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過去の私を消し去りたい sideセリーナ

やっと出ました、乙女ゲーム! 遅いです、そしてステーキ横のパセリくらい要素も薄いかもしれません。


お気づきの方も多いかと思いますが、真の悪役令嬢セリーナ様編です。

 それはいつものようにルファイナを王城の東棟に呼び、悩みを聞いている時だった。


「私はもしかしたら、皇后様の物語に出てくる悪役令嬢になってしまうかもしれません」


 ルファイナのこの一言で私の頭に雷が走った。

 私ではない別の世界の私の記憶が次々と頭に入ってくる。

 そう、私は元々日本という文明が発達した国に住んでいた。少々オタク気味なごく普通のOLだった。

 毎日の日課は携帯ゲームをしてながらお風呂に入ること。

 その日は前日にとあるゲームにハマって徹夜でやり込み、結局クリアできてなかったので職場から急いで帰ってきてまた始めようとしていた。

 そこで記憶が途切れている。

 もしかして睡魔に負けてお風呂の中で寝ちゃった?

 死因は溺死? 裸の姿のままで発見されるの? ムダ毛処理もしてないのに! 考えたくない!

 私はあまりの情報の多さに頭が痛くなり意識を手放した。




 気がついたら大きなベッドの上で寝ていた。

 身体を起こして見渡すと見慣れた質の高い調度品で設えた王城の私の部屋だ。

 倒れた私を誰かが運んでくれたのだろう。

 私は不思議な感覚になった。流れてきた記憶は確かに自分のものだと分かるが、今までセリーナとして生きてきた記憶もある。

 前世を思い出したということだろう。

 私はワナワナと肩を震わせた。


「な......なんてことなの......私、セリーナ・ロスト・アットムだわ」


 死ぬ直接にやりこんだゲームだから鮮明に覚えている。


 この世界は乙女ゲーム「王国の可憐な野花」と酷似している。私自身も周りも登場人物なのだから、間違いないだろう。

 この乙女ゲームは王道のありふれた内容で元庶民の少女が貴族に引き取られベルマール学園という貴族の学校に入学するとこからスタートする。

 そこで攻略対象達と出会いライバル令嬢達から虐めを受けながらも攻略対象に助けてもらいながら卒業を目指すゲームだ。

 因みに魔法なんてものは無い。単純に勉強、作法、運動を上げていきながら攻略対象達と仲良くなっていく学園青春ストーリーだ。

 どうせなら魔法のある世界がよかった。


 なんの捻りも無いゲームだが殆ど無課金でできたのとスチルが綺麗だったから暇潰しにプレイしただけだった。

 しかし、別に人気があった訳でもないのに「王国の可憐な野花2」がリリースされた。

 内容は相変わらず平凡で攻略対象が変わっただけ。主人公の設定まで同じという手の抜きようだった。


 だが、2には裏設定が入っていた。

 主人公がハーレムエンドを迎えると舞台が王城に移って続きがあるのだ。

 攻略対象はこの国の王太子アルフォンス・マース・アラント。完全無欠の王子様である。

 私はアルフォンス様を見た瞬間驚愕した。こんなに私好みのキャラがいるとはこのゲームを舐めていた。

 私はすぐにアルフォンス様を最押しキャラとしてゲームをやり込んでいたら朝になっていた。


 本編は学園青春ベースの王道なのに、裏ルートの王城編は本編よりも設定が作り込んでドロドロしていた。別のゲームかと錯覚するほどだ。学園は序章で実はこちらが本編だと言われると納得してしまう。

 だからこそハマってやり込むことになったのだが、あまりの違いに途中で制作者が変わったとしか思えない。


 私はその裏ルートのライバルキャラであり、最終ボスの位置にいた悪役令嬢だ。

 清楚な白い百合に見せかけた赤い毒薔薇。


 鏡に映った見慣れた自分はウェーブのかかった艶のある赤い髪に真紅の瞳。少しきつめの顔立ちではあるが息を呑む程美しく艶かしい、身体も引き締まっているのに出るとこ出てるナイスバディだ。

