いながら、その職員のおでこに手を当てる。


「はふぅ。」ギルド職員がその場で意識を失った。


「ありゃ、相当疲れていたんだな。」俺はそう言いながら日陰に連れて行って、濡れたタオルを額に乗せる。


「4人だから、400Bを置いておけばいいか。」そう言いながら、カウンターに400Bを置いてダンジョンに入る。


 1階前の安全地帯で、俺が言う。

「9階までを、虚無の部屋に。」

「はい。」


「魔石239、上魔石55、特上魔石6、鉄1320重、ミスリル690重、アダマンタイト120重、ヒヒイロカネ37重、オリハルコン11重、虚無の部屋に。」


「んじゃ、青龍に会いに行こうか。」

「うん。」

「楽しみ。」ミドリとエンが楽しそうに言う。


 俺は、10階層迄、ただ歩いた。


「ダンジョンをただ歩いて降りるのは詰まらないな。」


「いちいち戦わなくて良いんじゃない?」ミドリが言う。

「ミドリ、そもそも戦わない。」

「え?」


「俺が持っている刀が、俺に敵意を向ける者を一瞬で滅してくれるから。」

「は?」


「お前達が生き残ったのは、レベルが少しだけ高かったからだ。」


「ねぇ、僕のレベル解る?」ミドリが言う、


「レベル87.。」

「え?」


「エンは88か?」

「その通りだよ。


「前に来た時は、レベル70以下の者を討伐したから、運が良かったな。」

「はぁ?」


「今は、レベル90以下が討伐対象らしいぞ。」


「ねぇ、死刑宣告にしか、聞こえないんだけど。」

「俺に敵対しなければ、問題ないぞ。」

「はぁ?」


「え? 俺に今後敵対するって事か?」


「いや。いや、無いですわ。」エンが言う。


「まぁ、青龍と飲もうか。」俺はそう言いながら、ダンジョンの最奥に進む。


************


「また来てくれたのかい?」

「あぁ、飲もう!」


「ははは、嬉しいよ。」



「ほれ、温かい酒だ。」俺は青龍に徳利を突き出す。

「ありがとう。」青龍はそれを受けて口にする。

「あぁ、美味しいなぁ。」


「僕もそれが良い。」

「僕も。」


「あぁ、ミドリとエンにも熱燗だな。」俺はそこに熱燗の徳利を取り出す。

「あはは、エン、どうぞ。」

「おっとっと。」


「ミドリにご返杯。」

「おっとっと。」


「ぷはー、美味しい。」


「サランに奉納を。」

「ありがとう、マスター。」


「つまみも、有るぞ。」俺はいつもの通り、俺特製のアテをそこに出した。


「うん、美味しい。」


 宴は数刻続いた。



「じゃぁ、また来る。」


「うん、待っているよ。」青龍が悲しそうに言う。


「そんな顔をするなよ。」

「でも、エンやミドリが羨ましい。」


「はぁ、考えておくよ。」


「え? ケイジ様?」

「期待はするなよ。」


「うん。」青龍は何故か期待に満ちた顔で、ケイジたちを見送った。


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