プロローグ
この物語は完全なるオリジナルであって、作品に登場する団体、人物は実在しません。
封印の鏡も実在しませんよ!?
しませんからね!?
これは近所の○○さんの話なんだけどねぇ…とかじゃありませんからね!?
立派なシャンデリア
細かな細工が施されたテーブルやカーテン
きらびやかなドレスや衣装に身を包む者達
そして馬を走らすことが出来るんじゃないかと思うほどに広いこの空間
そう、今はパーティの真っ最中なのだ。
だが只のパーティではない。
カーライル家の子息で、次期当主とまで謳われるレヴィ=カーライル…つまり俺の社交界出世パーティだ。
この国でかなりの力を持つ貴族、カーライル家の子息が社交界デビューするとなれば、多くの家柄の者が参加するだろう。
だが俺はパーティというのが苦手だ。
幼いころからお父様に連れて行かれて、会った奴らにはニコニコ愛想を振り撒く…。
周りからは社交的、等と言われるが全くの正反対だ。
大勢の人が居るところに行くより、部屋で本を読みたい。
そう考えていると更に疲れたので、少し外に出ようと歩き始めた途、
「レヴィ様!何処に行かれるのですか?!」
走って来たのか、息を切らしているアークに呼び止められた。
「またそうやってパーティを抜け出して…今日のパーティは貴方の出世を祝うパーティなのですよ!?」
この叱りたがりな彼はアーク。俺の従者だ。
俺が幼い時からずっと側にいてくれたアーク。
俺とアークは意外と年が近く、俺が17、アークが19。
2歳しか変わらないのに超面倒見が良いアークは、俺が信頼を寄せている数少ない内の1人だ。
「聞いているのですかレヴィ様!」
「ハイハイキーテマスゥー」
口を尖らせて言ってやると無言で拳が頭に落ちた。
「痛ってー!!!」
全く、アークの拳は本当に痛い。いや、本当に。
この前なんて、俺が遊びで女装してアークに告白したら、すぐにバレた上に殴られたからな…
たんこぶがタワーみたいになって…
「レ~ヴィ~様~?もう一発ご希望ですか~?」
「ごめんなさいぃ!何か疲れたんで外に出ようとしてましたァ!」
もうどっちが上かわかんねぇ…
「…そうですか…。まあ、今までずっと挨拶回りでしたしね…。10分位なら、残りの方々へのご挨拶へも支障はでないでしょう」
「おっしゃ、じゃあちょっと外出てくるから、お父様にも伝えといてくれ」
分かりました、という声を聞いて、俺は外へと足を進めた。
今思えば、俺のこのちょっとした行動が、後から俺の運命が大きく変わるなんて思いもしなかった。