 最終ボスの悪役令嬢にピッタリな容姿である。


 実家は爵位こそ伯爵だが、昔から教会を支援して代々教会の神官長の司祭を輩出している。知名度、立場ともに侯爵家に勝るとも劣らない家柄だ。

 幼い頃から白い修道服を纏い、教会で奉仕活動をして貧しい民の言葉にも耳を傾ける。献身的なその姿は美しい容姿も相まって国民に大いに受けて聖女の称号を貰い王太子の婚約者へと選ばれた。

 それもすべて私の作戦の内だった。

 

 だが、最終的な目的は王妃では無い。私はこの国を乗っ取り潰すことを計画していた。


 このアラント王国は基本的に世襲制で先に産まれた者が優先される。王が亡くなれば王太子が王になり、王太子が亡くなればスペアである第二王子が王となる。そして第三王子が帝王学を急ぎ教育されて王のスペアとして存在するようになる。

 だが、唯一例外がある。王太子が王になり子供を設けた状態で亡くなり、尚且つスペアである第二王子も王と同時に亡くなった場合だ。

 その場合は経験も知識も乏しい第三王子が王になるのではなく、次期王の母であり王を隣で支えてきた王妃が、幼い王子が成長するまで王女として実権を握ることができる。

 過去の私は現王と現王妃だけでなく、自分の夫となる王太子とスペアである第二王子も亡き者にして自分がこの国の女王となり、息子を傀儡として王国を乗っ取ろうと企てていたのだ。


 なんという悪女! さすがラスボスともいえる凶悪ぶり! やめて! 最推しを殺すなんて、計画だけでも罪悪感で心が死にそう!


「なんだか悪役令嬢通り越して、極悪令嬢だわ」


 私が王家を憎みこの国を潰そうとしたのには理由がある。私が前作の悪役令嬢の孫だからだ。

 私の祖母は卒業パーティーで王子に婚約破棄を言い渡され、怒った伯爵に修道院送りにされた。その道中に野党に襲われて娼館に売り飛ばされてその後母が産まれた。

 悪役令嬢の末路はテンプレ通りのざまぁ仕様だ。


 何故そこをテンプレ通りにしたのだと運営に怒りが湧いてくる。

 ゲームの記憶があるから分かる。「王国の可憐な野花」は学園青春ラブストーリーだ。ライバルである令嬢もヒロインと競ったり、叱責したり、嫌味を言ったりした程度で悪役と呼ばれるほどの酷いことはしていない。

 ましてや大衆前での婚約破棄や修道院送りにされなければならないほど酷いことは起こしていないのだ。

 罰を受けたとしてもせいぜい婚約解消くらいが妥当だろう。


 なのに、貴族だった祖母も母も最後は悲惨だった。

 母は私を産んですぐに娼館で男性から暴力を受けて亡くなった。

 祖母と二人、汚い場所でひもじく明日もしれない生活をした。なかには抵抗できない私達で憂さ晴らしする為に暴力を振るう奴らもいた。

 祖母が娼館の下働きをしてなんとか生活していたが、祖母も無理が祟って身体を壊してしまった。娼館は残った私を隣国の闇取引で奴隷として売り飛ばし、そこでアットム伯爵が私の存在を知って引き取り孫娘としたのだ。

 もちろん私が母の孫であることは伯爵以外誰も知らない。祖母にそっくりのこの容姿はアットム家の者の証だ。

 私の積った恨みはこの国と元凶の王家に向けられた。


 今の私は別人になったのでは無く前世の記憶と混ざりあったのだ。記憶が戻ったからといって、極悪令嬢の性格が変わった訳でも恨みが消えた訳でもない。自分や自分の大切なものを傷つける者は躊躇なく捻り潰すことができてしまう。


 だが、王家への恨みは記憶が戻ったことで方向を変えた。私が本当に恨むべきは別にある。


 私はとにかく現状を確かめようと学園へと向かった。






□□□□□





 ベルマール学園はゲーム通りの学園だった。私は学園長に今後の学校設立の為の視察を理由に学園に入らせてもらった。

 護衛を適当な理由をつけて追払い目的の人物を探した。

 主人公のエリスの動向を確認しておきたい。ストーリーはどこまで進んだのか、攻略対象は誰を狙っているのかで話は変わってくる。

 

