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卒業ってなんだ

朝の学校。

朝の廊下。

朝の教室のドア。

朝の教室。

今まさに教室入ろうとした時にいきなり後ろから腕が伸びてきた。

「おはよっ!真也!」

そう言って僕の肩に腕を絡ませてきたのは勇樹だ。

勇樹はいつも僕の隣にいる一番の友達だ。

それこそ恋人のようにと言ったら変だが、いつもべったり一緒にいる。

それは僕らにとっては当たり前のことで、極自然なことなのだ。

それに、あいさつするたびに抱き合う女子に比べたら僕たちのスキンシップなんてまだいい方ではないだろうか。

僕と勇樹の席は窓際の列だ。

僕は黒板からみての3番目のところで、勇樹は4番目だ。

僕らの学年は男子が多くてどのクラスも僕らの様に男子が続いてしまう席順が2,3か所はある。

「なぁ、真也。あと一週間後には卒業だな・・・。」

バックの中身を出してる時、勇樹はいつもより小さな声で言った。

正直僕は顔をしかめそうになった。

だって、最近みんなそんなことばっかり言うのだ。

あまり実感のない僕にとってはただ煩わしいだけのセリフなのだ。

「みんなそんなことばっかり言うよな・・・。」

僕は少し嫌味っぽくなってしまったのを言ってから後悔したが勇樹は気にしていないようだった。

「そりゃ、卒業したら離れちゃうんだから寂しさを口にしちゃうのは当たり前のことだろ?」

バックの整理を終わらせたらしい勇樹はそう言いながら僕の机に腰掛けた。

「僕は正直、卒業とか実感できてないんだ・・・・だから寂しいとかって言われても・・・。」

僕は正直なことを言った。そしたら勇樹は特に驚いた様子もなく話だした。

「そりゃ、みんながみんな実感してるわけじゃないだろーね。それに、実際俺だってきちんと理解してるかって言われればあやしい

かったりするんだよ。みんなが『寂しい』って言うのはただ単純に離れたら寂しいと思うから言うんだ。寂しいって言うわりにはみん

な卒業って実感はしてないと思うよ。卒業式っていうイベントが終わったらまたみんな集まって授業受けるんだろうっていう思い

はあるはずだよ」

そこまで言い終わった勇樹は思い出したように言った。

「あっ、俺長野に呼ばれてるんだった!悪い、行ってくる!」

そう言って勇樹は机から飛び跳ねて走って行った。

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