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3話

 

 「下級吸血鬼ならこれくらいが普通だよ。むしろ優秀な方だと思うよ」

 

 なんでも、数値の1は人間の成人男性が持つ平均的能力に等しいようだ。そう考えれば、俺の生命力は一般人の6倍もの値である。でもなんか素直に喜べない。ぶっちゃけ生命力が高いだけじゃん。

 

 ひとまず、ステータスの項目について聞いてみた。

 

 生命力はいわゆるHP、ヒットポイントだ。同じように魔力はMP。ダメージを受けると生命力は減り、魔法を使うと魔力が減る。生命力0で死亡である。アンデッドなのに生命力とか意味わからんけど。

 

 筋力はそのまま筋力。それに対し、精神力は魔法の素質を表す。これが高いと魔法の威力が上がる。そして魔法攻撃や魔法的支配に対する抵抗力も表しているという。要するに、魔攻と魔防を一緒にしたみたいなステータスだ。魔法使い系のキャラって魔防も高いでしょ、みたいなくくりにされているらしい。

 

 反応力は、反応の速さや正確さ、対応力を表す。ずいぶんふわっとした説明内容だが、何気に重要なステータスではなかろうか。

 

 「物理防御とか、器用とか、敏捷とかないんですか?」

 

 「魔法的要素が絡まない攻撃に対する耐性なら生命力と筋力の数値からわかるよ。器用っていうのは、反応力に含まれるんじゃないかな。敏捷は、反応力と筋力が高ければ速いんじゃない?」

 

 随分と項目がコンパクトにまとめられているようだ。それにしても反応力の重要性がヤバいな。これはおろそかにできない。俺は1だけど。

 

 次に種族と適性というのが何なのか聞いてみた。俺の場合は「種族:吸血屍人レッドグール(LV.1)」「適性:受取人(LV.1)」となっている。

 

 「種族はわかるよね? 適性っていうのは、その者が持つ特質を表している。人間はこれを『職業』とか『クラス』とか呼ぶこともあるね」

 

 種族は一つだが、適性は一つだけと決まったものではない。ヴァイデンの場合は「種族:吸血鬼真祖」「適性:魔王血統、闇魔道士、堕天者、幼女愛好」だそうだ。クッソつよそう。あと、めっちゃヤバそう。特に適性の最後のが。

 

 下吸血屍人(LV.1)のように、この後ろについているLV.の表記はレベルである。自分より強者を倒すことでその力の一端を吸収し、種族レベルが上がる。それにともなってステータスの数値も上昇する。スキルも新しく覚えたり、より上位のスキルに書き替わったりするそうだ。

 

 「世の中には実にさまざまな適性がある。現に、君の持っている『受取人』という適性も僕は初めて目にするものだ」

 

 この強そうな吸血鬼でさえ知らない未知の適性「受取人」。否が応にも俺の期待は高まった。ステータスが低かった分、スキルが特別であるに違いない。そうであってくれ頼むから。

 

 俺が持っているスキルは【再生強化】【闇の者】【受領箱】の三つだ。

 

 「【再生強化】は吸血鬼の眷属に備わる最低限の基本スキルだよ。心臓を一突きにされない限りは手足をもがれようが頭を潰されようが復活できる。でも【高速再生】ほど便利じゃないから気をつけてね。あと、【闇の者】も眷属の基本スキルだね」

 

 【闇の者】は不死者の能力の一部を得るスキルらしい。寝食不要、不老となり、闇属性への耐性上昇、夜目が効くなど様々な恩恵がある。

 

 「まあ、その代わりにデメリットも大きいよ。吸血鬼特有の弱点も受け継ぐし。心臓は急所、聖属性魔法は天敵、流水に触れたら溶ける、日光を浴びたら消滅……」

 

 「消滅!?」

 

 メリットとデメリットのつり合いが取れているとは思えない。もはやバッドステータスじゃねえか!

 

 「消滅したら復活でき、ます?」

 

 恐る恐る聞いてみる。ヴァイデンは「何言ってんのお前」と言わんばかりの表情でニコニコ笑うだけだった。答えるまでもなく結果は分かり切っているだろうということだろう。

 

 「きゅ、吸血鬼ってそんなに不便な生き物なんですか……」

 

 「君は下級だから仕方ないよ。僕みたいな上級以上なら日中に外を歩いても問題ないけどね」

 

 泣きたくなってきた。これでは俺tueeeeなんて夢のまた夢。太陽に怯えながら文字通り日蔭者人生を送らねばならなくなるとは。

 

 「そんなに落ち込まないでよ。僕の庇護のもとにいれば安全さ。それより気になるのはもう一つのスキル、【受領箱】だね。これは僕も見たことがない。間違いなく『受取人』の適性によるスキルだろう」

 

 もういいよ。どうせこれもしょぼいスキルなんでしょ。気落ちする俺とは反対に、興味を示したヴァイデンはこのスキルの解析を進めていく。

 

 「……どうやらアイテムボックス系のスキルらしいね。ちょっと発動して見せてよ」

 

 「発動って、どうすれば?」

 

 「こう……えい!って、やればできるよ」

 

 説明へたっ。とりあえず、言われた通りにやってみる。

 

 「えい!」

 

 ポンッ!

 

 何か出た。俺の目の前の空中に、一抱えある大きさの黒い立方体が出現する。結構あっさりできるもんだ。

 

 「見た目は普通のアイテムボックスだね。いや、なんだろうこのマーク」

 

 どうやらこの世界に普及している一般的なスキル“アイテムボックス”と見た目は大差ないそうだ。一点、違うところをあげるならば、箱の面の一つに「〒」って感じのマークがある。普通のアイテムボックスにこんな模様はないらしい。

 

 これなんだっけ。どこかで見た気がするけど思い出せない。漢字か? うーん……

 


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