 ピンクブロンドの髪の少女を見つけて、陰からこっそりと観察していった。

 エリスは休み時間の度に足繁く様々な場所に行き攻略対象と接している。さすがにこんなに毎回イベントがあった訳でもないから、イベントが無くてもくっつきに行っているのだろう。

 攻略対象達と満遍なく会おうとしてることから、ハーレム狙いなのではと感じた。

 しかし、ゲームの時はなんとも思わなかったが、ハーレム狙いは節操がない。時間を見つけては攻略対象に構いにいって見ていてうんざりする。

 周りも呆れ返っているようだが気にならないみたいだ。


 もう少し会話等が聞きたくなり生徒会室に入ったことを確認して、こっそりサロンの外れの裏庭まで行った。通常であれば誰も来ない場所だが念のため木陰に隠れて生徒会の声に耳を傾けた。


「エリス、今日はルファイナ様に虐められいないんだな」


「はい、ルファイナ様はいつも不機嫌で。どうしてなんでしょうね? カルシウム不足? でも、私は大丈夫です!」


「カルシウム? よく分からないが、時々ルファイナ様を見ていると痛々しくなる。あんなに攻撃的にならなくてもいいのにな」

 

 脳筋キャラのダンだ。積極的に話しかければ勝手に好感度が上がる攻略対象だった。遠目で見た感じではエリスの肩を抱いてかなり好感度が高くなってる感じだ。


「まぁ、確かに、毎回止めに入るのも大変だよなぁ」


 明るく気軽な盛り上げキャラのレンだ。何個か地雷があって難易度高めの攻略対象だった。見ている限りでは彼の好感度はあまり高くなさそうだった。


「確かにいつも気を張って、威張り散らして。いつも取り巻きを従えてるけど、怖がっている令嬢もいるからね」

 

 インテリメガネキャラのエルヴィだ。私の愚弟も攻略対象の一人とは。難易度は普通くらい? 見た感じでは好感度は高そうだったけど、インテリなのにあんなあからさまな女にハマるとは情けない。


「そうですよね! あのガチガチに固まった縦ロール、いかにも悪役令嬢って感じ!」


 エリスが甲高い声が聞こえた。

 なるほど、普段の会話のせいでレンの好感度が上がってないのか。なぜレンがあからさまに嫌そうな表情をしてるのに気づかないんだろう。


「そんなこと言うなよ、私の婚約者だぞ。まぁ、確かにやり過ぎな時もあるが」


 優しい紳士キャラのセヴァンだ。不遇の王子という設定でとにかく掴みどころの無い攻略対象だった。この中では難易度は一番高い。この男は何しても笑顔で流すから好感度は分からない。

 ゲームでもイベントスチルで笑顔だから好感度が上がったかと思ったら下がっていたりした。


「えー、でもぉ。婚約者に選んだっていっても、前の席に座っていてたまたま目が合ったからなんですよね?」


「まぁ、確かにそうだが…」


「大丈夫です! セヴァン様には運命の人がいますもの! 卒業パーティーで婚約破棄しちゃえばいいんですよ!」


 こんな時期に自分から提案するとは。そんなことまでペラペラ喋るとは、この主人公はだいぶ頭が軽いのだろう。

 しかし、前世の記憶を持っているのは厄介だ。

 イベントさえクリアすればゲーム補正でハーレムルートをクリアしてしまうかもしれない。


 色々考えていると後ろでガサリと音がした。振り返ると金の縦巻きロールが一瞬見えて急いで去る足音が聞こえた。

 あの金色の髪はルファイナかもしれない。



 

 今の私はルファイナにかなりの負い目がある。ルファイナを悪女に仕立てあげようとしたのは私だからだ。

 

 未来の義妹の存在は私にとっては格好の手駒だ。

 自分の都合のいいように動くように調教していこうと淑女教育を王城でするようにと働きかけた。

 王妃と宰相は渋っていたが、セヴァン王子の後押しもあり、何とか定期的に登城させるように持っていくことができた。


 ルファイナは実に素直な少女だった。よくこの混沌とした貴族社会に染まらずここまでこれたと感心するくらいに。

 ルファイナを私の都合よく洗脳していくことなど、赤子の手を捻るように簡単なことだった。面白いように私の色で染まっていった。


 まず私達は王家に選ばれた特別で尊い存在であり、他の者など自分たちの踏み台に過ぎないというような選民意識を植え付け、王子の婚約者である私達は完璧でなければならないと教えた。

