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刻
刻
あなたは気付いているだろうか
日々の中に
わたしの気持ちに
無邪気な子供のようにはしゃぐあなたは
下駄の鼻緒が切れたと言って
わたしにその足を差し出した
おそらくあなたは気付いておるまい
わたしにあなたの気持ちが分からないように
あなたもわたしの気持ちが分からないのだ
楽しげに話しているあなたは
残酷なほどに美しい
それを横で聞いているわたしは
あなたの笑顔を見るたびに胸が痛むというのに
すれ違う心
あなたは恐れもなくきびきびと進んでいく
わたしは心を引きずり遠ざかるあなたの背中を見ては何度も立ち止まる
時計の針のように
出会ってはまた遠ざかって行く
あなたは長針
わたしは短針
出逢ってもまた行き違う二人
見えてきたあなたの心は
すぐまた見えなくなる
晴れてきたわたしの心は
すぐまた闇に閉ざされる
気付いているのだろうかあなたは
わたしの心に
わたしの気持ちに
いつになればあなたに出逢えるのだろう