酷い文章の書き方
なろうのランキングを眺めていると時々感じるのだが、かなり酷い文章を書く人が少なからぬ割合で目に付く。
まあ、人間である以上誤変換や誤字、脱字の類は不可避のものではあるので、それについてとやかく言うつもりはない。一方で目に余るのが、誤用や記号の使用法、句読点の打ち方がおかしい物までバリエーションには事欠かない。
俗にマイナーといわれる作品、お気に入り登録が少ない物や評価点が低い作品の中には、純粋につまらない作品も多い。が、少なくとも文章作法的には非の打ち所のない作品も少なからずあるし、読んでくれた読者の絶対数が少ないだけのケースもありうる。
ポイントシステムを考える
この辺りは、“小説になろうの”システム上、一〇〇人の読者のうち一人がお気に入りと評価点五:五を付けてくれるより、一〇〇人の読者のうち一〇人が評価点一:一を付けた方が総合点では高くなるという理由もあるだろう。
これは例としては極端すぎる、極論というよりも暴論とも呼ぶべき乱暴な理屈であるが、本質的に少数の人から高い評価を得るよりも、多数の人から低い評価を得る方が総合点が高くなるという問題は留意すべき点といえるだろう。
多くの人に読んでもらうために、最も良い方法は良い文章を書き、面白い物語を綴ることだが、他にも酷い文章を書く問いのも方法論としてはひとつの手段足りえる。
例えば音楽において良い音楽とは心地よいメロディー、胸に響く歌詞などがあるが、メタル系の楽曲ではあえて不協和音や乱暴な歌詞を利用することもある。
これと同じことが文章でもいえるのであれば、故意におかしな文章、不自然な表現を多用することで読者の印象に残りやすい文章が生み出せるのではないだろうか? 例えば、2CHのような掲示板では、しばしば“釣り”と呼ばれる手法が見受けられる。
これは挑発的な言動で相手の反感を買ったり、思わずツッコミを入れたくなるようなボケをかますことでレスを稼ぐというものだ。例としては縦に読むと別の意味になる縦読みや、「ふんいき(なぜか変換できない)」、「頭痛が痛い」などがある。
この方法を小説家になろうで応用すれば、感想欄に「○○は××のことではないでしょうか?」と書いてもらえたり、運がよければ本スレで「□□の日本語が酷い」と話題になって一気にランキング入りが果たせるかもしれない。
面白い物を書こうと思って面白い物を書くのは難しいが、酷い物を書こうと思って酷い物を書くのは相対的に楽だといえる。少なくとも、前者よりはハードルが低くなるだろう。
句読点の打ち方
酷い文章の基本として、まずは基本中の基本である句読点の打ち方から考えてみよう。
本来の使い方としては、行末や文章の限の良いところに句点を打ち、文章のリズムやテンポを考えてちょっとした間を作るときや、漢字が連続しすぎる場合、ひらがなが連続しすぎる場合などに、読みやすくするために読点を打つのが基本となる。
良い例に関しては綺麗で美しい文章の書き方を解説している本やサイトを参照してもらうとして、悪い例を挙げてみよう。ひとつは極端に句読点が多い、あるいは少ないパターン。他にも句読点の代わりに“…(三点リーダ)”や“!(感嘆符)”、“?(疑問符)”などを多用するのも良いだろう。
特に漫画やライトノベルしか読まない読者にとっては、“!”を句読点代わりに使うのは違和感が少ないし、音楽記号の“f”のように、数を増やすことでより強調するという使い方をすればますます変な日本語にできるだろう。
具体的に、言うと。このように、単語単位で、読点を打つ。細かく、文章を、区切って。句点を、増やすと。非常に、読み、づらい、文章に、なる。と、考え、られる。
逆にほとんど句点や読点を使わずに書いた場合はこのように成ると訳だが、もちろん読みづらいし良いみも伝わりづらいので減らすより増やす方が若干マシかもしれない。
無論! このような文章を書いたからといって!! 即座にユニークアクセスが増えるわけではない!!!! だが、何もしないよりはマシ程度の効果は期待で気のではないだろうか?
カッコの使い方
小説で最も多く使うのが“「」(カギカッコ)”で、他にも普通のカッコである“()(丸カッコ)”や、カッコではないが“”(二重引用符)などもカッコの一種と呼べるだろう。また、カッコの代わりに“――(二倍ダッシュ)”で文章を挟んで使うこともある。
良い例は真面目な解説に任せるとして、今回も悪い例のみを取り上げるが、ありがちなパターンとしては閉じ忘れ、異なる種類のカッコの組み合わせ、乱用、用法の不統一などが挙げられるだろう。
他にもカッコに似た数学記号の“<(より大きい)”や“>(より小さい)”を組み合わせてカッコの代わりにしたり、なろうでルビを振るときに使用する“《》(二重やまカッコ)”を失敗してルビにできていないなども良いだろう。
「具体的に言えば、“『”で始まる文章を、“」”で閉じてみたり、閉じ忘れる。(これは例としてやっているだけ)
また、普通の台詞を普通のカギカッコで、電話の相手を“『』(二重カギカッコ)”で書き進め、ところどころ電話相手の台詞を“「」”で示す方法がある。[唐突に[](大カッコ)で代用したりするのも良いだろう]
特に“<(より大きい)”(しつこいようだけどワザとだよ)と“(より小さい)>”の組み合わせは、「縦書⇔横書」で縦書き表示したり、縦読みネットでPDF閲覧したときは文字を挟めないのでポイントが高いかもしれない。(テキストビューアで縦書き表示させた場合も同様)
記号の使い方
基本的には、記号や組文字は使わない方が良い。特にほとんどの組み文字は機種依存文字であるため、ウインドウズ環境では正常でもマッキントッシュやUNIX系の環境、携帯電話、スマートホンでは正常に表示できない可能性が高い。
もちろん正しく記号を使えばより読みやすくしてくれる訳だが、今回も悪い例のみを取り上げてみよう。
前述のような機種依存文字の使用を始め、絵文字、顔文字、本来の使い方とは違う使い方、形の似ている別の記号の使用などが良く見かけるケースだ。
尚、機種依存文字に該当する文字を全部挙げるのは面倒だし、絵文字、顔文字は読んで字のごとくなので省略する。
具体例としては“♯(シャープ)”は“#(ナンバー)”ではない。
“‐(ハイフン)”と“―(ダッシュ)”と“-(マイナス)”、“─(細枠横)”、“━(太枠横)”。
“・・・(中黒)”と“…(三点リーダ)”などがあるだろう。
ほかにも本来濁音にできない“あ”に“゛(全角濁点)”、“″(単位の秒)”、“〝〟(縦書き用の二重引用符)”“ “”(横書き用の二重引用符)”、“"(ダブルクォーテーション)”などを組み合わせて無理やり濁音にするもよく見かけるパターンといえるだろう。
むしゃくしゃしてやった。
いまははんせいしている。