やらかしの11
報酬額が色々あれだったので、修正しました。
矛盾するところがあったら、指摘してくださいまし。
結局、シハリクへの移動は、先程の業者を使う事にした。
「へっへっへっ、旦那、またよろしくです!」
「おう、よろしくな!」
「シハリクまでは2刻ほどで到着します!」
「おぉ、頼りにしてるぞ。」
「へっへっへっ、お任せを。」
業者は、馬車を走らせる。
その道中でサランに疑問を尋ねる。
「サラン、ちょっと良いか?」
「はい、マスター。」
「お前は、魔王の情報をどうやって知った?」
「魔王本人から、直接言われました。」
「え?」
「でも、面倒なんで、ぶっちしてたら、都合よく生まれたてのダンジョンがあったんで、其処に隠れてました。」
「ぶっちって、それで平気なのか?」
「バスターは脳筋なので、覚えてないでしょう.」
「因みに、どの程度の軍団が攻めてくるんだ?」
「バスターはカリスマが低いので、せいぜい4~500位かと。」
「どのクラスが?」
「私クラスが2~30人で、残りはそれ以下かと。」
「バスターのレベルはいくつだ?」
「魔王を名乗れるのは、レベル80からです。」
「え?たった?」
「マスター、人族では到達できないレベルですよ。」
「ほぉ。」
「人族は、通常50年ほどでレベル13に到達します。」
「知ってる!」
「あそこのギルドマスターのように、若くしてそのレベルに到達しても、それ以降はほとんど成長しないのです。」
「ふ~ん。」
「マスター、私にはマスターのレベルが見えないのですが、マスターのレベルはいくつなのですか?」
「え?そんな奴にサランは従属したのか?」
「最上位の魔法を使用するのですから、私より高位だと認識しました。」
「サラン、聞いて良いか?」
「はい。」
「炎系の最上位魔法は何だ?」
「煉獄ではないのか?」
「ん~、そこで真ん中ぐらいかな。」
「な、その上が存在するのですか?」
「因みに、炎系の最上級魔法の到達温度は1500万度だ。」
「聞いたことのない、温度です。」
「多分、サランでも一瞬で蒸発するな。」
「まさか、マスターはそれが。」
「可能だ!」
「な。」
「因みに、地水火風光闇時すべてで、最高点を取得している。」
「マスター、最早、貴方がこの世の王なのではないか?」
「はっはっはっ、サランと同じで面倒事は嫌いなんだ。」
「マスター。」
「俺は、隠居スタイルが望ましいな。」
「解った、マスター。このサラン、全力でマスターの隠居生活を死守する。」
「いやぁ、サラン、適当でいいよ!」
「しかし、マスター、力が漏れ出していると思うが。」
「炎系はサランの能力って事で良いから!」
「サランに敵対すると、地獄の業火で焼かれるって事でヨロ!」
「何か釈然としないが、解った、マスター。」
「うんうん、良いね、良いね。」
「マスター、炎系で、私に肩を並べる存在がいる。」
「へぇ、サランに並ぶやつがいるのか。」
「イフリートと言う。」
「あー。ゲームでおなじみの奴か。」
「ゲームとは?」
「俺の世界の遊びの一種だ。」
「サラマンダーの上位種となってることが多いが。」
「な、マスター、それは無い。絶対に無い!」
「おぉ、息が荒いな!」
「奴らは、私とは異なる存在。」
「へぇ?」
「あ奴らの炎は、邪道だ!」
「え?邪道なの?」
「我らの炎は、空気中の燐を集めて生成するもの。」
「あ奴らは、空気中の酸素を直接燃やして炎とする!」
「へぇ、そんな違いが?」
「酸素を直接燃やすなど、粋ではない!」
(あー、精神論なんだ。)
「それが、バスターだ。」
「おっと、そう言う事か。」
「解った、サラン。でも、そいつらが俺の下に付いたら仲良くしてやってくれ。」
「つ、マ、マスターの御命令であれば。」
「ところで、バスターって奴は、話が通じる奴か?」
「脳筋ではあるが、理解はする奴だな。」
「ん~、話せるなら、話してみるか。」
そういう話をしているうちに、シハリクに到着した。
「ご苦労さん。」俺はそう言うと、10Gの運賃に5Gほど上乗せして報酬を払った。
「へっへっへっ、旦那様のお仕事を受けた時の報酬は破格です!」
「おぅ。そうなのか?」
「旦那様、今後とも御贔屓に。旦那様の依頼なら他を差し置いても参上いたします。」
