やらかしの10
「にゃ?サランはどこに言ったにゃ?」馬車の中でミーニャが聞いてくる。
「ダンジョンを出たら、陽が眩しいとか言って指輪に入ったぞ。」
「お日様に弱いにゃ?」
「単に疲れたんだろう。」
来た時間と同じ時間馬車に揺られ、マッチーデ・エラ・イーノ邸宅前に着いた。
「悪い少しだけ待っててくれ。」俺は業者に言うと、邸宅の門に入る。
「これは、ケイジ様、もうお済なので?」屈強な騎士が俺を見て言う。
「あぁ、イーノ様には改めてお伺いをさせて頂くが、全て終わりましたと伝えて頂きたい。」
「承知しました。」
「では、ギルドへの報告があるのでこれで。」
「ご苦労様でした。」騎士が敬礼をする。
俺は門を出ると、馬車に乗り業者に声をかける。
「すまんな、ギルドまでやってくれ。」
「へっへっへっ、マッチーデ・エラ・イーノ様に報酬を前金で頂いておりやすし、先程旦那様からも過分な物を頂いておりやすから、問題ありやせん。」そう言うと業者は馬車を走らせる。
数十分後、ギルドに着いた。
「では、あっしはこれで。」業者が帰っていく。
「んじゃ、ギルドに行くか。」
ギルドには、盛り沢山の報告になった。
カッターがカードを差し出す。
「お預かりします。」ギルドのお姉さんが言う。
「まず、カッター様ですが、死亡回避が3回あります。」
「がはは、ケイジに救われた。」
「因みに、3回とも、本来であればカッター様は死んでいます。」
「がは、何だと?」
「マンイータールーム及びレイス、そして吸血鬼の魔茶、全てカッター様は死亡している状態です。」
「な、それだと、俺の報酬は?」
「全没収です!」
「な、マジか!」
「一クエストで、三回も死ぬのは、ほぼ素人ですね!」
「おぉぉ。」カッターが変な声を出す。
「カッター、お前突っ込みすぎで、危機感なさすぎだったぞ!」
「誰がやらせた!」
「え~、自分から突っ込んだよな!」
「え、いや、まぁそうだが!」
(認めちゃったよ、マジでちょろいな、カッター。)
「今回は、命があるだけで満足しろ!」
「あぁ、そうだな。」
(俺に対する戦犯扱いは、この一件ですべて消えたな!)
「カッター様はケイジ様に27Gの支払い義務があります。」
「う~、解った支払ってくれ!」
「完了いたしました、カードをお戻し致します。」
カッターは、カードを受け取りながら、ぶつぶつ言っているが無視しよう。
「んじゃ、俺も頼む。」
俺はカードをギルドのお姉さんに渡す。
「はい、承りました!」
「マッチーデ・エラ・イーノ様のクエスト完了確認しました。1、000Gの支払いいです。」
「未確認ダンジョンの討伐、確認しました、300Gの支払いです!」
「レイス討伐確認しました、50Gの支払いです。」
「プラチナゴーレム討伐確認しました。100Gの支払いです。」
「吸血鬼討伐確認しました,500G支払いです!」
ギルド内がざわつく。
「プラチナゴーレム?」
「吸血鬼?」
「やべぇ、俺らじゃ瞬殺だな。」
お姉さんが固まる。
「あの~、もしもし。」俺はお姉さんに声をかける。
「し、し、失礼いたしました。」
[あの、サラマンダー従属となってますけど。」
「うん、此処にいるよ。見せないと駄目?」
ギルド内が更にざわつく。
「え?サラマンダー?」
「従属?」
「ダンジョンで出会ったら、水魔法がないと確実に死ぬって言うあれか?」
「俺、一回出会ったけど、必死で逃げたよ。」
「あんなの従属できるんか?」
「一応、規則なので。」
「あぁ、おいサラン出てきて挨拶しろ。」
「はい、マスター。」
そう言うと、サランは指輪から出て、周りを見渡すと、身に纏う炎をつまみ上げて優雅にお辞儀をした。
「マスターに服従を誓った、サランと言う。以後お見知りおきを。」
「え?俺が見たのでっかいトカゲだったけど?」
「あれが正体?」
「か、可愛い!」
「というか、あいつの周り、美少女ばっかりじゃね!」
