暗雲
垂れこめてます。
揉めています。
お父様とおじい様が、険悪です。
間で、お母様も優雅にオロオロしています。お母様の立ち振る舞いは、手本になります。
優雅にオロオロできるなんて、想像したこともなく、この目で見るまでは品があるって事をなめていおりました。これは、未来の令嬢ハードルはとっても高そうです。
分かる範囲で、聞いていると私の名前で揉めているようです。
「名づけの儀」で正式に名前を公表するので、それまでに名付ける事になっているって事で
『私は貴族の赤ん坊である。名前はまだない。』状態なのです。
どうりで今まで、誰も名前呼ばなかったよ。
昔の私は優しいの「優」が名前で家族からは「優ちゃん」って呼ばれていた。
そうだよね、名前あったら今までにきっと呼ばれていたよね。
ちなみに、私希望は「エリザベス」でもって「リズ」とか「ベス」とか愛称で呼ばれる。
う~ん。妄想が膨らむ。歩く理想のおじい様から抱き上げられて
「リズは、本当に可愛いなぁ。」とか「リズの顔を見るだけで嬉しいな。」とか
ゴージャスお父様からは
「ベスは、お父様と結婚したいのか・・残念だけど父親とは結婚できないんだよ。」
「そのうち、お父様がベスにふさわしい人を見つけてやろう。いやいや、やはりベスは
結婚などせず、ずーっと家にいなさい。」
お母様が「まぁまぁ、エリザベスだって、いつかは好きな人ができるでしょうし・・。」
「うちのベスに悪い虫が、許せん。」「ベスに相ふさわしい相手は父が見つける。」
「お前が見つける相手などたかが知れておる。長年培った豊富な人脈を使ってリズの相手はこのおじい様が見つけてやろう。はっはっはっ。」
「むむ、父上に等負けません。ベスの相手は私が!いや!嫁には出しません。こんなに可愛いのに。」
「フム、そうだな。リズに嫁入りはまだ早い。この可愛さは我が家で愛でよう。」
妄想って幸せ。
もう、エリザベスで良いよ。決定!
名前の候補で呼んでくれれば、エリザベスってところで「ハイ!」って返事して手を上げます。準備は万端。聴いてくださいませ。聴いてくれません。
で揉めています。
お父様~お母様が悲しい顔をしてますよー!
亡くなった人の名前を付けたい!とお父様が頑固に言っているようで、若くして死んだ人の名前を付けるのは縁起が悪い的なことをおじい様が言っています。
ずーっと平行線。同じ話がループしている最近なのです。私の部屋で喧嘩はやめてほしいです。私のために争わないで。エリザベスで良いので。
まぁ、聴いてはもらえませんね。
このところお母様はずーっと悲しげな顔をしています。私の名前決まらない事が憂鬱なのでしょうか、お父様たちの親子喧嘩が嫌なのかもしれませんね。
最後の衣装合わせが終わったようです。ふりふりレースいっぱいの豪華衣装ができました。金の糸で刺繍が施され豪華なものです。
もうあまり時間はありませんよ。さぁ!レッツ名付け。私の名前カモーン。
夕暮れ時、おじい様とお父様が部屋に来ました。
お母様のいない時間を狙って来たらしい。
わぁ、怒鳴りあったりしないで欲しい。私じゃ二人を止められないよ。
夕日の薄紅に染まる部屋で、父は人払いをして祖父と向き合う。今日は静かだ。
二人の顔には影が濃い。
お父様の顔が覗く。ほわっと私の顔を撫で顎に手を添える。
「父上、本当に似ていると思いませんか。」
「わしも似ているとは思うが、同じ名で呼ぶ事はない。」
「しかし、これだけ似ていれば生まれ変わりとも思えます。同じ名でも良いと。」
「お前は分かっておらぬ。母の悲しみを。またその名でよく似た孫を呼ぶことを喜ぶと思うか・・・。悲しみが増すだけだ。」
「そのような事、同じ名の子が育てば母上の悲しみも薄れていくのではではないですか。」
「リザベータの気持ちは、考えたことはないのか!」
おじい様の言葉に怒りが混じる。深い悲しみと思いやりが滲む。
お母様の名前、リザベータだったよ。似すぎている。エリザベスは諦めよう。
「よく似たこの子を育てるのです。忘れようがないではないですか。それならいっそ同名の方が・・・。」
「忘れた方が良い事もある。」
「私も兄君には似ています。リザベータが兄君を忘れる事などありませんよ。この屋敷のいたるところに、兄君の痕跡があります。私や子供たちの顔のどこかには面影あるのです。彼女の中には、いまだに兄上が生きているのです。」
「過去の想いに囚われているのは、お前の方ではないのか。ジルベールはもういないのだ。お前こそ過去に縛られているのではないか。死んでしまった者に嫉妬しても仕方なかろう。9人の子の父になっても、まだ大人になれぬのか。」
お父様・・9人の子持ち。
いや、その前に私の名前・・・・・・・ジルベール・・・・・・
ん?ジルだよね!?
ならセーーーーフ!
似てるいのは、子供皆面影があるって言ってたし。
お父さん似ってあるから、死んだ伯父さん似の姪っ子だっているかもしれない。
悪い予感が頭をよぎるけれど
ポイッしよう!
考えても仕方ないし。
さっき聞いた事はすべて忘れる。
アニメのように場面は浮かぶのですが、文章力が無さ過ぎて涙目です。