 私への依存度を高くする為、周りの者の粗相はルファイナを貶めるものだと信じさせて、ルファイナ自信が周りを否定して孤立するように徐々に促していった。

 そして、新しくできた母親をさも宰相の地位と財産を目当てに近づいた女狐であるかのように吹き込んだ。


 考え方を誘導することはできても性格まで変えるのは中々難しい。ルファイナはそもそも他人を嫌悪して罵倒することができない子だった。地道に攻撃的になるよう誘導していった。


 

 私の敵は王家だったが、王家に手を出すには最大の敵がいた。

 冷酷非情の氷の宰相、王家の最強の盾であるランベルグ公爵だ。この男はとにかく頭がキレて隙が無い。そして容赦の無い人物だ。

 ランベルグ公爵の命を狙う奴等は沢山いたが、全て返り討ちにあい、完膚なきまで叩き潰される。今では恐れて公爵自身に手を出す者はいない。

 用心深く毒は事前に察知し、ある程度食べたとしても耐性があるようだった。ならず者や暗殺者を嗾けても貴族のくせに戦い慣れしており、その辺の騎士より強く返討ちにしてしまう。

 公爵は直接狙うのでは無く、出し抜く方法を考えるようにした。


 一度王妃を憎む貴族を嗾けて毒を盛ることに成功したことがある。だがそれも結局未然に防がれて、仕掛けた貴族はすぐに制裁を受けることになった。


 また、ランベルグ公爵と同じく王妃も厄介な存在だった。勘が鋭く、頭の回転の速い王妃は私にとって目の上のたん瘤のような存在だった。

 どうやら女性の勘で何かを感じているらしく、言葉の端々から私を牽制してくるのが分かる。悪事の証拠を何もつかませていないため静観状態という感じだった。

 私がルファイナに近づくことも良く思ってなさそうだったが、将来義弟妹になる予定の私達の交流を、表立って静止できるはずも無い。

 私は王妃の牽制の目線を尻目に、頻繁にルファイナに近づき自分から懐くように持っていった。


 私は少し焦っていた。私は第二王子派と裏で繋がり、他の裏組織との繋がりもあった。細心の注意を払い証拠を残さないようにしながら裏で操って攻撃を仕掛けていたがそれでは埒があかなかった。

 なのでとある人物の扉を開けた。

 その人物がどのような行動に出るのか、興味もあった。


 その人物は王弟殿下。

 幼い頃から散々時期王だと保守派に持ち上げられ、恐怖と洗脳を刷り込まれたにもかかわらず王位を奪われた不遇な男だ。

 厳しい王の教育を頑張り続け、周りに振り回されて生きて、最後には何も残らなかった。

 王弟という高貴な立場で満足すればよかったのに、自分が王になると盲信していた彼は何度も王太子の暗殺未遂を繰り返し、貴族幽閉の離塔に隔離されていた。処刑されなかったのは王も彼に同情したからだろう。


 私がしたのは少し門番を唆し、王弟殿下が外と接触できる切っ掛けを作っただけだ。


 まさかあそこまで大胆な行動を起こすとは予想外だった。

 王弟殿下は全てを諦めて自暴自棄になっていたはずだが、ただ一人にだけ私怨を燃やし続けていた。

 ランベルグ公爵。公爵がいなければ今の王は即位できなかったし、保守派を盲信していた王弟殿下にとって自分の仲間を次々粛清していく公爵は悪魔だったに違いない。


 彼は本気でもう国が滅んでもいいと思っていたのだろう。よりによってティアナ夫人に手をかけた。

 ランベルグ公爵の弱点は最愛の妻であるティアナ夫人だ。

 誰もが分かっていながら手を出せなかった。ティアナ夫人はロイバース辺境伯の一人娘だからだ。王城で利権を得られたとしても、ロイバース辺境伯の怒りに触れ隣国と共に王国自体を滅ぼされてはなんの意味も無い。

