レベッカと流れ星さんとお願いごと
以前書かせていただきました「レベッカとピカピカ木の実と妖精さん」で登場するレベッカちゃんのお話です。
今回のレベッカちゃんのお話は子供の頃に皆も一度は挑戦したことがある「流れ星にお願いする」をテーマに描かせていただきました。
ある日の夜、レベッカはママと一緒に夜空を眺めていました。
真っ暗な空にきらきらとキレイなお星さんたちが輝いています。
「わぁ、すっごくキレー! ねぇねぇ、ママ! あのお星さんたちはレベッカみたいにお名前はあるのー?」
レベッカが星に名前があるのか、ママにそう尋ねると教えてくれました。
「ふふ、そうよ。 お星さんにはレベッカちゃんみたいにみんなお名前があるの」
「そうなんだー! ねぇねぇ、レベッカとお星さんはお友達になれるかな?」
それを聞いたレベッカはママにお友達になれるのか聞いてみるのでした。
ママは、微笑みながら答えてくれます。
「ふふ、レベッカちゃんがいい子にしていれば、きっとお友達になれるわ。 あ、見て、あそこで一番ピカピカ光っているお星さんは一番星さんっていうのよ。 みんなよりも一生懸命光っているでしょ?」
レベッカもママが見ているところを見つめてみると他の星さんよりもピカピカと光っている星さんがいました。
「わぁ、ホントだ! ピカピカってしてて大きいね! あ……今何か動いたの!」
一番星さんを見つめていたレベッカの目の前で真っ暗な中を何かがキラリと通りすぎて行ったのです。
「あれはね、流れ星さんって言うの。 お願いゴトを3回唱えるとお願いゴトが叶うの。 でもね、レベッカちゃん、すぐにどこかに行ってしまうから上手にできるかしら」
「うん、だいじょうぶ! レベッカがんばって3回お願いしてみるの!」
キラリと流れ星さんが夜空を通る度にレベッカは3回お願いごとをいいますが、なかなか上手くはいきません。
言い終わる前にあっという間にどこかに行ってしまうのです。
レベッカは上手く行かなくて、しょんぼりと落ち込んでしまうのでした。
それを見ていたママはレベッカの頭を撫でながら言ってくれるのです。
「ママも小さい頃にレベッカちゃんみたいにお願いゴトをしようとしたんだけど、やっぱり上手くいかなかったの。 その時は諦めちゃったけど、何度もやっていくうちに一度だけ上手にできたのよ。 だからね、レベッカちゃん。 諦めずに何度もやってみるといいのよ。 きっといつか上手くいくんだから」
ママにぎゅっとしてもらいながら、レベッカにママのお話を教えてもらって、レベッカは少しづつ元気を取り戻したのでした。
「……うん。 レベッカまたやってみる! ママみたいに何度もお願いゴトしてみるの。」
そうして、レベッカは何度も何度も流れ星さんをじっと見つめながらお願いを3回唱えるのでした。
その夜から、しばらく経ったある日のこと、レベッカはすっかり流れ星さんを忘れて子供たちと仲良く遊んでいたのでした。
みんなで鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたりして遊んでいたのですが、星さんのお話になりました。
「星さんって夜に光るけど、なんでだろう? お昼にはまったく会えないのにさ」
「でも、月さんはたまにいるよね? ほら、今だってあそこに」
少年が指で空を指さ、みんなでその先に顔を向けます。
すると、ぼんやりとではありますが、お月さんが空に浮かんでいるのでした。
「あ、ほんとだ!」
みんなで星さんのコトを不思議だねと話ていると、レベッカはママの話してくれた流れ星さんのお願いごとの話をしてみました。
「あのね、あのね! レベッカね! お星さんで思い出したの! 流れ星さんっていうビューってすぐにどこかに行っちゃうお星さんのこと」
すると、みんなもママやパパに聞いたことがあると言って教えてくれるのでした。
「流れ星さん? あー、うちのお父さんも言ってた。 お願いゴトが叶うっていうあれか」
「うちでも聞いたことあるけど、空にいる神様が窓を開けて、ぼくたちを見てるっていうお話なら聞いたことあるよ」
「わぁ~! レベッカが知らないお話もあったんだぁ! 流れ星さんって面白いの!」
レベッカは流れ星さんにまたお願いごとを言ってみたくなったのでした。
家に帰るとママに流れ星さんの話をしました。
「あら? レベッカちゃんすっかり忘れていたから、もう興味がないのかもって思ったわ」
「ううん! レベッカね、忘れちゃってたけど、流れ星さんにまたお願いしたくなっちゃったの!」
レベッカのお願いにママはポンと手を叩いて、何か思いついたようです。
「ふふ、そうなのね。 あ、それなら今度の夜に彗星さんっていうの大きな流れ星さんのお友達が見られるらしいのよ。きっと、彗星さんと一緒に流れ星さんもたくさん来てくれると思うわよ」
たくさん来てくれると聞いたレベッカはそれを頭の中で、たくさんの流れ星さんが空いっぱいに流れているのを思い描くのでした。
