表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電脳八州廻り~大黒億十郎の探索~  作者: 万卜人
第十一回 分裂司令官の陰謀の巻
83/90

 内部を進む億十郎たちに対する抵抗は、皆無だった。通路の両側には、いくつも扉が並び、扉の向こうからは息を呑んでこちらを窺う気配がしていたが、億十郎が通過すると、慌てて身を引く物音が聞こえる。

 全員、ここにいる連中は、億十郎に怯え上がっている。

 先ほどの、機関銃を持ち出した司令官たちを、あっという間に撃退した手際が、司令官たちの怯えを引き出したのだろう。

 しかし、億十郎自身は、どうなっている?

 今までにない力が、身の内から湧き上がるのを感じていた。あれほどの活躍ができるとは、自分でも信じられない。

「ここよ!」

 通路を進んだ理恵太は、閉まっている鎧戸の前で立ち止まった。

 鎧戸がある場所は、広々として、通路も幅が倍に広がっている。

 鎧戸は鉄製で、縦二丈、幅三間ほどの巨大なものだ。億十郎の借り物の知識は、それが上部にある絡繰に収納される仕掛けであると教えていた。つまり、持ち上げれば、開く。

 億十郎は無言で近づくと、両手を鎧戸の下に差し入れた。ほんの少しであるが、隙間があり、指先を抉じ入れられる。

 むん! と身体中に力を込め、全力を振り絞る。

 むむむむ……! 億十郎は息を詰め、徐々に鎧戸を持ち上げてゆく。

 ぎりぎりぎり……、と鎧戸が悲鳴を上げた。ぎしっ、と軋み音がして、鎧戸が撓み、全体が歪み始める。

 だだだだっ! と、鉄の太鼓を連打するような音が響き、鎧戸の向こう側から、銃弾が一斉に叩く。億十郎は慌てて身を引いた。鎧戸を見上げると、無数の銃弾によって穿たれた穴が開いている。

 危ない所だった! 腰を下ろした姿勢だったので、銃弾に貫かれずに済んだのだ!

「来るなっ!」

 鎧戸の向こうから、悲鳴が聞こえた。

 恐らく、二十六号司令官だろう。億十郎は鎧戸に向け、怒鳴った。用心して、壁際に身を寄せている。

「大黒億十郎である! お主が、江戸から多数の娘を拐わかした罪状は、判明いたしておる! すぐに娘たちを返し、仮想現実倫理監視機構とやらに出頭し、大人しく縛につくよう命ずる!」

 アイリータが慌てて声を掛ける。

「あのね、司令官は〝ロスト〟してんの! そんな命令、無駄よ!」

 司令官の叫びが聞こえる。

「五月蝿いっ! ここは俺の〝戦略大戦世界〟だぞっ! 江戸のNPCなど、しゃしゃり出る幕じゃないっ!」

 叫びと同時に、機関銃の射撃音。鎧戸は機関銃の銃弾に貫かれ、再び幾つもの穴が抉られた。

「どうする? 司令官は、向こうから機関銃を構えているわ。シャッターを抉じ開けたとしても、機関銃の餌食よ!」

 アイリータが眉を顰め、口惜しそうに呟く。

 理恵太は一心に考え込んでいたが、名案が思いついたように、ぱっと顔を上げた。

「従いてきてっ!」

 叫ぶと、返事も待たず、走り出す。

 訳が判らないまま、億十郎とアイリータは、理恵太の自信ありげな様子に、後を追い掛けた。

 広い通路を走り、理恵太が案内したのは、様々な絡繰が据えられている、小部屋だった。

 金属製の箱が、どでんとあちこちに置かれ、箱には無数の灯りが瞬き、奇妙な計器が幾つも装着されている。

 理恵太は鋭い目付きで、絡繰の計器を覗き込みながら、ぶつぶつ何か呟いている。

「確か、この制御室でいいはずだけど……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