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カメレオン

作者: なな

私は社会的な生きものであり、非社会的な生きものである。

つまりどちらにも成れなかったのだ。

社会と隔絶して自由に生きることも社会ジンになりきることもできなかった。

私は非社会的な生きものであるのに、社会的な生きものになりたいと願った。

当たり前に普通とされているレールをきれいに歩みたくて、みんなが当たり前に感じるというしあわせを私も感じてみたくて、社会にしがみついた。あこがれた。いつでも手を伸ばしている。

でもどうしても非社会的な生きものだった。狂っていたんだ。

あふれかえるエンターテイメントに興味がわかなかった。現実逃避すらも楽しめなかった。そんなことはない私もきっと興味がわいて楽しめるはずだと、擬態して真似た。みんなの輪に混ざりたくて努力をした。

いつも顔色を伺った。彼らの感情を背負って歩いた。背に乗った彼らの感情が暴れるとき私は身体を限りなく薄めた。彼らの欲するであろう対応に努めた。社会的であるためには私はほとんどいなくならなければいけなかった。みんなを傷つけたくなかった。嫌われたくなかった。

私は擬態して擬態して擬態をくりかえして身体を薄めて混ざった。社会に溶け込もうとした。

社会ジンになりたかった。しあわせになりたかった。あこがれて手を伸ばした。でも狂っていたんだ。

狂っているのに。どうしても社会にしがみついてしまう。擬態して身体を薄めてまでも社会ジンの姿はまぶしくて目にしみて、どうしようもなくあこがれてしまったんだ。


滑稽なカメレオン。泣きながら笑っているわ。

揺れて揺れて笑いながら泣いているのね。

あなたに私は見えているかい?

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