「くそ、リア充爆発しろ!」
(その言葉、こっちの世界でもあるのかよ。)俺は心で突っ込む。
「と、とりあえずアイリーンを呼んでくれ!」カッターが、ギルドのお姉さんに言う。
「解りました、ギルマスを呼んできます!」
程なくしてアイリーンがやってきた。
「え?サラマンダー?」
「はい、サランと申します、ケイジ様に操を立てましたので良しなに。」
「はぁ、ケイジ、あたしは何も言わないよ。」
「そうしてくれ!」
「私を呼んだのは、何でだ?」
「魔王の襲撃があるらしい。」
「何だと?」
「サランからの情報だ。」
「魔王?」
「あぁ、近々シハリクの村を襲う計画があるらしい。」
「サラン、説明しろ。」
「はい、マスター。」
「現在、魔王36柱の一人、破壊王バスターが。ヤミノツウで挙兵しています。」
「目標はシハリクの占拠。」
「シハリクには、旨味は無いだろう。」
「その先のキクに、工業の最先端が存在します。」
「成程。」
「魔王の目的はキクへの足掛かりか!」
「はい、マスター。」
「だそうだ、アイリーンさんどうする?」
「知ってしまったら、討伐クエを出さない訳にいかないね。」
「んじゃ、受けた!」
ケイジが言う。
「クエストは魔王の討伐で良いか?」
「え?それは?出来るなら其れで良いが。」アイリーンが歯切れが悪そうに言う。
「がはは、俺も同行するぜ!」
「な、カッターは止めておいた方が。」
「がはは、今回の損を少しでも補填したいぜ!」
「おれは、止めたぞ!」
「私も行かない方に賛同する。」アイリーンが言う。
「がはは、自己責任だ!」
「私は知りませんからね!」
「んじゃ、準備を整えたら、そのまま討伐に向かうよ。」俺がアイリーンに言う。
「ケイジ様、無理はなさらず。」
「いや、俺の無理は、この世界の無理だな。」
俺達はギルドの傍で買い物をする。
「オークの高級なお肉買って良いですか?」ムーニャが俺に聞く。
「あぁ、良いぞ。」
「ありがとうございます!」
「茸の盛り合わせも良いですか?」
「あぁ、ムーニャ、俺に聞かなくても良いから、好きな物を好きなだけ買っていいぞ。」
「ふわぁ、主様、料理は任せてください!」
聞いた事も無い食材をムーニャが買い占めていく。
美味いものを食えるなら、問題ないぞ!
物凄い量の肉や、魚、野菜が虚無の部屋に入れられる。
「あれ?ムーニャに虚無の部屋の説明したっけ?」
(私が説明しました。)
「そうか、って言うか、ムーニャの適応力凄いな!」
「主,道具屋にレアなアイテムが入荷したみたいだニャ.」
「レアアイテムか?]
「良さそうな物にゃ.」
「どれ?」
俺は道具屋に入る。
「おぉ、ケイジ様、良い物が入荷いたしました!」
「うん、そうみたいだな、何だ?」
「こちらです。」
水鏡の鏡。
周りにいる者の能力を50%上げる。
鏡に映されたものは更に、そのダメージが半減する。
「買った!」
「ありがとうございます!」
「待て、幾らだ?」
「30Gです。」
「即決だ。」俺はカードを渡す。
「ありがとうございます。」
「主の買い物は、見ていて胸がすくにゃ!」
「ふつう値切るにゃ。」
「値切らないで買えば、次に良い物を優先的に回してくれるだろう!」
「それもそうだにゃ。」
「相当ぼってない限りは、言い値で買うぞ。」
「主、惚れ直したにゃ!」
「ふふふ、任せろ!」
(ちなみに、10Bは元の世界で100円相当だ。)
(1Gは1万円ってところだ。)
今、ギルドカードには5100程度のギルドマネーが貯まっている。
(つまり、元の世界で5100万に相当する金を持っている。)
(まだまだ余裕だな!)
「ムーニャ、好きなものを好きなだけ買っていいぞ!」
「主様、ムーニャは惚れ直しました!」
主様、調味料のストックが少ないです。
ムーニャには、食事系の買い物を無制限に許可する!
にゃ?主様、ムーニャは全てを主様に捧げるにゃ。
その日以降、晩御飯のレベルが上がったとか。。