 公爵の鉄壁の守りもあり危害を加えるのは時間の無駄だとされていた。

 

 もしかしたら、王弟殿下も本当はランベルグ公爵自身を殺害しようとしたのかもしれない。しかし、ティアナ夫人がランベルグ公爵を庇ったのか馬車の事故で亡くなった。

 私としてはロイバース辺境伯が怒ってこの国を滅ぼしてくれてもよかった。むしろ手間が省けたと喜ぶほどだ。

 馬車の瓦礫を前に泣き喚きながらティアナ夫人を探すランベルグ公爵を笑いながら眺めていた過去の私は悪女を超えて悪魔だと思う。


 王城内は戦々恐々としていたが、結局ロイバース辺境伯軍が攻めてくることはなかった。


 それからのランベルグ宰相は鬼気迫るものがあった。この事件には王弟殿下を囲うように何人もの貴族が複雑に絡み合っていたが全て見つけ出し家ごと潰して、王も弟を庇いきれなかった。まさしく鬼人だ。


 それだけではなく私にも目星をつけてきて、監視の目を向けてきた。私は下手なことはできなくなった。


 そこで私はルファイナを利用することを思いついた。


 ルファイナに王妃殺害の罪を被せ、ついでに娘を理由にランベルグ公爵を宰相の座から失墜させる。子煩悩なランベルグ公爵は娘を切り捨てることはできないだろう。少なくとも王政からは手を引くはずだ。

 上手くいけば邪魔な王妃も宰相もいないくなる一粒で二度美味しい計画だ。同時に難しく慎重に事を進めなければならない。


 その為には第二王子であるセヴァン王子がルファイナの側にいられるのはまずい。

 ルファイナはこれから王妃殺害を企ててもおかしく無い程の傲慢な悪女に成長させる予定だからだ。

 セヴァン王子がすべてであるルファイナを洗脳するのに、これ以上邪魔な存在はない。ルファイナの行動原理は殆どがセヴァン王子、これを利用しつつルファイナを悪女に仕立てる方法を考えていると、丁度いい駒が現れた。

 エリス・クローバー男爵令嬢。


 学園の方は彼女が勝手にルファイナを悪女へと持っていっているようだった。

 彼女はセヴァン殿下がルファイナの為に婚約解消をチラつかせた時、一か八かと欲を出した男爵が学園でセヴァン王子に近づかせる為に市井から探し出した令嬢だ。


 王城では第二王子派にセヴァン王子からの連絡をルファイナに渡らせないようにして、ルファイナにもセヴァン王子の迷惑になるからと連絡させないようにした。

 そして、ルファイナを毎回東棟に招待して接触を断たせた。セヴァン王子は王太子の居住である東棟にはこちらが招待しない限り入れないからだ。

 もちろん第二王子派も東棟に理由無く入ることはできない。

 それをいいことにアルフォンス様とルファイナの秘密の仲の噂を流した。私がルファイナに奪われそうで心配だと漏らせば、誰も疑わずに同情してくれた。噂は尾鰭をつけて拡散し、ルファイナは王妃の座を狙う悪女の印象を与えた。

 アルフォンス様の印象を悪くする目的もあった。いずれ殺す王は少しでも愚王であるほうがいい。


 着実に計画を積み重ねてきた所で、前世の記憶を思い出してしまった。

 セリーナの頃はなんとも思っていなかったが、前世を思い出して少ないながらも良心を取り戻した私には心が痛い。私の敵は王家ではなくなったし、別にランベルグ公爵にもルファイナにも恨みはないからだ。

 更に無邪気に慕い頼ってくるルファイナが前世の妹と被り、余計に罪悪感が増す。


 過去の私のせいでルファイナは愛する母親を亡くしたのだ。謝っても謝り切れない。どれだけでも償っていくつもりだ。


 とりあえず、償いのひとつとしてエリスをどうにかしようと私は動き出した。












 


ここまで読んでくれた方に感謝いたします。


もし少しでも楽しんでいただけましたら⭐︎やいいねをお願いします。励みになります。


誤字脱字があるかもしれません、ご指摘いただきましたらありがたいです。


拙い文章ですが、お付き合い頂ければ幸いです。

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