「お、おぉ、よろしく頼むな!」
「へい!喜んで!」
「さて、迎え撃つ準備は・・要らないか?」
「な、ケイジ、せめて防護する豪とか壁を作らないか?」
「何言ってるんだ、カッター。お前がいればそんな物、要らないよな!」
「いや、流石に俺にも手に余る・・」
「ベワカタキのギルマスの力があれば、楽勝だよな。」
「な?」
「え?、まさか、嘘だろう?」
「え?」
「ベワカタキの、ギルマスともあろう男が、500程度の魔物に臆すだと?」
「な、がははは、そんな訳あるか。」
「おぉ、流石カッターだ!」
「がはは、任せておけぃ!」
(ちょろすぎるぞ、カッター。)
「とりあえず、サラン、会見の場を設けてくれないか?」
「仰せのままに、、マスター。」
「場は任せる。でも、レベルが24に達しない奴らには、一応注意喚起をしてやってくれ。」
「解りましたマスター。」
「俺も、好きで虐殺をしてるんじゃないからな。」
*******
数刻後、魔王達の集結地の前にサランが立つ
「我が名はサラン。サラマンダーの上位種で、我がマスターに忠誠を誓う存在だ。」
「我がマスターの御意思により、魔王バスターに会見を申し込む!」
「くぎゃぁ、魔王に楯突く存在!」
「くははは、身の程知らずな。」
数十体の魔物が敵意を向けて集まってくる。
サランは、臨戦態勢をとる。
「止めろ、愚か者ども!」
その声に、敵意を向けていた魔物が固まる。
「ふ、腐っても魔王か。」サランが言う。
「おぉ、その物言い、変わらんな、サラマンダー。」
「今は、サランの名を賜った。我の事はそう呼ぶが良い。」
「な、ネームドになっただと?」
「我がマスターに忠誠を誓った証だ。」
「ほぉ、我に敵対するという事か。」
「バスター、我が主と一度話をしてみないか?」
「お前の主とは?」
「我がマスターは神に匹敵する人間だ!」
「人間だと?」
「そうだ!」
「がはははは、人間だと、脆弱な?脆い?がははは!」
「バスター、彼のお方は我を凌駕する力を持ったお人だ。」
「な、がははは、サラマンダーよ、脆弱になった物だな。」
「バスター、彼のお方は・・神だ。」
「がはははは、サラマンダー、お前の威光も地に落ちたな。」
「バスター、そしてこの場にいる全ての者に言う、彼のお方に敵意を向けるな!」
「ただひれ伏し、そのご厚意を願え。」
「去れ、サラマンダー。」
「私は、忠告をしたぞ。忠告を!」
「あぁ、参考になったよ。サラマンダー。」
「そうか、馬鹿者ども、今生の別れだ、潔く散れ!」
********
「マスター、すみません、説得は無理でした。」
「あぁ、そうだろうと思っていたよ。」
「な、マスターは私をその程度だと。」
「違うよ、サラン。」
俺はサランの頭を撫でながら言う。
「この世界の魔物たちは、力を示さないと服従しないよな。」
サランは頬を染めながら言う。
「はい、仰せのままです。」
「じゃ、実力を見せるか。」
「御意。」
「その後、何人残ってるかな?」
「数十人かと。」
「まぁ、そんなもんか。」
「おい、ケイジ、俺は何をすれば良い?」
「カッターは、俺の横をすり抜けた魔物を狩ってくれ。」
「お、おぉ、引き受けた!」
「マスター、マスターの横をすり抜ける魔物って、いるんですか?」
「えー、いるかもなぁ。」
「カリナと、ムーニャたちは食事でも作っ、おぉ、すでに準備は整っているみたいだな。」
「旦那様、カリナ特製のステーキをご用意しますわ。」
「主様のお好みの料理を作るにゃ!」
「ミーニャも今回はいいぞ。」
「にゃ、足手まといにゃ?」
「いや、それ以下の奴らみたいだ。」
「にゃー、それはご愁傷様にゃ。」
ケイジが魔物の群れの前に出る。
「皆、聞こえるか?俺がケイジだ。」
「今から、俺の能力の一端を見せる。」
「考えが変わった奴は、俺への敵意を消してくれ。」
「必要ない!」バスターが目の前に出る。
「えー?一応、皆の判断に任せないか?」
「今から命を失うお前に配慮することはないな。」
「バスター。」
「何だ?」
「お前、氷魔法が弱点だな。」
「な!いや違う!」
「しかも、重力も駄目か。」
「あ?いや、いや、いや、そんなことはない!」
「で、俺の命を奪う?」
「がははは、そうだ。今から、あばばばあ。」
(氷龍!)
