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16話 「レベルと能力値」

 

 クーデルカに再びステータスを確認してもらったところ、ちゃんとレベルが上がっていた。今度こそ本当の本当にディートリヒを倒せたようだ。強くなった実感はあまりないが、しつこく居座っていた喉の小骨が取れたようなすっきり感があるのでよしとよう。

 

 「申し訳ありませんっ!」

 

 突然、クーデルカに土下座される。アンデッドになってからというもの、土下座を目にする機会が増えたもんだ。まあ、彼女が何を謝りたいのかはわかる。

 

 「謝って許していただけることではありませんが、」

 

 「よし許す!」

 

 「えっ、早っ!?」

 

 ここでクーデルカの罪をとがめたところで、何の得にもならない。そこまで俺は恨んではいなかった。まあ、完全に許したわけではないが、納得もしているのだ。あの場で、俺はただの弱者だった。奪われることが当然の弱者だった。俺がクーデルカの立場だったら同じことをしただろう。

 

 「ううっ、ありがとうございます……なんと情け深い方でしょうか……あなたのようなお方に牙をむいてしまったとは、自分の愚かさを恥ずばかりです……」

 

 俺はこの世界のことを何も知らない。ひとまず案内人ガイドは必要だ。ここで彼女を殺すより、恩を売って自発的に協力してもらった方が得策だと考えた。別に暴力的な手段で従わせることはいつでもできる。

 

 「どうか私を、あなた様の眷属にしてはいただけませんか!?」

 

 「うん、いいよー」

 

 「ありがたき幸せ!」

 

 思惑どおりに事が運び、ほくそ笑む。まあ俺も、ただ利用したいがためだけに協力関係を取り付けたわけではない。情にほだされた部分もあった。なんだかんだ言って、共にディートリヒという強敵と戦った友だと、俺は思っている。

 

 ボロボロと涙を流して頭を下げるクーデルカの手を取り、立ちあがらせた。泣きながらも嬉しそうにほほ笑むクーデルカの表情に、少しだけドキリとする。俺も他人にロリコンとか言えねえな……

 

 「な、なんだこの有様は……!」

 

 そのとき、知らない声がこちらにかけられた。この洞窟前は木々に覆われた広場となっている。その周囲を覆う木々の間から、一人の幼女がこちらに向かって走ってきた。

 

 「ヴァイデン様の居城が破壊されている!? クーデルカ様、何があったのです!?」

 

 「落ちついて、ベルタ。ひとまず危険はありません。今から説明します」

 

 ベルタと呼ばれた幼女は皮鎧に皮の盾を装備していた。腰には剣を下げている。そして背中にはコウモリの羽、お尻のあたりから悪魔のようなシッポが生えていた。これも人間ではないらしい。ヴァイデンの眷属であるクーデルカの部下という立場のようだ。無骨な格好をしているが、ボーイッシュ系美幼女である。

 

 どうやら見回り当番のために洞窟から離れていたらしい。轟音を聞きつけて急いで戻ってきてみれば、今の状況というわけだ。クーデルカの説明を受けたベルタは、半信半疑という表情で俺の方を見ている。

 

 「確かにその魔剣から並々ならぬ魔力は感じますが……しかし、持ち主が吸血屍人レッドグールでは……」

 

 「口を慎みなさい、ベルタ!」

 

 「ゴフッ!?」

 

 クーデルカがベルタを殴りつけた。おい、盾がひしゃげたぞ。

 

 「すいません、私の教育が行きとどいておらずっ! どうかこの不作法者をお許しください!」

 

 「グベッ! ガビッ!」

 

 そのまま地面に這いつくばらせてガンガンと頭を何度も打ち据えている。やはり、あのときクーデルカに接近戦を仕掛けなくてよかった。

 

 「もういいから。それより俺のステータスを教えてくれない?」

 

 ヴァイデンのときは俺にもわかるようにステータスの表示を光の文字にして見せてくれたが、クーデルカにはそこまでの芸当はできないようだ。いったい今の俺のステータスがどうなっているのか非常に気になるところである。クーデルカに口頭で教えてもらった。

 

 

 ――――

 名前:エン

 種族:吸血屍人レッドグール(LV.36)

 適性:受取人(LV.1)

 

 生命力:819/819

 魔力 :706/706

 筋力 :362

 精神力:509

 反応力:403

 

 スキル:【再生強化】【闇の者】【受領箱】【七大罪・戦儀礼典】【旧大罪・虚飾鞘】

 

 状態:隷属

 ――――

 

 

 しゅげぇ……レベル1のときは一番高いステータスでも生命力の6だった。とんでもないインフレだ。クーデルカいわく、このステータスの上昇は魔剣を装備したことによるものだと言う。吸血屍人レッドグールのレベルがいくら上がってもこんな異常な数値は出ないそうだ。

 

 「上位の魔剣には持ち主のステータスを上昇させるものがあると聞きます。間違いなく、その魔剣は世界に二つとないアーティファクトでしょう……」

 

 RPG的思考だと、武器を装備したらステータスが上がるのは普通じゃね? と思うが、良く考えれば、装備しただけで筋力が強くなる剣とか現実的にはかなりおかしい。この世界でもその常識は通じるらしく、ただの剣を装備したところでステータスが変化したりはしない。魔剣という存在が特異なのだ。

 

 しかし、数値は伸びたが比較対象がないとどれだけ強くなったのかよくわからない。参考までにクーデルカとベルタのステータスを教えてもらった。

 

 ――――

 名前:クーデルカ

 種族:亜吸血鬼ペールヴァンパイア(LV.15)

 適性:風魔法使い(LV.1)

 

 生命力:13/13

 魔力 :9/9

 筋力 :8

 精神力:10

 反応力:2

 

 スキル:【吸血】【再生強化】【闇の者】【風の知らせ】

 

 状態:隷属

 ――――

 

 

 ――――

 名前:ベルタ

 種族:ミニサキュバス(LV.8)

 適性:姫騎士(LV.1)

 

 生命力:8/8

 魔力 :2/2

 筋力 :7

 精神力:1

 反応力:4

 

 スキル:【吸精】【誘惑】【守護の盾】

 ――――

 


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