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マッサージで最強騎士団を育成します!  作者: ことりとりとん


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25.今日の予定と午前の部

 


「今日のエリシア君の予定は、これだ。基本は一人に一時間で、休暇中の団員をメインに回ってもらう。

 日常業務にあたっているメンバーには、昼休みに施術してもらいたいので、きみは一時間ずらして休みを取ってくれ。既に連絡してあるので、時間になれば医務室に来る。移動時間を含めないので30分ずつ2人に施術するように。

 何か質問は?」


 差し出された紙を読む間もなく始まった流れるような説明に、私は正直言って着いていけていない。


「んー、たぶん、大丈夫だと思いますけど……あっ、これ私一人で行くんですか? 場所が分からないです」


 予定表には名前と所属部隊、寮の部屋番号が書かれているが、番号だけ教えられても到底たどり着けない。


「慣れるまでは俺が一緒に回るから心配要らない。

 今日のところはとりあえずやってみてほしい」


「そういうことなら大丈夫です。頑張ります!」


 私のやる気十分なガッツポーズに、ルーィ先生は穏やかな笑みを返してくれた。




 そして、午前中はルーィ先生について寮の部屋をまわり、反動痛で動けない人にマッサージをしていく。

 患者さんを床に引きずり下ろしたらルーィ先生はどこかへ行き、時間になったらまた来てベッドへ引きずり上げてくれる。

 待っていても仕方ないのでそれで充分。




 昼休み直前までは、そう思っていた。


「どもー。ルーィ先生に頼まれて来たんスけどー」


 お気楽な挨拶と共に知らない人が入ってきた。


「えっ???」


 驚く私と目を合わせて様子を伺い合う。


「えーと、なんか、女の子じゃ持てないものを持ってあげて欲しい的なことを言われた気が」


 言い訳のように言われて、ようやく分かった。


「ルーィ先生が来れなかったんですか?」


「そう! 出動要請で転移の直前に頼まれたからちゃんと聞けてなくて。ごめんな」


「いえいえ、来ていただいてありがとうございました。私一人で途方に暮れるところでしたから。

 この方を、ベッドへ寝かせてあげて貰えませんか?」


「なるほどそれ要員か。了解っ」


 ルーィ先生と違ってひょいと抱えあげてベッドへ寝かせる。さすが騎士様、力持ちだ。


「ありがとうございました」


「んじゃね〜」


 去っていく名前を聞き損なった人を見送ってから、私も医務室へ帰る。

 そろそろ昼休みなので、患者さんが来ているはずだ。




 時間ぴったりに現れたのは赤い瞳の炎使い、レクール様。彼は標準的な魔法騎士らしく、肩から腕、手にかけてがとても疲れている。


「こちらへどうぞ」

「よろしく頼む」


 挨拶もそこそこにマッサージをはじめる。

 何せ時間が30分ぴったりしかないものでね。


 渦を押すだけでなく、周りを揉んだり魔力を流したりしてくれる人が居るといいんだけど、無いものねだりをしても仕方がない。

 なるべく痛みが軽くなるように、心を込めてマッサージをする。


 この人は悲鳴を我慢したいタイプっぽいな。

 出来れば身体を強ばらせないでほしいけど、痛すぎるんだから仕方ないか。


「マッサージは以上です。少しはマシになりましたか?」


 私の目で見れば来た時と比べてだいぶマシになってることは分かるけど、ちゃんと聞いてみる。


「……ぁあ゛、ありがとう゛……」


 とはいえレクール様は私と雑談するどころではないらしく、虚ろな瞳で遠くをながめている。

 そんな彼には申し訳ないのだが。


「次の方がいらっしゃいましたから、こちらへ移って頂けますか」


 緑の髪の風使い、ヴェント様がやってきた。


「おう、レクール。やっぱ死にかけるんだな」


「……ぁあ゛……」


 知り合いらしく声をかけられても、レクール様はうわの空だ。


「これを見るとやってもらうのが少し嫌になるな」


 そう言われましても、私はかははと乾いた笑いを送ることしか出来ない。

 どれだけ痛くて嫌がられても、それが必要だって言うんだから。


 そんなヴェント様も大人しくマッサージを受けて悲鳴を上げるんだからね。

 特に人差し指の先がヤバいから、しっかりやらないと。


 ヴェント様のマッサージを始めてしばらくするとレクール様は立ち直ったらしく、フラフラと出て行った。

 一応その背中に『お疲れ様です〜』と声を掛けたけれど、果たして届いているのかな。



 そしてヴェント様の時間が残り半分を切った頃、レクール様が戻ってきた。


「どうしましたか?」


 何か不具合があったかと思って焦る私に、ニッコニコの笑顔を向けてくれる。


「きちんとお礼も言えなかったから、戻ってきただけさ! 信じられないくらいに痛かったが、その価値があった。

 本当に身体が楽になったんだ。ありがとう」


「お役に立てて何よりです」


 それで立ち去るかと思いきや、近くに椅子を引っ張ってきて喋りはじめた。


 私も手以外はヒマなので話し相手をしてくれるのは嬉しい。

 その上、私が知りたい騎士団のことを色々と教えてくれた。


 例えば、騎士団は全部で100人くらいいて、ひと部隊10人の10番隊まであること。

 でも今は人が足りなくて7番隊までしか組織出来てなくて、残りの30人は反動痛による休みなこと。

 つまりこの人たちを私はマッサージしてるんだよね。


 それに、実は治癒術師は部隊としては存在してなくて、ルーィ先生が特例的に団長直属になってるだけらしい。

 基本一人しかいないから部隊にするって話にもならず、団長の部下って位置づけなんだって。


 その他にも中庭で飼ってる猫の話とか団長が甘党な話とか、新人の頃に前衛の先輩の髪を間違って燃やしちゃってチリチリになっちゃった話とか。


「あっそうだ。忘れてました」


 その話で思い出した。


「ん?」


「クラウゼ様とキース様によると、魔法の威力が上がるらしいのです。いつもと同じ感覚で打つと仲間を巻き込みそうなほどになったとか」


「そうなのか。気をつけるとしよう。

 だが、炎魔法を使う割に威力不足だと言われる俺にとってはありがたい話だな」


「炎は強いんですか?」


「五大属性といえば、炎、風、水、土、光だ。その派生として、例えば水から氷、土から岩、光から治癒、と広がるが、ベースは変わらない。

 その中では炎が一番攻撃向きだと言われているな」


「へぇ、魔法にも色々あるんですねぇ」


 そもそも全く知らないので適当な相槌しか打てないんだけど、いつか誰かにちゃんと教えて貰いたいな。


「じゃあ、時間だからそいつ回収していくな」


「そのためにわざわざ待っていてくれてたんですね。ありがとうございます」


 私と雑談してくれてるだけじゃなかったらしい。

 ありがたやぁ。


 悲鳴を上げすぎて満身創痍なヴェント様に肩を貸すレクール様を見送ってから。


「よし、午前の部おわり! お昼ご飯だ!」


 私はご飯大好きだからね。

 お腹すいたなー。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


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