「氷魔法に反応してるぞ。」
「何のこれしき!」
「おぉ、対抗したな。」
「ふふふ、魔王の力を舐めるな!」
「氷に重力を乗せて、氷河!」
「ぐぎゃぁぁ。」
「おや、苦しそうな声が。」
「くふふ、温い、この程度なら!」
「じゃぁ、少し本気を出そうかな。」
「マスター、今一度説得の機会を。」
「ん、許す。やってみ。」
「バスター。このままでは後数分で、魂まで消滅するぞ。」
「がはは、馬鹿な事を。」
「此処にいる、ケイジ様はそれが可能なのだ!」
「がはは、人間風情がか?」
「バスター、最後の忠告だ。ケイジ様に下れ!」
「ないな!」
「バスター、愚か者め!」
「サラン、もう良いか!?」
「はい、マスター。」
「バスター、安らかに。」サランが言う。
「がはは、サラン。お前も・・・」
「せめてもの手向けだ!お前の属性の炎に焼かれろ。」俺が術を発動する。
「豪炎陣」
「がははは、炎の化身の我に炎魔法だと、うぎゃぁぁぁ。」
「な、魔王の俺が焼かれる?」
「バスター、それが主の能力だ。」
「だから、言ったではないか!」サランが言う。
「炎を燃やす炎だと?」
「な、俺は、まおう・・・・」その存在が消えた。
そこにいた、魔物たちの半数が、俺に敵意を向ける。
「な、お前達、このお方に敵意を向けるな!」サランが叫ぶが、遅かった。
そこにいた半数が塵になる。
「このお方に、敵意を向けるな!」サランがもう一度言う。
俺に敵意を向けなかった魔物のうちの数体が、俺の前に出て服従する。
「ケイジ様、我は貴方に忠誠を誓う!」
「我もだ!」
「私もだ!」
「え?おぉ、よろしくな。」
しかし、最後の方で俺の前に出てきた魔物が、俺に忠誠の言葉を言った途端に、はじけ飛んだ!
「誠の忠誠を誓わない者は、私が消滅させます」。サランが俺を見てにっこりと微笑む。
「おぉ、サラン任せる。」
「御意!」
「別に、逃げても良いぞ。俺は追わないから。」
「あぁ、悪さはするなよ、その時は容赦しない。」
レベルが低い者達は、その言葉で霧散する。
数刻後に、多くの魔物が俺の前にひれ伏した。
その数24。
「マスター、此処にいる者達は、純粋にマスターに忠誠を誓った者達です!」
「そうか。みんな、よろしくな。」
「「「御意!」」」
「じゃ、お前たちは国に帰り、商売をしろ!」
「え?暴れられるのではないのか?」
「な?、そんなもん望んでないよ!」
「それが不服な奴、出来ない奴は前に出ろ。」
5体が前に出た。
「何故できない?」
「俺は頭が悪い!」
「俺はこの容姿だ。」
「商売などやったことが無い。」
「・・・私は人見知りだ。」
「寝ていたい。」
「頭が悪い奴と、容姿を気にする奴。お前らは二人で仕事しろ!頭が悪い方が接客して、もう一方が裏方に回れ!」
「商売をやったことが無い奴、その二人の仕事を見習え!」
「人見知りも同じだ!」
「最後の寝ていたい奴、選べ!、このまま死ぬか、他の奴らと仕事に励むかを。」
「え~。」
「寝ていたいなら、そのまま永遠の眠りにつけ!」
「いえ、やります!楽しそうだな~。」
「ヤミノツウで、直ぐに店を出せ。」
「他の者達も、同様に直ぐ行動しろ。」
「一か月後にヤミノツウに視察に行くからな!」
「「「御意」」」
「皆の者、ケイジ様にはひと月当たり10G以上を献上するように!」サランが言う。
「「「仰せのままに!」」」
定期的な収入が確保できたみたいだ。
「んじゃ、お前ら飯にしよう。」
「ケイジ様、こ奴らに、そんな施しなど。」サランが言うが。
「な~に、俺が振舞いたいんだよ!」ニカッと笑って言う。
サランは少し顔を赤くして言う。
「御意!」
「なんか、商人ギルドになってなか?」
(気のせいです。)
「そうかなぁ?」
「降伏した輩に食料を供給するなど、考えられません!」
「サラン、俺は、俺に歯向かわない奴には罰は与えないよ。」
「な、マ、マスターは生神なのですか?」
「うん、違うから。」
「そのお慈悲だけで、ご飯三杯いけます!」
「え?お、おぉ。」
「サラン。」
「はい、なんでしょう?」
「いや、励めよ。」
「御意!」
「いや、怖い、怖い、怖い!」
「どうやって、修復しよう。。」