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【絶賛改稿中】戦死転生  作者: 小宮山 写勒
第一章 少女と兵士
4/122

1-4

 帝国領とエルフヘイムの国境。

 そこには巨木が生い茂る広大な太古の森がある。


「任務ご苦労様です。団長殿」


 関所に立つ兵士からねぎらいの言葉を受け、エドワードは馬上から軽く手を挙げて応える。


 エドワード・ブラウン。

 五十人の兵士達で構成されるドレーク騎士団の団長である。

 齢三十にして数々の戦場をくぐり抜けてきた歴戦の兵だ。

 彼の経験を物語るその肉体は、屈強な兵士達の中にいてもなお抜きん出ている。

 鎧を脱げばその分厚さと数多刻まれている傷跡に誰しも目を奪われてしまう。


「副長。あとどれくらいで最初の村につく」


 坊主頭をなでながら、エドワードは副長に訊ねる。


「もうすぐです。このまま街道にそって行くと森に入る細い小道が出るはずです。そこを行けば村につきます」


 彼らに与えられた任務は帝国領内にあるエルフ族の村の巡回、および出現する魔物の討伐だった。


 なんとか日が沈むまでには村に到着したかったが、すでに太陽は巨木の陰に隠れ、暗闇が早足に森を包んでいく。


 宿場町で一泊していきたいところだが、あいにくまだ最初の村だ。

 周るべき村がまだまだ残っている状況で、あまり時間を費やす訳にはいかない。


 明かりが途切れ、ランタンの心もとない明かりが懸命に暗闇を照らし出す。

 客引きの声も人々のざわめきもなくなり、馬の足音が寂しく響く。


 ようやく街道をそれる道を見つけた。


 人の手が加えられていない自然に出来た道、獣道と呼ぶに相応しいような道だ。

 巨木の根が地面のそこかしこから現れていて、落ちた葉が道々につもっている。

 気にしていなければ、あっけなく通り過ぎてしまっていただろう。


 馬に乗ったままでは少々狭い道だが、通れないほどではない。

 エドワードを先頭に一列になって進んでいくと、副長が言葉を発した。


「団長、何か聞こえませんか」


「ん?」


 耳を澄ます。

 木と木の間をくぐり抜け、確かにその音はエドワードの耳に届いた。 


「全員、戦闘の用意をしろ」


 エドワードはそう号令を掛けると、馬に発破をかけ獣道を駆け抜ける。 

 聞こえてきたもの。それは悲鳴だった。

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