表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才少女の多才授業!  作者: 桃乃いずみ
Ⅵ 期末試験!
37/43

学園長の思惑(1)


「もしもし?」

(つかさ)か、俺だ』

「親父?」


 なんと、電話の相手は意外にも、俺の親父。篠原修(しのはらおさむ)だった。

 今までこちらから連絡しても一切出なかったのに。

 そんな親父が、朝から何の用だろうか。


「どうしたんだよ急に。今更連絡よこしやがって、約束のテストの日はもう明日なんだぞ」


 俺の口調から、相手が親父だと分かったらしく、千尋(ちひろ)さんがこちらをふいに見たので、会釈して引き続き対応することを伝える。


 千尋さんの話だと、千尋さんがかけた時は毎回電話には出るし、メールもすぐに返ってくるようなのだ。それに引き返え、俺の時はほとんどの確率で手が空いてないだの、適当な理由をつけて出てくれないのだ。

 しかし、今日は偶然俺が家の電話に出たから、繋がったのかもしれないな。


『そのテストのことでな。連絡したんだ』

「なんだよ?」

『ちょっとまずいことになった』

「まずい? どういうことだよそれ」


 まさか、テストを受ける事もなく、もうすでに学園側が俺の退学を決定したとかじゃないだろうな。


『学園の方に、子供ら三人がお前の所に行ってることがバレた』

「バレた?でも、もともと課外授業として送り出したって」

『まぁな、他の先生とかが相手なら口止めする事はできたかもしれんが、相手が悪かった』

「相手?」

『学園長の奥さんがな。先日お前とあの子らがスーパーで買い物をしているのを見かけたらしい』

「えっ、学園長の……」


 俺は、その方と面識があった。


『ほら、お前も入学が決まってから、学園長の家に俺と食事に行ったことがあるだろ? それでお前は顔が知れてるし、あの子らも学園の先生たちの間じゃ有名だからな』


 先日というと、千尋さんが町内会の用事に出ていた時か。


 そういえば、学園長の奥さんは、うちの学園の理事長を務めていたはずだ。

 まさか、よりにもよってそんな人に見られてしまうとは。


『それで、学園長の耳にも入ったらしくてな』

「じゃあ、それが原因って事か」

『ああ、普通に課外学習としてなら二週間くらい問題ないんだが、お前の所に出入りしてるとなれば』

「テストと関係してると思われてるだろうな」

『それに、普段の学園での研究を放っておいて、課外だと嘘までついての欠席。それを見過ごすわけにはいかなかったみたいでな』

「……それで、まずいって具体的にはどういう事だよ」


 過程はどうあれ、まずいという事に変わりはない。内容も俺の事ではなく、おそらく子供達についてのはずだ。

 それに、俺にも責任はある。


『ああ、実は、学園長が条件を増やすといってきてな』

「条件を? まさか満点を取れとか言うんじゃないだろうな?」

『いや、そういうものじゃない。お前に不利になるような条件ではないな。けど、今のお前からしたら絶対に他人事とはいえないだろう』

「親父は何もできないのか?」

『そうだな。悪いが力になることはできない。俺は今、出張中な上に教授として雇われてる身だからな。口出しはできない』

「……分かった。それで、その増やされた条件って、結局何なんだよ?」

『実はなーー』


 その条件を聞いて、一瞬気が遠くなった。

 受話器を置いて、こちらを心配そうに見る結芽たち。

 俺は、咄嗟に作り笑いを浮かべてから、何も言わずに家を飛び出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