「わぁー! いっぱい流れ星さん来てくれるの! たのしみー!」
レベッカはその日から毎日眠る前にお空を見つめて、まだかな、まだかなと楽しみにするのでした。
何日か経って、やっとレベッカが楽しみにしていた彗星さんが来る夜になりました。
レベッカたち家族3人は町から少し離れた高い丘に来ていて、ぐるっと一回転して空を見ることができるのできる場所になっています。
下に広がる町は町中の人たちが楽しみにしていた様で、ぽつぽつとしか明かりは灯っていません。
夜空を見上げるとたくさんのお星さんたち。
そして、大きなとても大きなゆっくりと動いている星がありました。
「ねぇねぇ、アレが彗星さん?」
「ふふ、そうみたいね。 実はね、ママもパパも彗星さんを見るのが初めてなの。 レベッカちゃんと一緒ですごい楽しみにしていたのよ。」
「パパも楽しみで昨日から上手に眠れなくてね。 レベッカみてよ。 彗星さんってパパよりも大きいんだぞー」
ママもパパも彗星さんを嬉しそうに見つめているのでした。
レベッカも彗星さんをじっと見つめていたのですが、近くでキラキラと流れていく流れ星さんを見つめたのです。
レベッカはお願いごとを3回唱えてみるのでした。
こんなにもたくさんキラキラと流れているのなら、きっと願いを叶えてくれると思いながら―――
「みんなで美味しいものがたくさん食べられますように」
すっかり彗星さんが見えなくなったので、レベッカたちは家に戻りました。
レベッカはちゃんとお願いごとができたのですが、お願いが叶うまでみんなに秘密にしようと思いました。
叶った時に驚くみんなの顔がみたかったからです。
その日、レベッカは夢の中で不思議な出会いをするのでした。
どこまでも真っ白な空間が広がっていて、温かい光に包まれている場所でした。
きょろきょろと周りを見ていると、ぽんぽんと誰かが歩いてくる音が聞こえてきます。
そこには、まんまるのお星さんがいました。
「こんにちは! レベッカちゃん! ぼくは流れ星っていんだぁ」
「流れ星さんなんだぁ! わぁ、まんまるでかわいいーっ!」
レベッカが褒めると、なんだか少し照れているように恥ずかしそうにしています。
「えへへ、ありがとう。 それでね、レベッカちゃん。 キミのお願いごとなんだけど、叶えてあげるよ」
「え、いいの! やったー! あのね、レベッカね! みんなで美味しいもの食べたいの!」
「もちろん、そのお願いは叶えてあげるよ。 だって、レベッカちゃんは3回ちゃんと言ってくれたし、なによりも素敵なお願いごとだったからね」
「ありがとなの! 流れ星さんも一緒に食べにきてほしいの!」
「うん、その時はきっとね」
しばらくお星さんとレベッカは話ました。
すると、あたりを包む光が強くなったのです。
ぎゅっと目を閉じたレベッカが目を開ける、景色はいつもの家の中でした。
レベッカは「あれー? お星さんはどこー?」と探しますが、その姿はどこにもありません。
「レベッカちゃん、起きて朝よ。 あら、もう起きてたのね。 ふふ、一人で起きられてえらいわ」
起こしに来てくれたママはレベッカが一人で起きられているのを見て、頭を撫でてくれるのでした。
レベッカは朝ごはんを食べながら、夢の話をしました。
「あのね、真っ白な場所でお星さんとお話したの! それでね、お願いごと叶えてくれるって約束してくれたの!」
「そうなのね。 すごいわ、レベッカちゃん。 お願いごとのお話を流れ星さんとしちゃうなんて」
ママはレベッカの頭を優しく撫でてくれるのでした。
すると、なんがか外がガヤガヤと騒がしいのです。
レベッカちゃんが外に出ると、畑にはいっぱいの野菜や果物が実っているのでした。
昨日までは、まだまだ育てているところだったのに、不思議なことがあるものだとみんなは思っていました。
ママも畑の様子に首をかしげていますが、収穫の準備をします。
レベッカだけは、お星さんにお願いしたコトが叶ったのだと分かりました。
そうして、ママのお手伝いに畑に行くと、他の子供たちも畑に来ています。
町で育てていない初めてみる野菜や果物たちに囲まれながら、レベッカはみんなと一緒になって、食べてみたりするのでした。。
不思議といつも食べているものよりも美味しく感じました。
そこには、レベッカもみんなも笑顔があふれているのです。
町の畑には不思議と美味しい多くの食べ物が実るようになったのでした。
レベッカは毎日美味しいものを食べて、どこまでも幸せそうにしているのでした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
これからも一歩ずつではございますが、投稿を続けていこうと考えています。
よければ、評価やブックマークしていただけると嬉しいです。
また、いくつかレベッカちゃんの短編を書いてあとにシリーズものとして連載する予定です。
興味があれば、見ていただけると嬉しいです。